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転生令嬢は暗殺者となり、異世界勇者を護衛する ~動物すら殺せない公爵令嬢ですが、こんな私でも魔王は倒せますか?  作者: 八ッ坂千鶴
第5章 暗殺者として

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第41話 北の大地

第5章開始!


――――――――――――――――――


メウス『ミカエラー。ぼくの新作読んでー』


ミカエラ『新作? 新しい本でも書いたの?』


メウス『うん! 絵本作ってみた!』


エレン『それは気になりますね』


(あとがきに続く)

 ここは王国と呼べばいいのだろうか。私は地上に広がる草原をただただ眺めていた。エレンもつまらなそうな顔をしている。


「メウス。この国に名前ってあるの?」


「名前?」


「うん。領地の名前はあるのに、国の名前がわからないなんて、勿体ない気がして……」


「たしかにそうだね……」


 メウスはそれだけ言って黙り込んだ。すぐ隣を飛行するアダムも、あまりピンと来ないらしい。


「メウスがこの国の国王だったら、どう名前を付ける?」


「え!? ぼく!?」


「それ気になります! ぜひ教えてください!」


「ちょ。エレンまで!?」


 メウスは飛行を続けながら、ボケーッと飛んでいる。どうやら名前を考えているらしい。


 ネーミングセンスなんて気にしないから、なんでも良いのに……。どんどん高度が下がっていく。


「メウス! 集中が切れておるぞ!」


「ッ!? ごめん。アダム先輩……」


「この先は森だ。気をつけるように」


「はい……」


 メウスが飛行に意識を向け、上昇を開始した。アダムと同じ高さに行くと、ブツブツ言い始める。


「メウス。何してるの?」


「え、えーと……。魔法構成を改変して、自動飛行に切り替えただけ……」


「自動飛行……だと……!?」


 メウスの能力にアダムが大きな声で叫ぶ。そのせいか、シリルとセリンを手放してしまうアダムの方が情けなさすぎた。


 すかさず魔法で補助を利かせるメウスによって、落下死は回避できたが、手放したアダムにとっては重罪。


「アダム先輩も、人の命を受け持ってるんだから。ほんと気をつけてよねー」


「申し訳ない……。我としたことが……」


「なら、ボクがセリンさんを持ちましょうか? アダムさんよりは細身で力がないと言われがちですが、これでも魔族と同等の腕力を持っていますので」


「いや、その案は即時取り下げさせていただこう。これは我が請け負った仕事。最後まで全うしなければならない」


「そうですか。では、次は気をつけてくださいね」


「承知」

 

