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折り紙に包まれている  作者: 浦瀬凪
7/13

期待 スイside

帰り道に毎日桜の木を見る。そうやって二年と少しが過ぎた。花が舞い、葉桜になり、緑になり、夕焼け色になり、枝だけになり、雪が積もり、つぼみができ、花が咲き、花が舞う。

雨の日も、かみなりの日も、暑すぎる日も、風が強い日も、あたたかい日も、寒さにふるえる日も、失敗した日も、いいことがあった日も、泣きたい日も、走りたい日も、歩きたい日も、いつも桜の木を見上げた。

そうやって六年生になった。

ランドセルのぼろぼろ具合がもうすぐ役目を終えることを告げているかのようだった。六年間で何ができるようになっただろう。

二年と少し前、私は転校生だった。転校生は初めが肝心だ。私はうまくできなかった。みんな話しかけてくれたのに、上手にできなかった。言い訳ならいくらでもできる。喉がしまって言葉が出てこないんだ、身体が固まって動かないんだ、無視している訳じゃないんだ、とか。

でも、それはやっぱり言い訳で、そんなことを考えれば自分をなぐさめているみたでいやだった。

二年と少しの間に、私はこの学校で大分呼吸がしやすくなった。でも、それは自分が頑張ったからではなく、周りのおかげだ。

先生は首を縦に振るか横に振るかで答えやすい質問をたくさんしてくれるし、同じ教室に通う子に話しかけられた時も助けてくれることが多い。それにこの教室は、人数が少なくて、教室は広い。だから、酸素が吸いやすいような気がした。

それに同じ教室に通う子は、言葉を選ばなくていいなら、なんだかみんな訳ありで他大勢の子どものように教室で勉強するのが難しい子たちだった。その中には、これも言葉を選ばなくていいなら、身体的に障害を持った子もいるし、コミュニケーションに難を持った子もいるし、同い年の子の勉強についていけない子もいた。

 一言でいえば、いわゆる普通の教室にいるより、その中にいる方が楽だった。

 

 

 夏の日差しが勢いを落としつつある日のことだった。その日は、音楽を演奏しに楽団のすごい人たちが来るとかで、全校児童が体育館に集まっていた。この学校で年に一度行われる恒例行事だ。

 児童の姿が消えた廊下を、私は、先生二人と子供四人で歩いていた。

 体育館に行くためではない。行き先は図書室だった。

 この行事に参加するかしないか先生は選択肢を与えてくれた。私は、参加しないことを選んだ。連絡帳に参加しないことを書いてコスモ組の先生に出した。

 音楽が苦手だった。大きい音が苦手だった。図書室で読書する方が自分に合っていた。

 だけど、これでいいのかと思った。他にも大きな音が苦手な子はいるだろう。それなのに、自分だけ逃げるような真似していいのかと。

 だから、図書室の中で一番体育館に近いイスに座った。他の子は談話スペースにいたけど、そこから少し離れたそのイスに座った。

楽団が演奏している曲が聞こえてくる。音楽にはくわしくない。今演奏されている曲が何なのか全くわからなかった。そして、やっぱり音楽をいいものとして考えることができないでいた。

