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即興短編

僕はとっても変な顔のイケメン

 僕を初めて見た人はみんな笑ってくれる。

 僕の顔がとっても変だからさ。

 斜めにしたピーナッツみたいなツリ目。それがめっちゃ離れてついてて、髪も眉毛もゴッワゴワ。鼻は潰れたスリッパみたい。口はいっつも笑ってる。ニキビだらけの顔に大きな黒縁メガネかけて、変なポーズで踊るように歩くんだ。通りすがりさんも思わず笑ってくれるぜ。ヘイ!


 こんな見た目に産んでくれた母さんを僕は愛してる。おばあちゃんからは目の小さいパグを可愛がるように溺愛されてる。じいちゃんも父さんも、いつも大抵機嫌が悪いのに、僕の顔を見るなりププッと笑ってくれる。でもただ一つおかしいことは、僕は誰にも似てないんだ。僕の家族にこんな変な顔の人は、他には誰もいないんだ。


 まぁ、どうでもいいけどね。


 だって今、僕は家族のみんなを愛してて、みんなも僕を愛してくれるから。


 僕にはもちろん彼女がいる。僕に彼女がいないとでも思ったかい?

 彼女は女優のタマゴで名前は『ランちゃん』。おっとフルネームは教えないよ。だって彼女は僕だけのものだからね。


 彼女はいつも不機嫌。もちろん僕が女の子にモテモテだからさ。いっつも桃色の視線を僕が女の子達から受けてるから気が気じゃないみたいだ。そんな心配いらないのにね。


 ある日、ランちゃんが「別れましょう」と言った。

 モテモテの僕と一緒にいるのが辛くなったらしい。

「うん、いいよ」って僕は笑って答えた。「ランちゃんがそのほうが楽なら」って。

 そうしたら急に激しく抱き締められて、熱烈なキスで攻撃されたんだ。彼女はとっても怒ってた。女の子の気持ちって難しいや。


 僕は自由に僕だけの道を行くよ。だって世界にこんな変な顔の人間は他にいないからね。僕には僕にしか出来ないことがある。それを見つけに行くんだ。


「好きです! つき合ってください!」といっぺんに言われたことがある。

 横に並んだ10人の女の子から、一斉にね。


 僕はもちろん言ったよ、「嬉しい!」ってね。


 でももちろんランちゃんがいるからつき合うことは出来ない。それを言ったら「サインをくれ」ってさ。

 そしてみんなで集合して写真を撮ったよ。みんな可愛い女の子だったから、変な生き物と妖精たちの集合写真さ。


 夜の町に雨が降り出したら、僕は上を向いて笑うんだ。

 メガネのレンズがただでさえ牛乳瓶の底みたいなのに、それが雨粒でさらに盛られて、まるで盛り上がったおっぱいみたいになるから、それが可笑しくて。


 公民社会は川の流れ。僕はその中をすいすい泳ぐんだ。とっても元気のいい小魚みたいにね。


 僕が泳いでるのを見ればみんな笑ってくれる。


 この世は素敵だ。


 カッコいいやつを見ると仲良くしたくなる。


 手をがしっ!と繋いで、ニヤリと笑い合うのさ。まるでライバルみたいにね。


 そしてそいつと音楽を奏でるんだ。


 イケメンは自分で作れるのさ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章からもこの彼のカッコよさが伺えますね! 自信があることは凄い!
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