初冬
二人は旅をしている間にお互いの思いに気づき、付き合うことを決めた。まあ、付き合うと言っても今までも二人で居たため何も変わらないのだが。
旅を始めて半年がたった。始めは距離があった二人だが、今は幼い時のように仲が良くなっている。二人の旅はとても充実していた。
しかし、ある日・・・。
「ミユキー、今日はどこに行く?」
「ねぇ、アユム。今日は病院に行ってもいいかしら?」
眉を下げて言うミユキ。
「体調悪いの?」
「ちょっと、頭と喉が痛いの。」
「気付いてあげられなくてごめんね。大丈夫?」
ミユキは「大丈夫よ。」と微笑んだ。
荷物は宿に置いたまま、二人は近くの病院に向かった。その病院はあまり大きくないが二階建てで、二階に入院できるようになっている。二階にはここの医師も住んでいる。
「過労気味ですね。彼女は元々体が弱いようですが・・・、ここ最近で何か変わったことは?」
自分のせいでミユキは苦しんでいるのか。医師の話を聞いてアユムは黙り込んだ。
「とりあえず三日、彼女には入院してもらいます。」
「わかり、ました。」
返事をしてからミユキのいる病室へ行くと、ミユキはアユムがとってきた荷物を整理していた。
「ミユキ、疲労が原因らしい。」
ミユキは急に話しかけられて勢いよく振り向いた。しかし、相手がアユムだとわかるとへぇ、とどうでもよさそうな返事をしてもう一度荷物に視線を戻した。が、アユムの様子がおかしいと気づき、荷物は放置してアユムに近づいた。
「ごめん。ごめんね。」
「何であなたが謝るの?」
「僕が旅をしようなんて言ったから。僕のせいなんだ・・・。」
その声は震えていた。アユムはその場にしゃがみ、膝の上に乗せた腕で目元を隠している。
それを見たミユキはアユムの前で膝立ちをし、抱きしめた。
「そういう優しいところ、変わってないわね。
いい?あなたの誘いに乗ったのは私よ?私が勝手についてきて、勝手に疲れて、勝手に病気になっただけ。」
アユムは顔をあげて、ミユキを見つめる。
「だからアユムは何も悪くないの。わかった?」
ミユキはアユムの目を見て微笑む。それを見たアユムは俯き、聞き取れるか聞き取れないかぐらいの声で「わかった」と言った。窓の外のざわめきが病室に響く中、ミユキの耳にははっきりと聞こえていた。
「それでもあなたが悪いというなら、そうね。毎日お見舞いに来て頂戴?」
「あ、当たり前じゃないか!絶対、絶っ対来るから!」
「ええ、お願い。」
ミユキはもう一度嬉しそうに微笑んだ。
しかし、歯車はすでに狂っている。