少し頭痛がしてくるくらい色んな音が混ざっていたように思うから。

でも今日みたいな、夏の終わりか、秋の始まりか、天気が良い日か、そういう日にぴったりな曲だったと思った。

そうだ、天気が良い日だった。秋が近づいてきてるとはいえ、太陽はまだ夏の顔をしていた。談話スペースに座るみんなの頭に空高くのぼっていく太陽の光が見える気がした。

 その日は、図書室に来るたび、見てみようかなと思っていた本を手に取った。いつもは何冊かそろっていることが多いけど、その日は三冊しか残ってなかった。

 他の教室の子はいないしと思って、残りの三冊全部手に取った。

絵がかわいくて目をひく本だった。色鮮やかな表紙とかわいい女の子、猫、家具、服、魔法道具。その本の表紙や挿絵を見ているだけでワクワクしていた。

 そんな絵を指でなぞったり、顔に近づけてじっくりみたり、上に持ち上げてぼんやり眺めてみたりした。

 そうして思い出すのはこの本をもくもくと読んでいた一人の女の子のことだった。

 あれは四年生のとき。給食の残り香がただよう教室で、他の子は走り回ったり、おしゃべりに熱中したりしていた。その中で、ひとり、席につき、本を読んでいる子がいた。

 みんなから、あやちゃんと呼ばれている子だった。

 午後の授業が始まる前のあわただしい教室の中で、あやちゃんの周りだけが静かに見えた。きっとあの子の周りは時間の流れがゆっくりなんだろうなと思った。

 


 そんな静かな時間の流れがほんの八メートルくらい先で流れていた。

そろそろ休憩時間だから、みんなの所に行こうとした、その途中で。

 何冊もの本がしまわれた、私の背よりもほんの少し高いくらいの本棚の前にぼんやり、一人の女の子が立っている。

 一瞬誰だか分からなかった。

眉毛の位置でパッツリと切られた前髪は少し前まではなかったものだ。

最近、髪の毛を切ったんだろうな。

だけど、柔らかく揺れる髪の毛も、横顔に映える鼻筋も、薄いまぶたも、なにより体にまとう雰囲気があやちゃんだった。

四年生の時から変わらない。

目線の先には、私と一緒に来たみんながいた。

談話スペースのイスに座り、なにやら間違い探しか何かをしているようだった。一つの本をみんなで覗き込んでいる。ときどき大きな声をあげては、笑いに包まれ、そして静かになる。

そんな引いては戻ってくる波のような声を、繰り返していた。

あやちゃんはそれを真っ直ぐ見ていた。

「それじゃ教室に帰るよ。本を元あった場所に戻してきて」

 小川先生その声が引き金だったようだ。

 その目から涙が一つぶこぼれた。それにつられるように、また、一つ一つとこぼれていく。

 桜色の頬を濡らした涙は、そのまま顎を伝い、首を濡らした。

人がこんなにも静かに泣けることを知った。音もたてず、気持ちを押し殺すわけでもなく、放す訳でもなく、ただ空気と馴染ませながら泣けるんだと思った。

 彼女の涙は私にしか見えていない幻かと思った。

明るく照らされた図書室も、冷たいエアコンの風も、整然と並べられた本も、桜色の頬も、マザーテレサの微笑みも全てが絵の中の出来事みたいだった。

 あやちゃんはその場に立ち尽くしたまま泣き続けた。



あやちゃんの身体は今や固まっているように見えた。涙腺だけがかろうじて生きていて、他の部分は氷の像にでもなってしまったかのようだった。唇も、鼻も、指一本さえピクリとも動いていなかった。

身体が固まってしまう時の感覚はよく知っている。自分の身体の大きさぴったりの透明な箱に閉じ込められている。どこかと情報の連絡を間違えたようで、動け、話せと言う指示が体に伝わらない。そうしているうちに透明な箱はもっともっと自分にぴったりまとってくる。何とかしなきゃと思えば思うほど、正常に働いていた頭の部分までエラーをおこして、体が氷のように固まってしまう。

 その時私を支配しているのは恐怖だろうか。それとも恐怖さえマヒしたその向こうか。

 だったら今あやちゃんを支配しているのは何だろう。

 うでが、あしが、喉が固まる感覚は分かっていても、そのいやし方を私は持ち合わせていない。

 知っていたら私は今ここにいない。

 首筋を伝う涙の粒が薄い服の中へと流れる。

涙の跡が残った頬へ新しい涙がこぼれる。

涙のいやし方なんてもっと分からない。



 ずっと氷のように固まっていたあやちゃんの足がビクッと動いた。本来の人間が持っているような、なめらかな動きではなく、夜中に物音を立てずに移動しようとしている、そんな感じ。

