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「昨日は、すいませんでした。」
「いいよ。匠彌の夢に向かって一歩進んだんだし。で、どうだった?」
「想像以上にハードでした(苦笑)」
「最初から上手く行く人なんていないよ。」
「でも、いい体験させてもらって、勉強になりました。」
「良かったじゃん。また声かけてもらえるといいね。」
「はい」
「これは駄目っていうのがあれば、最初に言ってください。それは外しますんで」
「任せるよ。その服装に合うと思えばイメージどうりにやってくれればいい。そして、それを着こなすのが俺らの仕事(笑)」
「強いて言うなら、髪は勝手に切っちゃ駄目なのかも。今後の仕事のこともあるしね」
「分かりました」
今日着る衣装にあわせて彼らを作っていく、楽しかった。
でも、想像以上に大変で瞬時に判断していかなきゃいけなかった。
「出来ました。大樹さん」
「いいじゃん。ちゃんと俺のイメージ通りだね。サンキュ」
まずは、大樹が撮影に行った。
「じゃぁ、次よろしくね。」
「はい」
良騎は、年が近いこともあって色々声をかけてくれた。
緊張してたのに気が付けば、大分打ち解けていて。
「出来ました」
「さっすが。匠彌君やるね~。今までのスタイリストさんとはなんか違う」
「いやいや。冗談はやめてくださいよ(笑)」
「ほんとほんと。今までの人はさ~」
少し小声で教えてくれた。
「まじっすか?」
「今日はいないけどね。俺らは、そういう人達苦手だからさ。匠彌君みたいな人が来てくれるの待ってたんだ」
「ありがとうございます」
「じゃぁ、行ってくるね。良かったら、後で緋依絽ちゃんと一緒に見に来るといいよ」
「はい」
二人が出ていってしばらく放心していた。
「お疲れ様」
気が付けば、緋依絽ちゃんが来ていた。
「お疲れ様です」
「どうだった?」
「大変だったけど、めちゃくちゃ楽しくてやりがいがありました」
「良かった。彼らもすごい嬉しそうだった。今まであんな表情見せたことないからね。あいつら(笑)」
「そうなんっすか?」
「撮影してるとこ見に行く?」
「いいの?どんな感じなのか見てみたいっ」
そう言って、二人で撮影してるルームへ行った。
「うわぁっ。」
思わず叫びそうになった。
さっきまでの二人の雰囲気が全然違った。
楽しそうな感じだったのに、この場所はぴーんと張り詰めた感じだった。
「あいつら、お馬鹿なことする割には、ちゃんと仕事もするのよ。凄いよね。本人目の前では言わないけど(苦笑)尊敬する。」
「言ってあげればいいのに(苦笑)」
「調子に乗るから駄目(笑)」
「(笑)」
「今日は会えないけど、社長に今日のこと伝えるし。どんな風だったか写真も見てもらうからね」
「はい」
「(笑)緊張しないで。」
撮影が無事に終わり、軽い打ち上げとなった。
俺は、帰ろうと思ったけど誘ってくれたんだ。
今日初めて会ったのに、もう仲間だからってめちゃくちゃ嬉しかった。




