179
「伊織ちゃん。今日は一日お兄ちゃんと一緒にいれるんだけど。お兄ちゃんもまたお仕事忙しいんだって。」
『そうなの?』
「ごめんな?でも、毎日電話するから。時間が出来たら会いに行く。」
『分かった。伊織、おうちで待ってるね?』
そう言って、にっこり微笑んだ。
「偉いね。でもね、伊織ちゃん。お家にはパパとママもいないから一人になっちゃうでしょう?」
『えっ?伊織、ひとりぼっち?』
急に泣きそうな顔になる伊織。
「心配しないで?今日から、俺のうちにおいでね。」
『志貴ちゃんち?』
「そうだよ。俺と一緒に、お兄ちゃんのお仕事落ち着くまでおいで??」
『でも・・・』
「大丈夫。お兄ちゃんもいいって言ってくれてるから。」
伊織は、健翔の方を見ている。
「伊織。ごめんな。しばらく、志貴さんのおうちに行ってくれるかな?時間が出来たらちゃんと会いに行くから」
伊織なりに、何か考えたのか。
『分かった。ひとりじゃないもん。大丈夫だよ?』
目をうるうるさせながら、言った(苦笑)
なんか、もういたたまれなくなっちゃって。
「おいで?」
そう言って、ぎゅーって抱きしめた。
しばらく、すると
『健翔?痛いよ』
俺は力を緩めると、伊織は笑ってた。
「ごめん。ごめん(苦笑)」
『ちゃんとお迎えにきてね?約束だよ?』
「あぁ。もちろん。指きりしよう?」
そう言って、伊織と約束したんだ。
「一度、おうちに戻ってから、俺の家に行こうね」
『うんっ』
「良かった。」
一応、伊織はひとりぼっちにはならないみたいだ。
一通り、話が終わったのか志貴さんが声をかけてくれた。
「樹君。勝手に決めてごめんね?」
「いえ。これは俺がでしゃばるところじゃないんで(苦笑)」
うまく笑えていただろうか。
「これ。渡しておくよ。」
メモのようなものを渡された。




