復讐の始まり
モラハラ彼氏の虐待に苦しめられていた主人公。
しかしそんなある日のこと、彼の背中に開閉可能のジッパーを見つけた彼女は、なんとその男の身体の中に入り込むことに。
中に入ってしまえば男には何もできない。
いつもみじめにイジメられていた彼女の着ぐるみ彼氏への復讐が始まる。
「ん・・・?」
男が眠りから目を覚まして意識を取り戻すと、それまで一緒に居たはずの彼女の姿は消えてどこにも居なくなってしまっていた。
「あいつ・・・」
逃げられたのか?
いや、決して逃がすわけにはいかない。
今のこの男にとって、女は腹立ち紛れに暴行を加えて自分の苛立ちを解消させる、ストレス発散の為の道具でしかなかった。
しかし逃げられると厄介なことになる。
男は注意して彼女の目立たないところを痛め付けるようにしていたが、服の下に隠れた彼女の身体の表面はアザだらけだった。
警察にでも駆け込まれれば言い逃れができなくなる。
「チッ、面倒なことを・・・!」
男はすぐにベッドの側の携帯を取り出し呼び出しのコールを入れてみたが、しかし返事は何も無かった。
「・・・・・・」
男も何か、いつもとは違う、妙な胸騒ぎを感じていたが、ところがそれ以上はどうにも、今から部屋の外に追いかけて探しにいくにも非常に面倒な感じがして、取りあえずサッパリしようと、男はベッドから起き出してシャワールームへと向かった。
サッと頭の上から身体の表面だけ軽く流すと、男はまたすぐシャワーから出て洗面台の鏡の前に向かい、自分の身体を拭い始めた。
が、すると・・・、
「フ~フゥフゥ・・・」
と、突如どこからともなく、謎のうめき声が。
「・・・何だッ!?」
しかし勿論、周りには誰も居ない。
「・・・何だ、ただの気のせいか」
男はそのまま鏡の前で、濡れた髪をタオルでクシャクシャと拭い始めた。
しかしするとまた・・・、
「フ~フゥフゥ・・・」
と、再び同じ、謎の声が。
「・・・何だ!誰だ一体・・・・・!」
だがやはり、洗面所の周囲には自分の他、誰も存在しない。
しかし確かに声は聞こえた。
と、そのときだった。
「・・・わからないの?周りには誰も居やしないよ」
と、自分ではない、女の声が聞こえた。
「その声・・・!?」
が、それはいつも男にとって聞きなれた女の声だった。
いなくなって探そうとしていた彼女の声。
「お前、お前なんだな・・・!?」
「フ~フゥフゥ、そうだよ・・・」
「どこだ!どこに隠れているんだ!フザけてないで出てこい!」
男はあわただしく周囲を見回しながら叫んだ。
いつもは自分にイジメられてオタオタしているだけの印象しかなかったが、しかし漏れ聞こえてくるその声は普段と違って妙に余裕があり、鼻にかけてほくそ笑んでいるようなその感じが男にはたまらなく不快だった。
が、いくら探してみても女の姿はどこにもなかった。
「そうか、わからないんだ。でもそんなに慌てて探し回らなくても、もう見えているよ」
「・・・何だと!?」
「・・・あなたの目の前の鏡、鏡を見てごらんよ」
「か、鏡・・・?」
男は彼女に言われたとおり、正面の鏡へと自分の目を向けてみた。
しかしそこには脂汗を掻きながら、青白い顔で驚きの表情を浮かべうろたえる自分の姿があるばかりだった。
「違うよ、もっと良く注意して見ないと。あなたの口・・・」
「く、口・・・?」
「驚いてアホみたいに大口をポカーンと開けた、あなたのその、その口の中をもっと良く覗いてごらんよ」
「く、口の中・・・」
言われて男は恐る恐る、鏡に向かって自分の口を大きく開けながら、その喉の奥のほうを注視して見てみた。
するとそこには・・・、
「ヒッ・・・!」
何とその自分の口の中の喉の奥深く、貞子張りに顔の目から上くらいだけを出して、こちらを上目使いで恨めしそうに凝視している彼女の姿がそこに在った。
「うわぁぁぁぁぁーーーッッッ!!!!!」
その恐ろしい光景を目の当たりにした途端、男は大きな絶叫の悲鳴と共に、その場で気を失い昏倒した。
主人公の女の子のイメージは、SKE48の"だーすー"こと須田亜香里。