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死神の物語  作者: 笠井
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第四十話 死神は神の力に抗う。

「なっ!?」


 俺の発表に神騎士は目を見開かせ、殺気をふんだんに振り撒いた。


「貴様アアアアアァァァァァァァァ!!!!」


 ブン!


 神騎士は激昂したまま剣を振り下ろす。






 その瞬間。






 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!






 さっきまでとは比べものにならないくらいの光の雨というより滝が降り注ぐ。


「きゃあああああああああああ!!!!先輩〜〜!!神様ぶちギレさせてどうすんですか!?」


 ミリアが騒いでいる。そんなミリアに俺は、


「耳元で騒ぐな!!ドアホ!!」


 怒鳴った。ノルンは、


「悠志も声抑えて。耳痛い。」


 耳をふさいで涙目になっていた。可愛いらしい。


「というか、貴方たち随分と余裕ね。」


 とか言ってるクレアも笑みを崩さなかった。


「だってこの結界、一発当たって無事なら滝のように降っても大丈夫だし。」


 『永久結界』は一撃で壊さない限り永遠に壊れない。


「しかし、さすが神様ですね〜。こんな滝みたい光弾を1人でだせるんなんて。」


 ミリアは神騎士を見上げながら感心した表情で言った。だけど、それは間違い。


「あら?貴女、気付かなかったの?」


 クレアは信じられないものを見たかのように言った。クレアも気付いてるようだ。


「え!?どうゆうことですか?」


 と、ミリアは叫んだ。


「あのうるさいのの近くに3、4人いたわよ。あの人の攻撃の隙間を埋めるように同じ魔術を放ってるわ。」


 と、クレアは言った。

ちなみに俺は『永久結界』に当たってる光の雨にあの神騎士とは違う魔力を感じて、神騎士に仲間がいることを知った。


「え〜っと・・・仲間がいるってことは、もしかして、しばらくこのまま続く・・・って意味ですか?」


 ミリアは苦笑しながら俺に聞いてきた。なので俺は、


「そうなるな。」


 そう言っておいた。それからしばらくして、


「退屈になりますね。」


 ミリアがため息をついた。


「いや、それは困る。今日、蕎麦食いに行くんだ。」


 俺は蕎麦屋でオモシロイ蕎麦を食わせてやると聞いたのでぱっぱと仕事を片付けるつもりだった。


「先輩。だったらなんでクレアと戦おうとしたんですか?」


 ミリアは呆れていた。まあ、クレアと出くわしたら俺は必ず医療室で寝込んでいるからだろう。


「それはそれ、これはこれ、だよ。」


 俺はそう言っておいて、打開策を考えていた。










 神騎士視点・・・


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!


