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『えっ?』
伊織は気づいていなかった。
『おかしいね。曲聴いて泣いちゃうなんて。へへっ』
そう言って、なんでもなかったように振舞った。
【・・・】
3人は、何かあったのかなって思ったけど、聞けなかったんだ。
『和穂。もっかいこの曲入れて?』
「・・・でも」
『いいから。入れて?』
「うん」
すると、将暉が歌い始めようとすると和穂が止めた。
「何?」
「見て。伊織が歌おうとしてる」
マイクも持たず、伊織は流れ出した曲を歌い始めた。
曲が終わったあと、3人は何も言えなかった。
『将くん?聞いてた?』
「えっ?あ、うん。聞いてた」
『将くん。発音が変なんじゃなくて、ちゃんと歌おうとするから、堅苦しく聞こえるんじゃないかな』
「そうなの?」
『一つ一つ単語発音するより、つなげれるとこはつないで発音すると、流暢な発音に聞こえるんだよ。』
「なるほど」
「何。今のすっげー上手いっ。伊織どっかで歌ってた?」
『学校で音楽の授業で歌ってたぐらいだよ?』
「こんな上手いの。隠してるのもったいないね。将くんのバンド入って一緒にやれば?」
『え~やらないよ(笑)』
そう言って、笑っていた。
『将くん。歌詞教えて?そしたら、どう歌えばいいか教えてあげれるよ。』
「分かった。あ、明日さ。啓威君に歌詞渡しておくから、それに書いてくれない?」
『それでもいいよ』
「よしっ。そしたら、次会う時までに少しは成長出来るように頑張るっ(´▽`)」
「良かったじゃん。これで、褒めてもらえばお墨付きだもんな。」
「緊張したけど、歌ってみて良かった」
『私よりも、もっとうまい人いっぱいいるから(笑)』
カラオケが終わると、4人でご飯食べに行くことになった。
「折角だからさ、健翔と啓威君も呼ぶ?」
「いいね。最近忙しくって会えなかったからね~伊織ちゃんもね」
『伊織もいいの?』
「もちろん。伊織ちゃんがいなくてどうするの(笑)」
『そうなの?』
「そんな遠慮するなって。なんで遠慮するの(笑)」
「じゃぁ、俺連絡いれますよ。どこにします?」
「そうだな」
カラオケ屋さんをでると、駅とは反対方向へ向かった。
が、伊織達がカラオケ屋を出る数秒前二人の男が通り過ぎた。
二人は、駅の方へ向かっていた。
「今日も見つからなかったな」
「いそうだと思ったんですけどね」
「練り直しだな」
ほんの数秒のすれ違いが、3人を合わせることが出来なかった。
もちろん、大樹と良騎が気づいてなければ、伊織も気づいていなかった。
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