 ロボットとまではいかないけれど、少し違和感のある、人間の動き。

 自分で自分の体のエラーを叩き割ろうとしているのだと分かった。

 強いんだな。

 そう思った。

 焦るのは私の方だった。

 今やあやちゃんと向かい合っていた。目が合う。

それと同時にドンっと、本が床に落ちる音がした。思いがけず大きな音がする。心臓が飛び跳ねたけれど、それにならったように体がビクッとふるえることはなかった。

 あやちゃんもまた動かなかった。潤んだ瞳は私をとらえていた。その目には驚きの感情が映っているようだった。本が落ちた音が大きくて、というわけではないだろう。

泣いているところを誰かに見られているなんて思いもしなかったから。

 誰?ってびっくりしているだろうな。知らない人に見られてたら怖いよな。

私はあやちゃんの方へ向かって歩いた。

何で歩いているんだろうと思いながら、だけど歩いた。

こんなこといつもなら絶対にできない。だけど、今は自分の体を心とをリンクして動かすことができた。

 怖い人じゃないから安心して。そんなのんきなことを思う余裕まであった。

 涙のいやし方、緊張のほぐし方。そんなの分からないのに。知らないのに。

 


話せる人と少しずつ話して、それができたらその人と仲がいい人とも話してみましょう。

 胸がバクバクするときは深呼吸をしましょう。

 好きなことを考えましょう。

 みんなあなたの味方ですよ。

 泣きたいときは泣いていいんだよ。


話せない私に、先生やお父さん、お母さんはいろんなアドバイスをくれた。だけど、そのどれも上手にできなかった。上手にできなくて、私はみんなの輪に入ることができなかった。

 あやちゃんの前で歩みを止め、無情にも床に落ちた伝記を手に取る。

そして、涙の止まったあやちゃんに、差し出した。



 まさか、声をかけてくれるとは思わなかった。まさか、名前を覚えてくれているなんて思わなかった。まさか、遊びに誘ってくれるなんて――。

 思わなかった。

 その夜、ベッドの中で今日あったことを繰り返し、思い出していた。びっくりしたけど、うれしかった。声をかけてくれたことも、名前を覚えてくれていたことも、遊びに誘ってくれたことも、たまらなくうれしかった。

 表情にはそういった気持ち、一ミリも出てなかったかもしれないけど、うれしかった。

 うれしかったの。

それなのに、だからこそ、ひるんでしまう。気持ちがたかぶればたかぶるだけ、そこに影を落とす感情の色が濃くなっていくから。

ほとんど知らない子と、二人――。

私には無理だ。だって、考えただけでも、冷や汗が出てくる。呼吸のリズムがくずれて、くずれて――。

この気持ちの苦しさを誰かに分かってほしい。

胸が高鳴るの。うれしくて。

足がひんやりするの。怖くて。

 怖いの。怖くてたまらないの。何でなの。何で、人のことがこんなに怖いの。胸が痛い。

何で恐怖はこんなにも足をすくませるの。

 うれしかったのに。本当は遊びたいのに。

 怖いの。

 やだ、やだ、やだ。行きたい、行きたい、行きたい。やだ、やだ、やだ。やめてもう。

 右腕で左腕を強く握った。

 拒否するか求めるかのどちらかの感情しかなかったらいいのに――。

 うれしかったの。うれしかったんだよ。なのに、どうして――。

 いつの間にか涙がこぼれていた。胸が苦しくなって、どうしようもなくて、ただただ悲しくて、泣いた。

 左腕で心臓を抑えるように、服を握る。

 目を固くつむり、泣き声が誰にも聞こえないように、泣いた。



いつの間にか眠りに落ちていた。泣きつかれて寝てしまった。

 夢の中に懐かしい友達が出てきた。

 お化け屋敷で園子と離れ離れになっていた。だけど、何も怖くなかった。あまりにも真っ暗で何も見えなかったから。何も出てこなくて、何も聞こえなくて、何もなかったから。園子が盛大に笑っている声が遠くから聞こえた。私も、何かが面白くて手を叩いて盛大に笑った。


