第三章
取りあえず、話は進んでいるハズ(?)…
ま、まぁ、地道にコツコツやっていけば何時か完結するという事を信じ、本日も認めさせて頂きますm(__)m
「やっば、もうこんな時間だ」
慌てて靴を履き替え、校舎を後にする。
日はとっくに沈み、東の空に夜の帳が下り始めていた。
「あ~、絶対お母さん怒ってるだろうな~」
足早に正門を抜けようとしたが、ふと何かが鳴いているような音に気付き、乃風は立ち止まった。
しかし、辺りを見回しても何もいない。
「気のせい……かな?」
立ち去ろうとした時、一際はっきりと聞き取れる音が聞こえた。
「上?」
見上げると、じっと木にしがみ付きながら、子猫が鳴いていた。
子猫がいるのは地面から2m程の所で、大して高さがあるという訳ではないのだが…
それでも、子猫は鳴き続けるだけで一向に降りてくる気配がない。
(……まぁ、その内下りてくるでしょ)
そう思い、さっさと立ち去ろうとするが、何かを訴えるように鳴き続ける子猫を見て、乃風は小さく息を吐くと、門の前に鞄を置き、たどたどしく木に登り始めた。
さして高さもないので、何とか子猫に手が届くところまで辿り着くと、
「いい子ね。ほら、おいで」
そっと怖がらせないように手を伸し、優しく子猫を持ち上げる。
その瞬間、子猫が弾かれた様に乃風の横をすり抜けて行った。
「あっ!」
危ない!、と慣れない体勢からそれを止めようとしたのがマズかった。
もともと木登りは得意ではない乃風にとって木の上で体勢を整えるという行為が咄嗟に出来る訳もない。
その上、少しブカブカの靴で木に登ってしまったのも不運な事だった。
タイル張りの地面が近づく。
子猫を助けようと伸ばした手が不自然な方向で触れた。
(……やばいっ!)
全体重がほっそりした腕にかかり、嫌な音が響く―
……はずだった。
不自然に地面と触れた手に全体重の負荷がかかろうとした時―
ちゃぽん、と硬い地面が沈んだ。
「えっ?」
底なし沼のように大地が乃風の身体を飲み込んでいく。
「ちょっ!!何これっ!」
必死に地面から這い出ようとするが、うまく手が動かない。
ねっとりとした液体が身体に絡みつき、身体は沈もうとしている。
「た、助け……誰…か……」
大量の液体の圧がかかり、息が出来ない。
意識も朦朧としてきた。
(……もしかして、夢……なのかな)
途切れる意識の中で、ふと乃風はそう思った。
抵抗を止めた乃風の身体はゆっくりと水底へと沈んでいく。
揺れる水面から夕刻の空を見た。
そこで完全に乃風は意識を手離した。
前半の流れの少しが過ぎた感じです。
あらすじ通りに進めようと思いますが……
ここに来て詳細な内容の大半を変更する事になりそうな予感(泣)
世界が広がり過ぎて、中盤だけが長くなってしまう…そんな今日この頃です。