第2話
目を覚ますと白衣を着た若いイケメンが俺の手首に手を当ている。
どうやら脈を測っているようだ。
俺はイケメンと目が合った。
「……ん、目を覚ましましたか。ご気分はどうですか孟獲殿」
……どうやら目を覚ましても夢から覚め無かったようだ。
いや、もうわかっている。
今が現実なんだ。
「気分……最悪だよ」
「うむ……」
「孟獲大丈夫?」
「おい!華陀、兄者大丈夫なのか?」
俺の嫁(自称)祝融と身長と横幅が俺の1.5倍ほどあり目は少し垂れていて愛嬌が良さそうな大男が俺を兄と呼ぶ。
俺に弟なんかいないのだが……
「失礼ですがあなたは誰ですか?」
「兄者!!冗談はやめてください」
俺の弟を名乗る人物は泣きそうになっている。
いや、マジで誰なんだよ?
「孟獲、あなた自分の弟も忘れたの?孟優よ。あなたの大事な弟の孟優よ」
「孟優?」
「兄者……グスン」
孟優は涙を流しながら泣き出した。
男が泣くなよ。
「孟獲殿、頭が痛いとか吐き気がするとかは無いですか?」
「ええ、ありません」
「ご自身の名前と年齢を言ってもらえませんか?」
「直江慶次……16歳だ」
俺が名乗ると
「孟獲何言っているの?」
「兄者……」
「やはり……」
俺の答えに祝融と孟優は不安そうに俺を見ているが華陀だけが何故か納得したような表情をしている。
「祝融殿、孟優殿。少し孟獲殿を診察したいので席を外してもらえないでしょうか?」
「なぜだ!俺と義姉さんが席を外さないといけないんだ」
孟優の大きくドスの効いた声で華陀に問い詰めるが華陀は臆することなく
「少し特殊な治療をしたいのです。これは私の秘術で誰にも見られたくないのです」
祝融と孟優は互いに目を合わせ
「孟優、名医華陀の言葉に従いましょう」
「姉者……わかりました」
名残惜しそうに祝融と孟優は部屋から出て行った。
出て行ったのを確認して華陀が
「孟獲殿、少しお聞きしたいことがあるのですがよろしいですか?」
「ええ、かまいませんが」
「名前は直江慶次で年齢は16歳で生まれは日本ですね?」
名前と年齢は言ったが生まれた国は言っていない。
そしてこの時代日本は倭国の言われていた気がする。
なのに何故華陀は日本のことを知っているんだ。
俺が考えていると華陀はフッと笑い
「俺も元日本人だからさ。今は華陀と言う名前だが元本来の名前は一条総司。元外科医さ」