6月13日の現実
「ゆー兄ぃ朝!あれ?もう起きてる」
「あのさ、春さん。俺一人で起きられるよ?わざわざ起こしに来なくていいから」
心臓に悪い。主に寝起きのアレ的な意味で。
うん、俺も男だし。寝起きはアレが……。
「……ほっとくと学校行かないじゃない」
「そりゃ、学校なんてクソつまんないからな。図書館で知識を蓄えるか、ジムに行って殴られてた方が楽しい」
というか、今日は夢を見た日だ。行きたくねぇ。
「殴られて楽しいとか……頭大丈夫?」
「グッ、その言い方はヤメテ。それと、もう着替えるから下行っててよ春」
あぁ、夢の中でエリスに「あたまだいじょーぶー?」と言われ、現実では春に「頭大丈夫?」と言われる。やっぱり、あの夢見た後の一日は最悪だな!それでもエリスには会いたい!
ん?おかしいな?
「ねぇ、春なんでまだ家にいるの?今日、日直じゃないの?」
昨日体験した今日、春は日直で早く行くはずじゃね?
「は?ゆー兄ぃ、熱でもあんの?」
「えっと、何でそうなる?」
「ゆー兄ぃが私の予定間違えるとかありえない……」
え?その発言の方がありえなくない?
妹の予定間違える兄とかこの世にいるの?
ありえなくない?
やっぱおかしいな。今回は地下に行ってないし、なんかおかしい。
「ん~?まぁ着替えるから下行っててよ」
「ゆー兄ぃが変だ。私の予定間違えるとかありえない……」
ブツブツ言いながらも春が退室していく。
制服に着替える。
お?なんか右眼がおかしいな。
何というか、凄く調子がいいぞ?良く見える。
すっげ、なんだこれ?え?俺の右眼凄い!
何で家の外にある看板の小さい字が見えんの?
これ視力いくつだよ?
なんかおかしいなマジで。
いや、早く下に行かねば。
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「おにいちゃん、おはよ」
「おはよ瀬里。今日も超可愛いね」
あぁ、寝ぼけパジャマ瀬里マジ可愛い。
俺はこれを見る為に早起きをしているといっても過言ではない。マジで。
でも、毎回階段の途中に居るのはどうしてだい?
瀬里の寝室は一階だろ?
ハッ!?まさか、俺に会う為に!?
「ん~」
あぁ!寝ぼけた瀬里!可愛い!え?そんなに俺に会いたかったの?
お兄ちゃんはここだよ?今まで気が付かななくてゴメンね?
まだ眠いならベッドに連れてくよ?お姫様抱っこで。
はぁはぁ。瀬里たん。瀬里たんはぁはぁ。
「優人、妹をそういう目で見るのは止めろ。それと、お前に手紙だ」
親父ィ!俺と瀬里の貴重な触れ合いタイムを……。
あぁ、絶対におかしいぞこれ。|なんで親父がここにいる《・・・・・・・・・・》、。
あんた今、京都に主張中だろ。
「手紙?」
「あぁ、じいさんからだ……」
じいさんって誰だよ。
とりあえず、受け取って封筒の中身を見る。
そこには「お前が探している少女を知っている。迎えを送ったすぐに来い」とあった。
は?なにこの手紙?意味わからん。わかりたくない。
家のチャイムが鳴る。
「はぁーい。今出まーす」
あぁ、やめてくれ母さん。凄い嫌な予感がする。
開けないでくれ。
こんな朝早くに人が来るはずないだろ?
「朝早くに失礼します。優人様をお迎えに上がりました」
あの夢に出るメイドの声だ。
どこにいても「迎えに参りました」と言って、夢の中で俺を地下室に引きずって行く。
俺にとって夢の終わりを告げる。恐怖の対象。
あの、メイドの、声だ。
いやいや、似た声ぐらいいくらでもあるさ。
階段を下りる。玄関を見る。
そこには――。
「お早うございます優人様。本日は大変良い夢をご覧になったようですね?迎えに参りました」
その笑顔を見た途端、俺は気を失った。
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――またこの夢か。
俺は、無駄に豪華なベッドの上で目覚めながら考える。
どうすれば、この夢は先に進むのだろうか――と。
体を起こして気が付く。
俺の恰好だ。
今の俺18歳になった俺の。
「お目覚めですか?まさかここまで自分が嫌われていたとは、悲しいですね。気絶されるほどとは……」
メイドの声だ。
「おはようございます。ここは、夢の中ですか?」




