第7話
俺が病で記憶を無くしその病を治すために華陀と一緒に鄴に行くため兄孟節に戻ってきてもらい南蛮王をついで欲しいことを伝える。
そのことを知らなかった祝融は俺に
「どうゆうことよ! あたしは何も聞いていないわよ」
「言っていませんでしたか?」
もちろん言っていないがここは誤魔化すことにする。
「じゃあ、あたしとの結婚はどうするのよ」
「とりあえず保留です……いえ婚約は破棄のほうがいいですね。俺は今南蛮王になるつもりはありませんから」
俺の言葉を聞いた祝融はいきなり俺顔を殴り飛ばした。
俺は壁に激突し背中を強く打った。
「ゲホゲホ……痛っううう、何をするんですか」
「いいわよ、あんたとの結婚は無しよ」
と大きな声で叫びそのまま飛び出していった。
祝融の瞳から流れるものが見えた気がしたが……多分気のせいだろう。
俺たちのやりとりを見ていた孟節がやれやれと言った表情で話しかけてきた。
「祝融ちゃんのことももう少し考えてやれ。あの子は昔からお前を好いていたのだぞ。それなのあの態度はいかんだろうが」
「ですが、俺には彼女と過ごした記憶が無いんですよ。それに彼女には申し訳ないですが、今は自分のことで精一杯ですから」
本当のことだ。
申し訳ないが今は自分のことで精一杯なんだ。
他人のことなど気にしていられない状況なんだ。
俺がイロイロ考えていると孟節はため息をつき、
「まあ祝融の件は成り行きでなんとかなるかもな。今はお前のことだが、病気を治すために鄴に行くのはわかったが、治ったらここに戻ってくるのか?」
「今のところわかりません」
孟節は右手で頭を掻きながら何かを考えているようだ。
「うむ、とりあえずワシは城に戻ることにしよう。でだワシは一時的にお前の代わりをするだけなので絶対に帰ってこい。いいな」
「……約束はできません」
俺を睨む孟節に俺は目線を合わさないようにする。
なぜなら俺は戻ってくる気がないからだ。
「まあいい。お前は戻ってくると信じているよ。ところで旅に出るお主に頼みごとがあるんだが頼めるか」
「はい、私でできることであれば」
俺にできることなどただが知れている。
だが孟節が俺の代わりをしてくれるのだからせめてできることであればしたいと思う
孟節は苦笑いしながら
「人を……文官をできる者を見出してきて欲しい」
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