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演奏が終わり、監督のチェックがある為、メンバーは一度ステージからいなくなった。
「あれは、俺の見間違いじゃなければ、ギタリストはITSUKI?」
「正解」
「樹は、映画の撮影があるって、しばらく会えないって言ってたわ?」
「間違ってはないね(笑)だって、これも映画の撮影だもの」
「えっ?初映画がこれ?」
「そう。そして、あの演奏は3人とも当て振りじゃなくて、実際にやってるよ」
和臣は、言葉が出なかった。
「あとで、全部説明してあげる。まだ、もう一曲あるみたいだからさ。」
袖に引っ込んだ4人は
「樹、出来たじゃん」
「最初、指が震えたけど。なんとか」
「俺、間違えそうになった(苦笑)ちょっとアドリブ入れた」
「俺には分かんなかったっす。自分の演奏で必死で」
「俺、パニックになりそうだった~~~もう手と足が(´・ω・`)」
「確かに大変そう」
『大丈夫だったよ。良ちゃん。音も滑ってなかったし、前に言ったとこ直ってた』
「良かった。まだ、あと1曲残ってるからがんばろ」
「樹、手は平気?」
「皮もかなり厚くなったみたいで」
監督さんがやってきて
「お疲れ様。見る限りでは問題ないよ。君達はどう?もう一度やった方が良ければやるし」
「このまま、いい感じで終わらせましょ」
「了解。じゃぁ、次は俺も知らないんだけど(苦笑)行ける?」
【はい】
「じゃぁ、よろしく」
そう言うと、監督は次のシーンになることを説明しに行った。
「伊織?」
『ん?』
「出来るか分かんねーけど、出来そうだったらやってみるよ」
『うん』
【??】
何か二人でやろうとしてるのか二人で話していた。
そして、監督から声がかかり本当にこれで最後の演奏が始まった。
エンディングにふさわしい楽曲で、そこにいた誰もが驚いた。
2番の歌詞は、日本語だった。
そして、伊織だけでなく樹も歌ったからだ。
すべてを憶えることが出来なかった為、サビの部分だけ一緒に歌っただけだったが、なんとかやりきった。
終わってから、しばらく歓声が鳴り止まなかった。
『樹?』
「ん?」
『何か話したら?カメラはまだ回ってるけど、樹が思ってること話したらいいと思う』
「俺?」
『うん』
伊織は、樹に何か言わせようとこそっと伝えた。
まだ、樹は気がついてはいない。
ちらっと見回して確認したら、和さんと律さんは、ずっと樹の方を見ていた。
樹は、促されて話し始めた。
演奏が終わり、周りを見る余裕も出来たから、辺りを見回しながら話した。
ふと視線が気になり、その方を見ると樹は目を見開いた。
そこにはいるはずのない自分の両親がいたからだ。
そして、その両端には伊織とウィルの両親も。
樹の話が終わると、ステージは暗転しメンバーはステージからいなくなった。
それでも、歓声は止まなかった。




