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femme fatale  作者: はとたろ
第一章 転生
1/8

誰しもが求める運命の女性・femme fatale…愛する妹の生まれ変わりに出逢うためアンディールは永遠の時を生きるVampireとなった

離れ離れになってしまった愛しい妹、マキーシャに再会するためだけに自らをVampireに身をやつした

アンディールの激しくも切ない物語

第一章 転生


おにいさま…おにいさま


助けて! 助けて!!…おにいさま…おにいさまっ!!!!!


はっ!

薄暗い古城の一室…

愛しい人の声で目覚めるとアンディールは溢れる涙を親指で拭い据わった眼差しをぎらつかせる


「マキーシャ…転生したか!」


真紅の魔眼を光らせ漆黒のマントを翻し霧に姿を変えると部屋の窓をすり抜け夜空を彷徨う


「気配を感じない…イギリスでは…ないな…」


おにいさま…ここは…何処なの…聞いたことのない騒々しい声…


光が溢れてとても眩しい…怖い…


アンディールはシーパシーでマキーシャの魂を感じとると瞳を閉じて精神を集中させる


……!! 日本か……


蝙蝠に姿を変えイギリスの空から一瞬で消え去ると彼は幾日もかけ東京の夜の繁華街へと降り立った


バサバサバサッ……


なんなんだ、この街は…化け物の格好をした人間どもがうろうろして…醜悪だ


事故防止にと警戒に身を入れる警察官の心配もよそにHallowe'enのコスプレをした

若者が暢気そうに歩く様子に眉をしかめると彼は自分の身なりを見直した


「今は…何年だ…2014…HappyHallowe'en…あれから千年以上は経っているのか…」


街を彩る光と喧騒に紛れシルクハットを脱ぐと冷ややかな夜風が頭の中を少しずつクリアにしていく


「なるほど…Hallowe'enならこのままでも目立たなそうだな」


待っていてくれ…マキーシャ…!! 

再びアンディールは濃い霧となり街並みを見下ろし夜空を彷徨いながら妹の面影を探し求めた


1年後…


「ま~じゅ、ねぇ、聞いてる? 魔樹ったら」


ウェーブがかった栗毛のボブヘアで魔樹の肩を揺さぶり拗ねたように唇をとんがらしている

4つ違いの姉の桃の呼びかけに胸までかかる黒曜石のように艶やかな黒髪の魔樹はぼんやりしていた

自分にふと気づくと現実世界に引き戻されたように切れ長の瞳を姉に向けた


魔樹「ごめん、なんか言った?」


桃「もぉ~さっきから聞いてるのに、魂抜けたみたいにぼぉーっとして…ねえねえ、今年は何のコスプレする?」


わくわくしながら子供のように無邪気にハロウィンパーティを心待ちにしている姉に魔樹は優しく微笑みかける


魔樹「今年は…カーミラでもしようかな」


桃「女吸血鬼カーミラ?それもいいけど…今年はスネイプ侯爵の生まれ変わりの妻になってよ~」


魔樹「いいけど…侯爵はどうするのよ」


桃「こーちゃんがいいじゃん♪耽美なVampireになるわよ、絶対」


魔樹「こーちゃんねぇ…イケメンだからま、いっか、で、おねえちゃんは?」


桃「可憐で真っ白なふわふわの鳩人間」


魔樹「はぁ? 真っ先にVampireをやりたがると思ったのに鳩人間なんだ(笑)」

姉の桃は自他ともに認める鳩好きである


桃「去年やったしね…なんだか今年は…あなたに生まれ変わりの妻をやってほしいの」


魔樹「はいはい、んじゃこーちゃんに連絡して打合せしよっか」


桃「ん~美味しいっ」


焼きたてのホットビスケットにホイップクリームをたっぷりつけ嬉しそうに口に運ぶ桃を見ながら

魔樹は携帯に手を伸ばし幼馴染の孝治に電話をかける


孝治「おぅおう、どした?」


桃「きゃ~ん、こーちゃん♪ももたんだよ~ん」


魔樹「こーちゃん、今年のハロウィンどうする?」


孝治「おう、ももたん、魔樹♪どうせ今年もVampireやんだろ?俺はよぉ、ゾンビになって街をふらふらうろつきたいぜ」


魔樹「それがねぇ…おねーちゃんが今年はスネイプ侯爵とその妻をやってほしいんだって」


孝治「おいおい、またかよ~参ったねぇ」


孝治は苦笑しながらも優しい瞳で2人の話に耳を傾けた

「衣装はよぉ、多分安道が用意してくれるぜ、頼んどくよ」


魔樹「案…道?だれ、それ」


孝治「今、注目のリュートの名手で先月、ニコ道配信で知り合ったんだよ、なかなか変わってっけど

面白いやつでさ…なんとなく気が合うんだよな」


桃「へぇぇ、こーちゃんが気に入るなんて珍しいね。かっこいいの?」

魔樹「ほんと(笑)皆に好かれるのに誰の事も気に入らないのにね…で、その人、本当に手伝ってくれるの?」


孝治「ちょっと連絡するから待っててな」


ツーツーツー…


魔樹「あ~あ、切っちゃった…なんなのあいつ…」


桃「どんな人なのかな、リュート奏者なんて素敵じゃん、なんか楽しみかも~」


15分後…魔樹に孝治からの着信が入る


魔樹「もしもし…もぉ、いきなり切るんだから」


孝治「わりぃ、怒んなよ、安道、手伝ってくれるってよ、今から会いに来たいって」


魔樹「いきなりじゃん…まぁ、別にいいけど…どこで待ち合わせするのよ」


孝治「ももたんも来るだろ、駅前のマックで会おうぜ」


魔樹「こーちゃん、マックが食べたいだけじゃないの(笑)」


孝治「ちげ~よ、安道も好きなんだってよ、マック」


桃「なにそれ~いいじゃん、行く行く♪」


孝治「おう、んじゃ2時間後な」


電話を切り魔樹と桃は顔を見合わせた


桃「こーちゃん、時間にルーズだよね…大丈夫なのかな」


魔樹「だよね…とりあえず1時間は絶対に遅れてくるよ、どうする?」


桃「とりあえず支度しよ♪お揃いのチュニックワンピ着てこーよぉ」


魔樹「なんでおそろなのよwwいいけどね」


テンションアゲアゲでうきうきしている桃と真逆に魔樹は胸の奥でざわざわと音をたてはじめた

わけのわからない大きな不安感に襲われていた


ここで「さわざわざわ~」とツッコミを入れたくなったあなた、カイジかアカギファン

でしょう(笑)


to be continued



第一章を読んで下さりありがとうございます。

一度では書ききれないため、今回は連載にさせていただきました。

私自身、femme fataleに強烈に惹かれているため未熟者ですがテーマにして物語を綴っていくことに致しました。

最終章までお付き合い頂ければ幸いでございます。

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