戦争
これより数章は戦争時の話を書いていきます。
少し読むと辛く感じる話も書いていきます。
ゆりしゃんの若い頃の時代といえば、戦争についての事を避けて通れません。
筆者は歴史に関しては詳しくありません。
おかしな部分もでるかと思いますが、ご了承下さい。
満州事変、シナ事変と呼ばれた戦争の起こった後くらいのお話です。
ゆりしゃんのいとこが出兵しました。中国での戦争ですね。
しばらくして、病気になり一旦日本に帰り陸軍病院に一ヶ月入院しました。
その後再度出兵。
いとこの名前は三郎さんです。
さて、三郎さんの部隊も中国大陸を進軍していきます。
ある、山の中でのこと。
三郎さん達新兵に上官から命令が下ります。
「穴を掘れ」
と。
穴と言っても縦横三十メートル、深さもかなりのものです。
新兵達百人ほどで掘り進めます。
(この穴に大砲でも隠すのだろう……)
と皆、考えていたようでした。
大きな穴を掘り終わって二日後。
兵隊が四百人集められました。
下った命令は
「村を二つ襲撃せよ。村人は生かして連れてこい、ただし歯向かうならば銃剣での刺殺も許可する」
というものでした。
兵隊達は村を襲撃します。抵抗する村人はほとんどいなかったそうです。
老若男女問わず縄で後ろ手に縛られ、大きな穴の縁まで連れてこられました。
そして……穴に落とされたのです。
穴の中から兵隊達を見上げ、必死に頭をさげながら叫ぶ男性。
子供と兵隊を交互に見つつ泣きながら拝む女性。
三郎さんにも、言葉は解らずとも気持ちは伝わります。
男性は「女子供は助けてくれ」
女性は「せめて子供達だけでも」
村人の願いが聞き入れられる事はありませんでした。
全員を落とし終わると、次の命令が下ります。
「土をかぶせてその後、踏み固めろ」
生き埋めですね……
実行する兵士達。
それから三郎さんは戦争が終わる前に、日本に引き揚げてきました。
村に戻ってからは、自分のした事を泣きながら悔やみながら、村の人に語ったそうです。
やがて精神を病み入院。
起きては泣きつつ戦争の話をし、眠っている間は中国の村人の夢を見ていたのでしょう。寝言で謝り続けていたそうです。
そして衰弱して亡くなってしまいました……
正常な精神状態では、戦争はできないのでしょうね……