 

「図書室に入る前までだったら、一緒に行ってあげられるよぉ?」

給食が終わり、がらんとした教室で、床の端っこに座っていると、小川先生が声をかけてきた。

みんなから好かれている優しくて明るい先生。

 小川先生は私に声をかけると、隣に座った。

「先生、分からないけどね。分からないけれど、出入り口の一番近いところに座っているということは、少しは行きたい気持ちがあるのかもって思って声をかけたの」

 そういうと、うふっと笑った。

 私は両手の人差し指と親指で丸をつくった。小川先生とは〇と×をつくることで少し意志を伝えられるようになっていた。

「大丈夫よ。図書室の前までだったらきっと行けるわ。入っても入らなくてもいいのよ。それは着いてから決めることだから。きっといけるわ。だって、この学校には扉も壁もないからね」

 

それで私は歩いた。

 図書室につくと、隣を歩いてきた小川先生が声をもらした。

「どうして、図書室には扉があるのかしらね」

 それが普通だと思います。

 心の中でつぶやく。

 特別教室には他の教室と違い、扉がある。廊下と教室を隔てる壁もきちんとある。音がうるさいからか、図書室の場合、周りの音をさえぎり静かにしたいからだろう。     

 ガラス張りになったところから談話スペースのイスに座ったあやちゃんの後ろ姿が見えた。

 自分を待ってくれている人がいるというのは、こうも歯がゆくて、うれしいものだったんだ。

 金曜日になると、“明日、何時に行くね”と約束をして別れたことを思い出す。

 小川先生の方を見て、少しほほ笑んでみる。うまくできたか分からないけど、やろうとしたことは伝わったはず。

それから、指で〇を作った。

小川先生はにっこり笑った。

「いってらっしゃい」

 先生はそう言うと、扉を開けてくれた。

 


 あやちゃんは折り紙をしていた。いくつものパーツを組み合わせて作る、たしかユニット折り紙という名前のもの。

 あの日、園子がくれたのもユニット折り紙のひとつだということを後々知った。

あやちゃんが折っているのは、透き通るほどのきれいな水色の折り紙だった。

近くにいた雄大くんと三人で座った。

雄大くんと話すあやちゃんは昨日ここにいた子とは別の人みたいだった。うまく言えないけど、なんというかちゃんと、お姉さんだった。

優しいお姉さん。

赤い頬が透明度の高い肌のおかげでさらに赤く見える。愛嬌のある子だと思った。笑顔になると少し釣りあがる目が、あやちゃんの持っている優しい雰囲気と溶け合い、魅力的になった。コロコロ表情が変わっているように見えて、だけどずっと笑っていた。

そのすべてに愛嬌があった。


「翠ちゃんは、あの本好きなの?私ね、そのシリーズ好きで読んでたの。面白いよ」

 知ってるよ。全部知ってる。あやちゃんがその本を読んでいたことも。たくさんの笑い声が響く中、本を読んでいたあなたを知っている。

「私も人間の女の子のままでいいから、魔女と猫がいる家に帰れたらな」

 休み時間に本を読んでいる子どもに対して、子どもが抱く感情は、賢そう、だ。ほめているような言葉に聞こえるが、ここには批難するような感情が入っていると、思う。

みんなの輪から外れる子。かしこぶってる。自分だけ特別だとでも。そういう感じ。私もそうだった。

「一回くらい本当に現れないかな」

 だけど、あやちゃんに対して、そうは思わなかった気がする。もっと柔らかくて、温かい何かがあった。

「子ども時代に一度ぐらいあってもいい経験でしょ?」

 それで思ったのだ。本を読んでいる時、この子は教室の住人ではないのだ、と。みんなの輪からはずれている、なんてそんな小さい話でなくて、教室の輪からも、学校の輪からも外れた、別の世界の住人なのだと。

