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12.腕枕ならぬ猫枕

 俺は今身動きが取れなくなっている。物理的に動けない……

 

『体が動かない……昨日川でいっぱい泳いだから筋肉痛になってるのかな……』と思いながら目を開けると、俺は仰向けの状態でリルの枕にされていた……

 何を言ってるか分からないかもしれないが、『腕枕』ならぬ『猫枕』、俺の体全身が枕状態なのだ。そして、手足はうつ伏せで寝てるリルの腕でガッチリとホールドされている。


 モフモフの極致であり、この世における至高の一つだと、確信して止まない『猫枕』俺がするのではなく、される立場になろうとは!? と驚愕してると…………

 

「んー…………ぅんん……モフモフゥ……」


 リルの寝言だった……

 ムニャムニャ言ってて可愛いなあ。

 

『猫枕ってモフモフしてて温かくて、枕にされてるのに喜びで喉をグルグル鳴らすのを間近で聞くと、凄い幸せな気持ちになるんだよね……』と猫の事を思い出した。


 このまま、枕になってあげててもいいんだけど……用を足しに行きたいんだよね……


 しばらく待ってみるが、起きる気配が無い……

 そろそろ本格的にヤバイので、脱出しようと試みてみるものの動けない。柔道の寝技で抑え込まれてて抜け出せない状態に近い。体を捩ろうとすると、リルが「……ぅんん……」と呟きながら、わずかに動いて絶妙の抑え込みをしてくる。少女に寝技をかけられる日が来ようとは……


『そろそろ限界が……』


 この状態でお漏らしするのはマズい、いろいろとマズい。仰向けで抑え込まれてる俺のお腹の上には、油断しきったリルの顔が……


『あまり驚かせたくなかったけど、しょうがないか……』


 リルの右耳がいい具合にこっちを向いてるのを確認しつつ、大きく空気を吸い込んで……

 

「ニャン!!!」


 全力で鳴いた。それはもう、短い猫生の中で最大の鳴き声だったと思う。

 あ……漏らさないようにお腹には力を入れつつね……


「な……何っ?!」


 ガバッと跳ね起きて、驚愕の表情を浮かべてるリル。すぐに周囲をキョロキョロと警戒するが、何もないことを確認するとこっちに向き直る。その表情は不安で心配そうな顔に変わる……


『寝てる間に、何か俺に迷惑をかけるようなことをしたとでも思ってるんだろうなあ……』


 少し困りはしたけど、迷惑ってわけではなかったんだよね……

 こういう思いをさせる気がしたから、大声で鳴くのは最後の手段にしたかったんだよ……「漏れそうだったから、最後の手段に出た」と言葉で伝えることができない今の俺にできることは……


「クルニャーン♪」


 嬉しそうに足元に擦り寄る。


「…………おはよう、シュン♪」


 少し不思議そうにしてたけど、何も嫌なことは無かったと伝わったのか、満面の笑みで声をかけてくれた。

 俺はリルに頭を撫でられながら、『モフられるのも悪くないかもね……』と今日も楽しい日になりそうな予感を感じていた……


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