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4/9

元世界ランク1位 4話

コアそれはすべてのプレイヤーが乗る初期機体であり、すべての船はここから始まる。つまり何にでもなれるということだ。少し希望が見えてきた

「バッテリー量低下、10%を切りました」

否、そんなこと言っている場合ではない

周囲を見渡すとガス型惑星の小惑星リングが見える。あれならば多少資源を回復させられるかもしれない。あそこに突っ込むか?いや自殺行為にも程がある、衝突したらペチャンコになるのが目に見えている

「あそこに突っ込もうなんて考えていませんよね?いくら超高性能なAIであるわた…」

「いいから、考えていない。それよりはぐれはいないのか?」

「アクティブレーダーを使用します構いませんね?」

「ああやってくれ」

この状況でおいしいカモがここにいるよ!と知らせるのは非常に危険だがやるしかない

ゴゴ、ゴ、ォォォォ……ッ

座席の真後ろで機器が動き出す振動が伝わってくる、レーダー素子の冷却ファンとパルス発生器が目を覚ます

どんだけ近いんだよ

キィィィィィィィン

耳の奥を圧迫するような高周波が放たれる

大きく目減りするバッテリ量

正直不安しかない。これでだめならばもう突っ込むしかないだろう。頼みますよ神様、ノア様

画面が何度か更新される

……ピ、コッン

硬質な反射音が響く

うっし!

心の中でガッツポーズをとる

ピコン、ピコン、ピコン…

これを皮切りにいくつものの反応が浮かび上がる

イイね!これはついている、行けるぞ!

「選定完了、もっとも大きい小惑星に向かいます」

ウィィィィィン

背後でリアクションホイールが動き出したようだ

徐々に周りの景色が回り始める

「補助スラスター起動」

プシュッ、プシュッという音が疑似効果音により聞こえる

「スラスターの燃料は足りるのか?」

「この移動でほぼ底を尽きますね」

「そうか…」

だがやるしかないだろう。俺は生き残るんだ


徐々に目的の小惑星が大きくなるのを感じる

スラスターで逆噴射を行い、減速をかける

リアクションホイールも忙しなく動き姿勢を微調整していく

「まもなく接舷します」

「何かできることはあるか?」

「いえ、とにかくリラックスしてストレスを溜めないことです」

「ストレス?俺が?ふん、なめられたものだ。俺ほどの自由人は他にいないさ」

「でしたね」

だが言われてみれば、心の奥底でムカムカした塊みたいのができ始めている。よくないな、リラックス、リラックス。深呼吸は…やめておくか、酸素がもったいない


射出されたワイヤが機体と岩石を固定する

機体からアームが飛び出てそこから放たれたレーザーが岩石の表面を焼くのを眺める

なんというか、地味である。ゲーム中は見もしなかったが当然である。ただ焼いて出てきたものを磁器誘導して自機に回収するだけである。昔はこの作業をするだけのゲームが6000円で売られていたというのも驚きである。まぁ世界にはいろんな物好きがいるということだろう

幸いこの岩石は氷を多分に含んでいた。エンジンが始動さえすればこれで安泰だ。ヘリウム3エンジンが好まれる理由はここにある。最悪僅かだが現地補充できるし、推力と同時に発電することもできる。電気さえあればジャンプもできるようになるし、なにより水を電気分解して重水素と酸素を得られる。食料は何とかなるだろう…


「採掘完了しました」

そんなことを考えていたら採掘が終わったらしい。早いね、想像よりだいぶ早かった積んでいるレーザーの性能か、まともに採掘できなかっただけなのかどっちか分からないが…とりあえず前者ということにしておこう

「現在採取した岩石からヘリウム3抽出中、少々お待ちください」

今、採取って言わなかった?徐々に離れていく岩石を見るとその大きさは先ほどとあまり変わらなかった。あ、まずい、これ後者っぽい。大丈夫か?