 そうしている間に眼下の風景は白く染まっていく。少し肌寒いがこれが北の大地だとすると、簡単に説明がついた。


「それで、メウス。あの国の名前はどうする?」 


「そうだねー。国の聖剣の名前がゼノン・レグスレイブ。だから、略して、ゼレスとかどうかな?」


「ゼレス?」


「うん。ゼレスリシア共和国とか?」


 共和国ね。どちらかというと、王国の方が合ってる気がするけど。そこは突っ込むところじゃないから気にしないでおこう。


「セリン! ゼレスリシア共和国でアルバス国王に提案してみようと思うんだけどー」 


「は? そこは共和国ではなく、王国だろ」


 言っちゃった……。セリンが言っちゃった……。まあ、予想はしていたけど。


「共和国じゃだめ?」 


「ダメだ。あの国は様々な種族が来るが、同盟は組んでないぞ? 同盟を組んでできた国が共和国って言われるんだ!」


「へぇーそーなんだー」


 メウスは興味なさげな返事をする。どうやら、共和国を王国に変える気はないらしい。とりあえず、アルバスによる追撃を待つことにしよう。


 気温はどんどん下がっていく。ガタイの良いセリンは筋肉質なのとは裏腹に、顔を蒼白にさせていた。


「セリン。寒いのですか?」


「あ、ああ……。さすがに、同行を拒否すればよかった……」


「言い出しっぺの末路がこれとは、幸先悪いですね……。ボクが暖めて差し上げますよ」


「たすか……ヘックション!?」


「あはは、風邪引きとは困りものですね」


 極寒の地に入っていく中で、この状況ではどうなるかわからない。メウスがまたブツブツ呟き、しばらくするとセリンの咳が止まる。


「メウス……ありがとう……」


「どうもー」 


「先程からブツブツ言っているが、何をしたのだ?」


 アダムが横槍を入れて、メウスに質問をする。メウスは『なんでもないやい!』と言って、口を開かなくなる。


「メウス。僕も気になるんですけど……」

 

「へ?」


「ボクも!」


「ふぁ!?」


 ここは私も船に乗っておこう。


「メウス。教えて!」


「あ、はい……。魔法でセリンの体調を完全回復させて、風邪の症状も消して。体温上昇の魔法をかけて――」


 メウス。恐るべし。彼の魔法は自由自在すぎて到底敵わない。


 さすがに詠唱句までは教えて貰わなかったけど、彼の魔法に対する知識量は半端なかった。


「メウスは魔法オタクなのだな」


 アダムが率直な意見を言う。これには私含め全員が頷いた。


「まあねー。この世界には魔法が枯渇している。だから、ぼくが作ったってわけ」


「しかし、新しい魔法を作るなら、世界の理に干渉せねばならないのでは?」


「そこは、もう計算済みー。理の穴を全部調べてるからねー。ミカエラの前世での言い方では、システムバグってやつ?」


「『しすてむばぐ……』」


 異世界組のエレン、シリル、アダムの三人が口を揃えて言う。だけど、同じく異世界組のセリンが疑問に思わなかったのか、それが気になった。


「セリンの故郷は機械都市だっけ?」


「あ、ああ……。王国も城ではなく要塞だ。だが、最近良い知らせを聞かないな……。母上はどうしているだろうか……」


「セリンのお母さんはハッスルマンだもんね。きっと大丈夫だよ」


「へ、変なキャラ立てしないでくれよ。たしかに、俺の母上は今も仕事をしているが……」


「ふふ。照れてる照れてる」


「くッ……!」


 どうやら、メウスの攻め込みに弱いセリンは、気まずそうな顔をする。


「あ! 城が見えてきたよー!」


 メウスが魔法で矢印を作り、みんなの視線を一点にまとめた。その先には、紫の城が建っている。


 シリルが『ここで一旦降りましょう』と言って、森の中に着陸。雪国のようだけど、積雪量はそこまで深くない。


「一大勢力になるのはアダム。先輩は入口の警備を手薄にして。神殺しの剣に関しては、全部の呪いをぼくが受ける」


「貴公は死ぬ気か!?」


「死なないよ。まだぼくの無敵期間には余裕がある。あと五年は呪いの効果完全無効だからねー」


「そ、そうか……。わかった。引き受けよう」


「ありがと」


 そうして、私たちの活路を生み出すため、アダムが一人で攻め込み始める。合図は直接メウスに届くらしい。


「じゃあ、内部での行動。序盤護衛として、シリルとセリンにお願いしたい。リザークはぼくとミカエラ。エレンの三人でどうにかするから」


「承知いたしました」


「ったく、人使い荒いな……」


 その時、ちょうどアダムからの指令が届く、私たちは一斉に移動を開始した。

第5章は10話編成です。よろしくお願いします


――――――――――――――――――

ミカエラ『絵本ね……。堅めの本を書いてるメウスにしては意外かも』


メウス『でしょでしょー。これをこうして……。よし!』


 ――パラパラパラ……。


エレン『面白いですね……』


ミカエラ『う、うん……』


エレン『ミカエラさん?』


ミカエラ『何も書いてないけど……』


メウス『ドッキリ大成功! 今日はエイプリルフールだからねー』


ミカエラ『エレン! メウスとグルとはどういうこと!?』


「『すみません……』」


――――――――――――――――――


ブクマ。評価よろしくお願いします!

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