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転生令嬢は暗殺者となり、異世界勇者を護衛する ~動物すら殺せない公爵令嬢ですが、こんな私でも魔王は倒せますか?  作者: 八ッ坂千鶴
第4章 ベルンライト領にて

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第40話 思い出に満ちた世界②

 ◇◇◇ミカエラ目線◇◇◇


 翌日、私たちはリザークの魔王城へ向かうため準備を進めた。今日の午後にはベルンライト公爵家を出る。


 さすがにセリンも今回は折れてくれて、同行することが決まった。


 リザークの魔王城は北にあるようで、国の南側にあるベルンライト領からは遠い。


 今リビングで私は、メウスと一緒にメンバー構成の調整をしていた。

 

「アダム先輩呼ぶ?」


 メウスが小さく言った。アダムはメウスの上司で、彼が最も恐れている存在。だけど、そんなアダムもメウスを放っておけない過保護者。


「どうやって呼ぶの?」


 疑問に思ったことをメウスに投げる。すると、メウスは石版を取り出した。素早い操作で画面が変わっていく。


 この石版はまるでスマートフォンみたいなもの。神しか扱うことを許されていない、ひみつ道具のようなものらしい。


「よし、連絡完了。昨日のうちにリザークの方を監視してもらってたし。準備は問題なしだね」


「よ、用意周到だね……」


「まあねー。だけど……。リザーク……か……」


 勢いのある表情から、自信のなさがそのまんま顔に出るメウス。そんなにもリザークのことが気になるのかと、こちらまで心配になる。


「メウス! メウスメウスメウス!」


 突然連呼してリビングに入ってくるエレン。こちらはそんなテンションじゃない。だけど、彼もメウスに用事があるようで……。

  

「この剣。セリンさんに診てもらったのですが……」


「え?」


 エレンが持っているのは黄金の聖剣ゼノン・レグスレイブ。それをセリンに診てもらったって、どういうことなのだろうか。


「このレグスレイブ。セリンさんの話によれば、似たような聖剣が各種族の国にあるそうです。セリンさんの故郷にも固有の聖剣伝説があるようで……」


「知ってる」


「え?」


 エレンは『知らなかった。教えて』と言って欲しかったのだろう。元々メウスは相手の欲しい言葉がわからない抜けた存在。


 私も欲しい言葉をもらったことはあまりない。だけど、そんな彼が憎めずどこか可愛く感じてしまう。


「そのゼノン・レグスレイブ。誰が作ったかわかる?」


「誰が作ったって……。ゼノンさんじゃないんですか?」


「おおよそ合ってる。だけど、そのゼノン・レグスレイブは実は二代目なんだ。一代目はぼくが持ってたんだけどね……。聖剣にも寿命がある。リザークと戦った時だったかな? その時に――ッ!?」


「『メウス!?』」


「だ、大丈夫……。この話はやめておこう。思い出したくないんだ……」


「ごめん……。僕のせいで……」


 思い出したくない過去。彼も人なんだ。私はそんなメウスを優しく抱きしめる。同様にエレンもメウスにくっついた。


「ミカエラ……エレン……」


 メウスは少し涙ぐむように、私にも顔が見える角度でくしゃっと歪ませる。神でも泣くんだ。だって神も人だもの。


「私には、全部わかってたよ。メウスは強がりなんだって」


「ミカエラ?」


「だって、メウス。私に良いところを見せようとするし。誰よりも強い。だけど、その強さが違う方向に向かってる。そんな気がするの」


「ミカエラ……」


 私の言葉が火種になったのか、右腕の袖が濡れ始める。メウスの涙が今溢れている。


「僕も、メウスは強いと思います。だって、メウスがいなかったら、ここまで来れませんでしたから。絶対。リザークを倒しましょう!」


「うん。うん……!」


 メウスは『もう大丈夫』といい、私たちからの抱擁を解除する。ちょうどその時、玄関の扉が開く音がした。


「メウス。その顔じゃアダムさんに失礼ですよ」


「そうだね……」


 エレンに指摘され、メウスは顔を洗いに洗面所へ向かう。行き違いになったのか、アダムがリビングに入ってきた。


「メウスに呼ばれたのだが……。彼はどこだ?」


「『ちょっとお取り込み中です』」


「なんと! 今度は下痢か!?」


「『違います!』」


 アダムの早とちりも正直飽きてきたけど、たしかにこんな上司はあまり好みじゃない。だけど、そんな彼も嫌いにはなれない。


 しばらくして、メウスが戻ってきた。顔もスッキリしたようで、落ち着いている。


「メウス! しんぱ――」


「アダム先輩。大丈夫だよ。ただ顔を洗ってきただけだから」


「そ、そうか……」


「じゃ、ミカエラとエレンはそれぞれで」


「『はい!』」


 私はエレンと相談し、シリルを呼びに行く。彼の部屋に行くと、そこで読書をしていた。


「シリルさん。そろそろ出発です」


「おっと、もうそんな時間なのですね……」


「はい。ところで、戦闘していた時の角は……」


「専用のナイフで切断しました。あの角は神経が通ってないので、ボクは無傷ですよ」


「そうなんですね……」


「では、行きましょうか」


 私はシリルを連れてリビングに向かう。ちょうどセリンも合流したところで、外に出た。外は快晴、冒険日和。


「じゃあ、セリンとシリルの方はアダム先輩お願い!」


「承知」


「ぼくはミカエラとエレンを担当するよ」


 メウスはそう言うと、軽々と私とエレンを抱き抱えた。そのまま上昇して、そこそこ高い位置に浮遊する。


「このまま山を越えるから、気をつけて進もう!」


「……メウスは相変わらず強行突破をするのだな……」


 呆れ半分なアダムの言葉。それは他のみんなも同様みたいで。シリルとセリンは頭を抱え、エレンは苦笑いをしていた。


 地上ではアイナとアルバスが手を振っている。しばらく戻って来れない。早くお父様とお母様に顔を合わせたい。


 そんな気持ちを押し込み、リザーク討伐のため大移動を開始した。

読んでいただきありがとうございます!!!!!


これで第4章は完結となります。次回から第1部最終章の第5章です。よろしくお願いします!!!

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