遠くに見える星をただただ眺める

抽出機と空調以外のシステムをすべて落とした船内はあまりの静かさで生きているのか死んでいるのかたまに曖昧になる。ただ抽出機の振動だけが生を実感させる

ぼおっとしているといろいろな考えが浮かんでは消えていく。このまま死ぬんじゃないか?とか、本当に家に帰れるのかどうか、このまま一生宇宙を漂うのではないかとか、何もしないと不安だけが募っていく。寂しい、澪の顔が思い浮かぶ。我ながら家族より澪の顔が先に浮かぶとか笑えるな

「抽出完了しました」

「よっし待ってました!いざ確認」

パネルを確認する

エネルギー資源量5%、電力量7%、水20L

正直これがどれくらい足りないのか、あるのかは分からない。だが水20Lはさっきの4倍である。飲めるのかは知らないが…多分飲料水のことだよね!怖いから聞くのはやめよう

「エンジンを起動します、電力不足なためチェックアウト項目を飛ばしますね。いいですね?」

「うっし!頼むぞ、普通に起動してくれよ!」

「核融合炉強制起動」

機体背部の反応炉から、超伝導電磁石が放つ高周波のうなりが立ち上がる

……キィィィィィィィン――ッ!

それはレーダーの時とは比べ物にならない程鋭く、激しい

ヘリウム3の微粒子が炉内へ噴射され、目に見えない磁場の檻の中で、人工の太陽が産声を上げようとする


ガッ、ギギギギギィィィィィッ!!


だがその産声は頂点に上がる前に異音でかき消される

まるで金属を引き裂くような異音が、悍ましい絶叫がコックピットを駆け抜ける

「エラー!エラー!緊急停止!緊急停止!」

磁場発生装置の一角が、致命的な位相差を起こし、プラズマを閉じ込める檻が歪み、数千万度の熱を帯びた荷電粒子が内壁を直接焼いていたのだ

ドコン!!

小さいながらも激しい衝撃が腹の底を蹴り上げられたかのようシートから伝わる

プ、シュゥゥゥゥゥゥゥ……ッ!!

反応炉が激しい喘ぎとともに緊急停止し、膨大な熱量が冷却ダクトへ一気に逃がされる


何が起きたのか理解が追い付かない

正面のパネルを確認するとMAGNETIC FIELD ANOMALYの文字が浮かんでいる

「ノア!状況を!」

「はい、核融合炉の磁場に異常を検知、再起動が必要ですがこちらからのアクセスを受け付けません。先ほどの衝撃により回路に異常が発生したようです。私がことを急いだばかりに…申し訳ありません」

「いい、それより解決策を」

「はい、どんな船にも外部メンテナンス・ポートがあるはずです。そこに再起動用のスイッチがあるはずです。それでもダメな場合は手動で磁気を同調する必要があります」

「どちらにせよ、俺に外に出ろと?」

「はい…」

まじか…正直今何が起きたかすら理解できていないのに、船外に出て修理しろと言うのか?ただの高校生の俺に?宇宙にだって出たことすらないんだぞ。いや、逆に出たことある高校生がいたら逆に怖いわ。そうだNASAの人にやってもらえばいいんだ!餅は餅屋!我ながらいい案だ!頭がおかしい

さて現実逃避はここまでだ、やるしかない

パネルを覗き込むと電力量4%と表示されている。何も知らない俺ですらわかる。次で起動できなければ終わりだ

「警告、惑星の重力圏に捕まりました」

「折角決心をつけていたのに水を差さないでくれ。つまりなにがどうやばいんだ?」

「船体が加速しています。このままではあの惑星に墜ちます」

「すばらしい!完璧だな!よし、行くぞ!開けてくれ」

正面のハッチが徐々に開く。映像とは違う生の星系。やはり本物は格別だと言いたくなるが、正直違いは分からない

「ただ有害な光線をシャットアウトしているだけですからね」

「声に出てた?」

「はい、ばっちりと顔に」

そうか、だがやっとこれで立ち上がれる。何時間も同じ姿勢でいるのは非常に苦しかった。確かにゲーム中は同じ姿勢だがあえてするのと強いられてするのでは全くもって訳が違う

ハッチが開ききったのを確認して、大きく背伸びをする

「レイ、ここは惑星の重力圏です。飛来するデブリに気を付けて」

「ごめん、なんだって?」

――パツンッ!

音など伝わらないはずの真空中、ヘルメットのガラス越しに、弾丸のごときデブリが宇宙服の脇腹を貫く衝撃が伝わった

「え?」

「だから言いましたよね!」

肉を削ぐ鈍い痛み

硬直したレイの思考を置き去りに空気の流出が始まる

ストックがあるうちはできるだけ定期更新したい…。次回はとりあえず明日18時!

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