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29.毒を纏いて

『思った以上の威力だな……』


 俺の飛ばしたマグマの玉が当たり、一メートル近い大きさのサソリがボロボロの炭になっていく。


 サソリへの一撃だが、マグマを口に含んでも平気になったので、これをなんとか武器として使えないか考え今に至った。

 マグマをテッポウウオよろしく、口から飛ばしてみた。これをマグマ弾と俺は呼ぶことにした。

 初めはあまり遠くに飛ばなかったが、全身を使って飛ばすようにしたら十メートルくらいは飛ばせるようになった。


 グズグズになっていくサソリを見て、背筋が凍る思いだ。

 間違いなく加護のおかげで助かったけど、下手したら俺はサソリの状態になっていたかもしれない。

 加護の適応能力の方がマグマの侵食速度を上回ったけど、結構危ない勝負だったのではないだろうか。

 過ぎたことはしょうがないとして、もう少し慎重に限界を見極めていこう……


 マグマは口の中に入れてる間に冷めるかなと思ったが、どうやら火耐性は冷やして耐えるという類のものではないらしい。口に入れたまま数分なら熱いまま運ぶことができ、なんとなく自分が魔法瓶になった気分だ。


 難点は一回ごとにマグマを補給に戻らなければならず、連射ができないということだ。ヒットアンドアウェイで経験値を稼いでいこう。



◇◇◇



 マグマ弾を使い数体の魔物を倒して経験値に変えた。倒し切れなかった敵はマグマおかわりの間に逃げられたりもしたけど、しょうがない。


 一メートル以上ある巨大な蜂にマグマ弾をかわされて追いかけられた時はやばかった……

 右腕無い状態で走るのに慣れていない為につまづいてしまい、巨大蜂の太い針で背中を刺された時は本気で死んだと思った……

 死ぬほど痛かったけど、毒は無効化されたのか、なんとかマグマの中に転がり込んで助かった。


 ダメージ床が安全地帯とか……あれ? これ何の知識だっけ?


 しかし、よく生きてるなと思うくらいボロボロになってきた……

 見える範囲だけでも、俺の体は傷だらけのズタズタで、自慢の長毛もほとんど焦げてみすぼらしい感じになっている。

 この状態で動きに支障が出ていないのも「加護」のおかげなのだろうか。

 もはや見た目は猫に見えない状態だ……アンデッド系の魔物と言われた方が納得するかもしれない。


 リルとクレアには気持ち悪がられるかもなあ……

 リル達が無事に助かり、そう思われる状況になるなら俺はそれで満足だが…… 




◇◇◇



 そんなこんなで結構な数の魔物を倒したおかげでレベルが上がってきた。

 片手が無い状態にもだいぶ慣れてきて、以前以上の速度で走れるようになってきた。


 いまいち経験値やレベルの仕組みが分からないけど、倒したときに近くにいるとその魔物の魔力を吸収する的な感じだろうか。女神様がいて魔法がある世界だから、ファンタジー的な理由があるのかもね。


 あと、スキル獲得等の能力向上を期待して、倒した魔物はできるだけ食べることにしている。不味い魔物ばかりだが、状況的には臥薪嘗胆だしヨシとした。


 体も少し大きくなってきたし、今のところ順調と言っていいだろう。

 そして、さっきから新たに手に入れた攻撃手段も使っている。


『――自己鑑定』

 

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名前:シュン

種族:ワイルドキャット

レベル:19

体力:32

魔力:35


スキル:「自動翻訳」「自己鑑定」「火無効」「毒無効」「暗視(強)」「毒弾」  


称号:「シャスティの加護」

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 そう、あらたなスキルが手に入った。この「毒弾」というスキル、毒を体内で生成して毒の弾として飛ばせるというものだ。

 おそらく毒持ちの魔物を食べたり、マグマ弾を何度も吐き出してたから、体が適応して変わったとかそんなとこだろう。


 毒を生成できるようになるとは……もはや猫としての可愛さもあったもんじゃないな……まあ有難いんだけど。

 火魔法覚えたらいいなとは思ってたけど、結果オーライ。

 

 この「毒弾」がなかなか便利で、アレンジして霧状にすることもでき、ちょっとした範囲攻撃になる。

 毒の種類について詳しくは分からないけど、相手が痙攣して動かなくなったりする。

 神経毒といった感じだろうか。


 威力もかなり強力で、明らかに毒持ち毒耐性アリのサソリが一撃で動かなくなった。動きが速い巨大蜂二匹に遭遇した時はだいぶ焦ったけど、「毒弾」の霧状いわゆる「毒霧」を使ったら二匹ともボトっと落ちて動かなくなった。殺虫スプレーになった気分だった……


 あと、魔力は徐々に上がってきてるんだけど、いまだに魔法は使えないんだよな……

 何か特別な知識がいるのだろうか……


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「シャスティの加護」――――尋常ならざる適応力を手に入れる。異世界(どこ)でも生きていける。

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 これは俺の推測が多分に含まれるのだが、「シャスティの加護」は圧倒的短期間の「進化」というのが、イメージとして近いのではないだろうか。

 専門的な知識は持ってないし、あくまでイメージとしてだが。


 生物が長い時をかけて進化していく過程を、超短時間で実現できているのではないだろうか。しかも生殖による突然変異を経ないでも、俺単体で進化していけるというチート能力。

 ゴキブリがある惑星で超強力な進化を遂げるという物語を思い出した……


 とにかく、超進化能力と仮定して自身を強化していこうと思う。

 

 倒せる敵が増えてきたのは良い傾向だ。

 今なら森にいたマッチョ熊も倒せるだろう。

 けど、あの傭兵団長にはまだ勝てない……


 今の目標はあの巨大ムカデだが、この「毒弾」はヤツに効くのだろうか……

 効かなかった場合に、一撃で殺されかねない。

 だが、越えていかなければならない敵であることは間違いないだろう。

  

 近場の敵をあらかた倒したところで、巨大ムカデと遭遇したところに向かうことにした。 



 

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