プロローグ
八月十七日。
俺こと、轟八一は何を疑うわけでもなく、夏休みという名の学生特有の休みを満喫していた。
高校一年の初めての夏休み。ということで夏休み前半は海やら山やらビキニ(!?)やらで派手に遊びまくったわけだが、後半に入ってからは宿題をするでもなく、のほほんと惰眠をむさぼっている。
両親は俺に『勉強しろ!』とうるさいが、俺にしてみれば、一生に一度しかない高校一年の夏を勉強で潰すなんてもったいねえって話だ! 遊んでなんぼだろ?
そんな感じで、成績は中学の時から、下の下。よく下には下がいるというが、俺にはいない。なんたって最下位ですから。そろそろお小遣いがダウンする可能性が高い。
彼女いない歴=年齢の俺。だが女の子とお話しをしないというわけではない。右隣の席に種島さんっていう、笑顔が可愛い女の子によく話しかけているんだけど、これは主に宿題を協力してもらうためであって、決して下心があってのことじゃない、うん。
さて、そろそろ残りの夏休みをどうやって過ごそうかな。あいつらとまた遊ぶのもよし。マンガやゲームを買うのもまたよし。
ま、時間もまだまだありますし、どこか街でもぶらつきながら考えますかね。
その日の夕方に、俺は市内の本屋やゲーム屋を回って、なにか暇つぶしなるものを探していたところだった。
あの日、
あの夏休みの日まで、
俺はこんな感じに日常がずっと続くんだろうなと思っていた。
むしろ、そんなことを考えずに、それが当たり前のように思っていた。何の理由もなく。
だけど、その日、その瞬間、
西の空があかね色に染まる中、俺の日常は、平穏な生活は、一瞬で終わった。
もしくは、始まった。