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祖母の昔話  作者: 鳥肉
9/11

戦争

これより数章は戦争時の話を書いていきます。

少し読むと辛く感じる話も書いていきます。


ゆりしゃんの若い頃の時代といえば、戦争についての事を避けて通れません。


筆者は歴史に関しては詳しくありません。

おかしな部分もでるかと思いますが、ご了承下さい。


満州事変、シナ事変と呼ばれた戦争の起こった後くらいのお話です。


ゆりしゃんのいとこが出兵しました。中国での戦争ですね。

しばらくして、病気になり一旦日本に帰り陸軍病院に一ヶ月入院しました。

その後再度出兵。


いとこの名前は三郎さんです。


さて、三郎さんの部隊も中国大陸を進軍していきます。


ある、山の中でのこと。

三郎さん達新兵に上官から命令が下ります。


「穴を掘れ」

と。


穴と言っても縦横三十メートル、深さもかなりのものです。


新兵達百人ほどで掘り進めます。


(この穴に大砲でも隠すのだろう……)

と皆、考えていたようでした。


大きな穴を掘り終わって二日後。

兵隊が四百人集められました。


下った命令は

「村を二つ襲撃せよ。村人は生かして連れてこい、ただし歯向かうならば銃剣での刺殺も許可する」

というものでした。


兵隊達は村を襲撃します。抵抗する村人はほとんどいなかったそうです。


老若男女問わず縄で後ろ手に縛られ、大きな穴の縁まで連れてこられました。


そして……穴に落とされたのです。


穴の中から兵隊達を見上げ、必死に頭をさげながら叫ぶ男性。


子供と兵隊を交互に見つつ泣きながら拝む女性。


三郎さんにも、言葉は解らずとも気持ちは伝わります。

男性は「女子供は助けてくれ」

女性は「せめて子供達だけでも」


村人の願いが聞き入れられる事はありませんでした。

全員を落とし終わると、次の命令が下ります。


「土をかぶせてその後、踏み固めろ」


生き埋めですね……

実行する兵士達。


それから三郎さんは戦争が終わる前に、日本に引き揚げてきました。


村に戻ってからは、自分のした事を泣きながら悔やみながら、村の人に語ったそうです。


やがて精神を病み入院。

起きては泣きつつ戦争の話をし、眠っている間は中国の村人の夢を見ていたのでしょう。寝言で謝り続けていたそうです。


そして衰弱して亡くなってしまいました……




正常な精神状態では、戦争はできないのでしょうね……


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