0017
『啓威ちゃんが、健翔と一緒に仕事してるとは思わなかったぁ』
「俺、なんの仕事してるか言わなかったからね(笑)」
『そだね。伊織も聞かなかったし。たー君は自分から言ったけど。』
匠彌君の名前が出ると、また俺の胸はちくっとした。
「それよりも、伊織ちゃん、健翔って呼ぶんだ?」
『小さい頃、けん兄って上手く呼べなくて呼び捨てだったんだよ。帰ってきてお兄ちゃんって呼んでたんだけど、一瞬だった(笑)』
「じゃぁ、俺もいつか呼び捨てしてもらおう」
『ん?』
「いつか啓威って呼んでよ。」
『いいけど・・・』
「今からでもいいよ(笑)」
『けい?』
「おぅ。」
そう言って、頭を撫でた。
でも、すぐ啓威ちゃんに戻った(苦笑)
ま、すぐには無理だと分かってたけど。
「そうなんっすか。健翔君に妹がいるのに驚いたのにまだあった(笑)」
「別に秘密にしてたんじゃないよ。言うタイミングがなかっただけ(笑)まぁでも伊織の為にも、知り合いは増やしたいしな。状況が状況だからむやみにはね」
「そうですね」
健翔は、横目で伊織と啓威を見ながら思った。
今まで、女性に対しても愛想は決して良くなかった。
なのに伊織には普通に、いやむしろ・・・まさかな(苦笑)
『健翔。曲ってどんなのが出来たの?』
「知りたい?」
『別に?』
「工エエェェ(´д`)ェェエエ工」
『うそうそ(笑)あ、みんなが何やってるか聞いてなかった。』
「そうだっけ。啓威がベースで、将暉がボーカル。俺はギターね。」
『ふーん。3人組なんだね。』
「啓威君が、すぐドラマーと喧嘩しちゃうんだよ。伊織ちゃんなんとか言ってやって?(笑)」
「将暉、ばらすなよ」
「だって、伊織ちゃんの言うことなら聞きそうだったんだもんっ(笑)」
「そんな言い方しても可愛くねー」
『(笑)啓威ちゃん、ドラムの人と喧嘩しちゃうの?』
「まぁ、結果的にはそうなるね(苦笑)」
『そっか』
一瞬悲しそうな顔をした。
「どした?」
『ううん。何でもないよ(笑)今度、歌聞かせて?』
違う話題を振った。
「いいよ。スタジオ遊びにおいでよ。」
『お仕事の邪魔になるから、カラオケじゃ駄目?』
「俺はいいけど」
将暉は、二人を見た。
きっと、スタジオに遊びにきて欲しいと思ってると思うんだけど(苦笑)
「伊織、和穂と香帆ちゃんと4人で行ってくればいいよ。」
『うんっ』
「じゃぁ、4人の都合があったら行こうね♪」
「将暉。伊織ちゃんに英語教えてもらったら?」
「それ、いいかもね。伊織、普通に喋ってたんだろ?」
『喋ってたよ。』
「お願いしていい?どうも発音が良くないみたいで、駄目出しされるんだ(笑)」
『そうなんだ。伊織が出来ることなら何でもするよ~♪カラオケで練習ね~』
「ありがとっ。」
「伊織そろそろ、帰ろっか」
『もう、そんな時間?』
「伊織は、もう帰る時間(苦笑)」
『もっといたい』
「だーめっ。さ、帰ろ?」
『うん』
「伊織ちゃん。楽しかったから、まだ帰りたくないんだよね(笑)」
「じゃぁ、健翔のとこ行こうぜ。どうせ明日昼からだろ?伊織ちゃんは?」
『明日はお休み』
「じゃぁ、決まりっすね」
「おいおい、俺の意見は聞かないのかよ(苦笑)俺んちならいっか。それでいい?伊織」
『ありがと。』
そうして、健翔の家で飲み直すことになった。
★★
「そうそう。IORI上手くなったね。その調子!」
「IORIは、飲み込みが早いね。教えがいがあるよ」
「・・・伊織???」
『え?』
「呼んでも、返事ないから。眠いなら寝ていいよ(苦笑)」
『まだ大丈夫』
そうは言いながらも、眠そうな伊織。
健翔のバンドの映像を見ていて伊織は考えていた。
が、ついに力尽きたらしく
「ん?」
啓威の肩に急に重みが生じた。
ふと見ると隣にいた伊織がよっかかってきた。
「伊織ちゃん?」
『zzzz』
「(笑)」
啓威は、伊織が辛くならないように、膝の上にゆっくり倒した。
いいのか分かんないけど、硬い床に頭を置くよりはいいかと思ってジャケットを、伊織にかけた。
健翔が、戻ってきた時伊織が見当たらないことに気がついたのか。
「あれ?伊織は?」
「しーっ。ここにいるよ(苦笑)」
「あらら、眠気には勝てなかったみたいっすね(笑)」
「(苦笑)だから、言ったのに啓威、すまん。」
「俺は全然へーきだけど(笑)このままじゃ、伊織ちゃんが辛いかもね」
俺は、もうちょっとこのままが良かったけど
「ベットで、休ませるよ。」
そう言って、伊織を連れていった。
しばらくすると、健翔が戻ってきた。
「あいつ、ちゃんと食ってるのかな」
「ん?」
「いや見た目以上に軽かったから」
「昼会う時は、普通に食べてたけど」
「そっか。考えすぎならいいんだけどさ。」
しばらく、3人で話していた。
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