私の神様
あなたは私の神様ですか?
少女は訊ねました。
神様は何も言いませんでした。
少女には神様の姿が見えないのでした。
それに気付いた少女の神様は言いました。
私は神様ではない。
それでも少女は言いました。
あなたは私の神様だよ。
少女には神様の姿が見えませんでしたが、その優しい声を聴くことはできたのです。
それから少女は神様に時々会いに行くようになりました。
神様は会うたびに。
私のようなものに会ってはいけないよ、私は神様じゃない。
そのように少女に言うのでした。
それでも少女にとっては神様だったのでした。
少女はその神様をみんなに自慢したくなりました。
少女は近所の大人を神様のところに連れて行きました。
すると大人達は。
こんな穢れた醜いモノが神様なんかじゃない。
そう言って神様を少女の手の届かない遠くに追いやってしまいました。
「だから言っただろう」
神様は最後に少女にそう言いました。
それから少女は大人の女性になりました。
目も見えるようになった彼女は神様に会いたくなりました。
立派に大人になった姿を見せたかったのです。
それから彼女は神様を探しました。
大人達は神様を隠してしまったのです。
どこに隠したのか大人達は教えてくれませんでした。
それでも彼女にはあの優しい声が忘れられないのです。
とてもとても遠い場所で彼女は神様の声を見つけました。
神様を信じていた彼女もそれが神様だと最初は信じることができませんでした。
彼女の信じていた神様はとても穢れていて醜いモノでした。
裏切られたと思った彼女はあの優しい声さえも嘘で騙されたのだと思いました。
そして、それに石を投げつけたのです。
その事にそれはとても悲しい顔をしました。
それから少し笑みを浮かべ、彼女の前から消えていったのです。
(了)