『夜の婿としゅうととお殿様とプレスマン』
あるところに、とても物ぐさな婿があった。昼間は寝ていて、夜は遊び歩く。仕事を言いつけても違ったことをする、酒は飲むばくちは打つというふうであった。
しゅうとが、昼に働けないなら、夜に何か稼いでこいと言うと、婿は、墓場から若い女の死体を掘り出してきて、玄関先に置いておく始末。
翌朝、しゅうとは死体を見て驚いたが、若い女が気の毒になって、きれいに洗い清めて、髪も結ってやって、駕籠に乗せて、お祭りに連れていってやった。しかし、お宮の中に連れていくわけにもいかないので、駕籠から降ろして、鳥居の前に座らせてみたが、見れば歳も若く女盛りなのに、どうして死んでしまったものか、急に気の毒になって、おいおい泣いていると、お殿様が御参詣になり、なぜ泣いているのかとお尋ねになったので、若いみそらで死んでしまった娘がかわいそうで泣いております、とお答えすると、お殿様は、本当の親子と勘違いして、供の者に命じて、金子をくださり、後からプレスマンを届けさせてくださった。
しゅうとは、婿に、若い女の死体を、もとのところに葬るように言いつけたが、何か妙なことをしそうで怖かったので、下男に命じて丁重に葬った。
教訓:もしかすると、若い女の死体は、観音様が姿を変えていらっしゃったのかもしれない、なんてことにしておくとちょうどいいかもしれない。




