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祖母の昔話  作者: 鳥肉
4/11

化かし狐

「おいてけ掘」をはじめとして、昔から怪異談には事欠かない日本ですが


これは祖母の知っている人、「在家のおばさん」が体験した話です。


おばさんはこの日法事にいきました。


法事が終わりみんな、料理を食べつつ話をします。


夜も更けてそれぞれ、余った料理を折詰にしてもらい持って帰ります。


もちろんおばさんも折詰を下げて家へ。


家までは半里(2~3キロメートル)程です。


歩いていると雨が降り出しました。


空を見上げるおばさん。

……月がでています。


不思議に思いつつも着物が濡れるといけないので

少し裾をからげて、歩き続けます。


だんだん雨がひどくなってきました……


すると、地面に雨が溜まりだします。


始めは足首あたり……だんだん水かさが増します。


膝下……膝上………太腿…………ついには腰まで


大変な事になってきました。


おばさんは着物をめくりあげ、お尻まで丸出しで泳ぐように歩きます。


そしてもう少しで家につく所まできました。


一方そのおばさんの、家の近くにあるお寺の住職


こちらも法事を終え、寺に戻る途中です。


階段を降りていると向こうからお尻丸出しのおばさんが……


「おーい、おばさんどうしたそげな恰好して」


「住職こそ、こげん雨が酷う降りよるとに傘もささんで」


住職が空を見上げると月が光を放ち、雨の一滴も降っていません。


「ははあ、これは…おばさん化かされたな…」

住職が何かを唱えおばさんに向け気合いをいれると、


「…はっ」おばさんが正気に戻ります。そして自分のしている恰好に気付き慌てて着物の裾を下ろしました。


「おばさん、あんた狐に化かされたんやな。あそこの土手を通って来たろう。あの土手にゃあ狐が住んどるんじゃ。おおかた、あんたの持っとる折詰を狙ったんやな」


おばさんが慌てて折詰を開けると……中はからっぽでした……


狐、狸は人を化かすといいますが、めったにその姿を見る事は無くなりました……


街には高層ビルが建ち、

人工の光が溢れ

科学の力は、人間を宇宙にまで飛ばすこの現代…


…もう怪異は消え去ってしまったのか…


いや、姿を変え私達の側に潜んでいるのでしょう。


昼なお薄暗い路地に……


開けたドアの影に……


電柱の後ろに……


怪異は誰かが通り掛かるのを、ずっと待っているのかも。


その側を次に通るのは…あなたかもしれません………


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