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「緋依絽ちゃんには、ちょっと悪いことしちゃったな(苦笑)」
「(笑)大丈夫でしょ。で?伊織は大丈夫じゃねーだろ?」
「そうっすね。熱は逆に上がってると思います。あんな体で無理に動いたから」
「どこにいた?」
「スタジオです。ドラムセットの前で眺めてました。」
そう言うと、さっき二人で話したことを伝えた。
「気がついてたんだ。」
「俺も聞くまでは全く分かんなかったんですけど。意識しないように、言わなかったんじゃないかな。ロディは別にしても、3人はずっと伊織の方しか見てなかったらしいっす。ぱっと見は分からなくても、漂うオーラというか気配は、Engelにまっすぐ届いてたのかも。」
「あいつらにも、何とかしろって言えるわけじゃないしな。これは俺らもあいつらにはいえねーな(苦笑)」
「やっぱ、一番大変なのは・・・」
『大変じゃないよ』
「伊織」
「起きてたのか?」
『なんか、声が聞こえたから。』
「ちょっとうるさかったな(苦笑)ごめん。」
そう言うと、伊織は起き上がろうとしたから
「伊織。寝たままでいいよ。」
『でも・・・』
「体に力入んねーんだから(苦笑)寝てていいから」
そう言うと、伊織は起き上がるのをやめた。
『3人が、ファンだって知ってから、いつかはこういう日が来るって思ってた。それが今日だったんだと思う。』
「うん」
『ライブ見てもらうのはいいんだけど』
「うん」
『後で、みんなとそういう話はしたくないんだ。』
「伊織」
『大ちゃんと良ちゃんと緋依絽ちゃん達じゃなくて、健翔達と樹も。』
「分かった。」
『樹は、気がついてくれると思う。だから、言わないと思う。』
「そうだな。樹は大丈夫だと思うよ」
『う、うん。伊織を伊織として、見て欲しいから』
そういうと、伊織はおでこにあったタオルを目にあてた。
「伊織」
良騎は、伊織からタオルを取ろうとしたけど
『と、取らないで』
と、言われやめた。
『わがまま言ってるのは分かってる。自分で、(Dunkelheitって)言っておいてライブ見せて。でも、話したくないって。だけど・・・』
【伊織】
『だけど、伊織はずっとEngelじゃない。伊織は伊織として、ずっと見て欲しい。だから・・・』
「伊織。もういいよ。伊織の気持ちは十分伝わってきたから。」
『伊織から、ちゃんと言わなきゃ。』
「言わなくていいから。」
『でも・・・』
「大丈夫だから。俺に・・・俺に任せて?」