 あやちゃんはそっちの世界の方が居心地がよかったのかもしれない。

「ごめんね。今日は呼び出すような真似して」

 気づいたら、あやちゃんが謝っていた。

違うの。私が上手にできないから、だよ。謝らなきゃいけないのは私なのに。

あやちゃんは席を立つと、窓の前に立った。

 その窓から何が見えるのか気になった。桜の木は見えるだろうか。

 あやちゃんはどことなく寂しそうに見えた。彼女は一人じゃない。先生と話し、友達と話し、今は雄大くんと話す。人と接するのが上手だ。折り紙も上手だ。笑うことが上手だ。

それなのに、一人ぼっちに見えた。

窓から見える風景に彼女が混ざることはないから。ガラスがあって行けないから。

寂しいこの子に私ができることはない。

一つあるとしたら、折り紙を折ることだ。彼女が好きなものを私も好きになることだ。園子が一緒にいてくれたみたいに。

こんな私でも、誰かのために何かをしたいと思ったっていいはずだ。

だから私は、折り紙を手に取った。



 教室のベランダにひんやりとした風が流れ始めるころ、そっと、六年一組の敷地に足を踏み入れる。

 教卓にある座席表から、あやちゃんの名前を探す。

 その名前は、左から二番目の列の一番最後にあった。

 心臓をバクバクさせながら、半ば足が浮いているのではないかと思うほど、ふわふわした気持ちでその席へと行く。

 放課後の学校というのは妙なものだ。いつも誰かがいて、何かしらの音が聞こえてくるのが当たり前だと思っていたけど、校舎も眠りにつく時間があるのだと知る。

 あやちゃんの席はとてもシンプルだった。机のわきには、水色の音符がデザインされた厚みのない巾着が一個かかっているだけで、あとは何もなかった。

 その机の上に一つユニット折り紙を置いた。

 薄いピンクと薄い黄緑色の折り紙を組み合わせて作った立方体のユニット折り紙。二年前、園子が作ってくれたものと同じ形。

 早く、帰らなくちゃ。

 足早に誰もいない校舎を渡る。

 夕日が斜めに差し込み、毎日見ている校舎が違う色に見えた。違う場所に思えた。

学校は、時間が経つにつれ、どんどん子どもたちが知らない姿になっていく。夕日がどんどん濃くなり、徐々に光が消え、真っ暗になる。

青白い光が差し込み、太陽が東に昇るころ、私たちがよく知っている学校の姿が戻ってくる。

毎日、この校舎を見ているから全てを知っているつもりになっていたけれどそうじゃないんだと感じる。

そんなことを考えていると、

「翠ちゃん?」

 と、教務室から出てきた小川先生に声をかけられる。

「どこから入って来たの?」

 小川先生は少し困惑した表情で笑っていた。


 今から帰るところです。


肩にかけたキッズスマホに文字を打って見せる。


 保健室のドアから入ってきました。


 続けてそう打ち、いや、と思って消す。あの優しい保健の先生、山田先生が怒られることになるかもしれないと思ったら嫌だった。


 音楽会、私も出られるでしょうか。

 

 話をそらすために、思わずそんなことを打った。

 一週間程前から、どの学年も音楽会に向け、練習を始めていた。合唱は難しくても、合奏は出てみないかと聞かれていた。

「ええ。もちろんよ。六年生は『木星』を演奏するんだよね」

小川先生は声を弾ませながら言った。

 その後、職員室玄関まで送ってもらい、家へと帰った。

 夕日を濃く浴びた桜の木に温かい風が通っていく。葉っぱは夕日よりも濃いオレンジに紅葉していた。

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