はじまりはじまり
単調な仕事をしているもので、仕事中にふとくだらない小説が頭に思い浮かぶようになりました。それがこの作品です。
朝目が覚めて天井を眺めていたら見知らぬ猫が天井にめり込んでいる。天井から顔と足を出しながら「ニャー」と鳴き声を出している。あー、自分はまだ夢の中にいるんだと思い目を閉じた。
...
2007年4月X日。今日は旭健太郎の大学生活始まりの日だ。春の陽気が暖かくて心地いい。
「健太郎おはよう!」
元気の良い声が旭健太郎を呼ぶ
「おぉ、北斗」
北斗は旭の中学からの友達で、旭の下宿先のアパートで落ちあってから一緒に入学式に行こうということになっていた。
「変な夢みた。鳥が部屋の中を自由に飛び回ってんだ。鳥小屋かと思ったぜ」
健太郎は朝の出来事を思い返したが、「そうか」とだけで返事をしておいた。
「友達100人できるかなぁ」
「お前は小学生かよ」
とかなんとか、色々くだらない話をしながら学校に向かう。
スーツ姿というのは、慣れていないと落ち着かないものだ。旭はさっさと脱いで開放されたい気分を堪えて、学長の話を上の空で聞きその時が過ぎるのの待った。
「あーぁ、やっと終わったな。飯でも食うか?」
講堂を出た二人は、大学の近くで弁当を買って食べることにした。
「サークルどうする?」
「あー。俺はコンピュータ同好会にでも入るよ」
「はぁ?もっと女子と仲良くできそうなとこにしようぜ?飲みサークルとかどうよ?」
「ごめん、俺ソウイウの苦手だからさ」
「旭は真面目君か。大学で女と付き合わなくてどうする。コンピュータ同好会なんて絶対女いないぞ」
「うーんそうかもな。でも、自宅にネット接続環境無いから、同好会の接続環境はありがたい」
「おまえ、コンピュータとか好きだもんな。悪いけど、俺、そっちはパス。」
弁当を食べ終わって、旭はコンピュータ同好会、北斗は女の子と仲良くするサークルとやらに別々に行くことになった。
意外な事に、コンピュータ同好会の入会の受付は女性二人だった。旭は少し怖気づいたが、
「すいません。新入生の旭健太郎と言います。このサークルに入りたいのですが、見学してもいいですか?」
「こんにちは、私は不時と言います。それじゃ私についてきてください。金星ここ頼む」
「はいよ」
「この同好会はパソコンを使って色々やる会です。インターネット接続環境があるから自由に使ってもらっていいです。以上」
「え?終わりですか?」
「うん」
あまりにも説明が簡単過ぎで、旭は面食らってしまったようだ。
「プログラミングコンテストに参加したりとか目標はないんですか」
「中にはそういう人もいるけど、ここは自由。何してもいいの」
不時と金星はこの会で二人しかいないメンバーで、他に男性が何人がいるとのこと。旭はサークル活動なんてこんなもんだと思いつつ入会することにした。