「くそっ!!何故破れん!?」


 私はあの死神の結界の強度にいらついている。こっちは4人がかりで組んだ術を死神は結界一つで防ぎきっている。

これは屈辱だ。我々は神に従い、自らも神として行動してきた。たかだか人間ごときに遅れをとるわけにはいかない。

すると、後ろから部下が私に近寄ってきた。


「第二術式が完成しました。・・・指示を。」


 部下はそれだけ言った。私は、


「あの死神に我等の力を見せよう。配置につけ!!」


 私は叫び、部下は配置につき準備を整える。


 さあ、神の力を見せてやろう。










 神崎 悠志視点・・・


「たくっ、いつまで続くんだ?この魔術・・・」


 俺はため息をつき、いつまでも降り注いでいる光の雨を見上げた。


「先輩。この際、クレア差し出したほうがいいんじゃないんですか?」


 と、ミリアは言った。

当のクレアは、


「ひどいわ。私、売られるのね。」


 よよよ、と嘘泣きした。


「でも、差し出すにしても、これじゃ話すら持ち掛けれない。」


 ノルンは結界の外の光の雨を指さした。たしかに、大声だしたところで聞こえてないだろう。


「たくっ、無駄に魔術使うなって〜・・・の?」


 俺は『永久結界』を通して、違和感を感じた。


「ノルン、周りを見てくれないか?」


「?」


 と、ノルンに聞いてみると、首を傾げながら、周りを見渡してもらうと、


「光線の痕の幾つかに濃い魔力が残ってる。陣を張ってる。もうすぐ発動する。」


 ノルンは淡々と答える。


「せ、先輩!この結界、大丈夫なんですか!?」


 ミリアはあわてふためいた。


「陣、張るほどの魔術よ。多分、壊れるわね。」


 クレアは静かに言った。


「だよな〜。陣張るのと、張らないのだと威力の差が大きいしな〜」


 俺はため息ついた。明日の朝日が拝めないかもしれない(もう死んでるが)。


「先輩!!逃げようにも、光の雨が邪魔してきます!!」


 と、ミリアは言った。


「はあ、仕方ない。」


 俺はため息をつき、刀に手をかける。


「貴方、何する気?」


 と、クレアは俺に聞いてきた。


「永久結界は一度耐えれば何発放っても壊れない。だから、結界の強度を限界まで上げてやる。」


 俺はそう言って刀に魔力を込める。


「ねえ、無駄だと思うけど私の魔力も刀に込められる?」


 と、クレアが聞いてきた。無駄だというのは人の魔術に他人の魔力を流し込めないから無駄であるということであろう。だけど、


「荒技使えば、出来る。」


 と、俺は言った。幸いなことに方法はある。それを聞いたクレアは笑顔で、


「なら、教えて。私、魔力だけならあのうるさいのよりあるから。」


 と、言ってきた。


「わかった。ノルン、頼む。」


 俺はノルンを呼び、ノルンは寄ってきた。


「ノルンは無理矢理、他人の魔力を受け入れるように改造することが出来るんだ。」


 俺はノルンの頭を撫でながら言った。


「悠志。出来た。」


 ノルンはそう言って、刀から手を離した。


「ありがとな。ノルン。んじゃ、やりますか。」


 俺は刀を握る。


「そうね。」


 クレアも続いて刀を握る。その後、


「死神!!これが最後だ!!その女を差し出せ!!そうすれば命は助けてやる。」


 神騎士が騒ぎ立てる。

しかし、もう陣と術式の魔力が満ち始めている。結界を解いたら即殲滅にかかるつもりだろう。


「するか、ボケ!!」


 まあ、とりあえず拒否の言葉を言っておいた。


「愚かな!!世界が破滅してもいいのか!?」


 神騎士は叫ぶ。


「クレアは俺が殺すって言ってんだよ!!大体この前、街に死霊がうろついても何もしなかったくせに偉そうに言ってんじゃねえ!!」


 俺は随分前に、死霊が街に現れたくせに神達は何もしなかったことの不満をぶちまけた。


「何を言っても無駄なようだな!ならば喰らえ!!神の力を!!」


 神騎士は剣を天に掲げ、


「死ねえーーーー!!」


 ブン!


 剣を振り下ろした瞬間、周りが光り始め、


「先輩・・・防げますか?・・・アレ・・・」


「さあね、情けないけどクレア頼みだな。というかお前も結界に魔力送るの手伝え。」


 頭上には馬鹿でかい光球があった。てゆうか神様は環境破壊という言葉を知らないのか?

そい思った瞬間、


 ゴオ!!


 馬鹿でかい光球が、


 ガツン!!


 結界にぶつかった。


「ぐっ!!」


 ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ!!!!


 光球と結界がぶつかり合い、どんどん魔力が持っていかれる。


「人一人に殺すのにどんだけ手間かけてんだよ!?」


 と、俺は愚痴る。


「ホントね!もっと別なことに力を入れてほしいわ!!」


 クレアは苦笑いしながら言った。


「二人とも!なんでそんな軽口が言えるんですか!?」


 ミリアは信じられないものを見て喚いている。光球はいまだ衰えない。


「ああ、もうこの際、全魔力注いでやる!!」


 俺は残ってる魔力全てを刀に注ぐ。


 ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ!!!!


 光球はまだ消えずに結界を消そうとしている。


「マジで・・・ヤバイかも・・・」


 俺の魔力はあと少しで無くなる。


「貴方!もう少しくらい頑張りなさい!!」


 クレアが俺を叱咤する。今更だが、俺達、殺し合う仲だったはずなんだが。


(なんでこんなに仲良く結界の強化をしてるんだ?)


 そう思ってたら、


「フハハハハハハハハ!!!どうだ!死神!!これが神の力だ!!これは絶対的な力!!貴様らみたいな人間風情がどう抗おうと決して破れぬ力!!そのまま押し潰されろ!!」


 神騎士は見下すように高笑いを始めた。

なぜか俺はあの姿を見て、






(・・・なんか・・・)





 殺意が湧く。






 あそこで高笑いしている神騎士が腹立たしい。何もしない癖に自分達が高潔な存在だと喚いているアイツらが腹立たしい。そのくせ相手を貶めることしか考えないアイツらが腹立たしい。そしてなにより






 つまらない自尊心で人の大切なものを奪っていったアイツらが腹立たしい。






 しかし、アイツらの力は人間より高い。これだけは真実だ。だから俺は、


「ミリア・・・魔力って何だっけ?」


 ミリアに聞いてみた。


「はあ!?先輩!!とち狂ったんですか!?」


 ミリアは怒りながら言った。たしかにこの状況でこの質問はイカレた奴しか答えない。


「いいから・・・答えてくれ。」


 それでも俺は繰り返す。そしてミリアは呻きながら、


「ああ〜〜もうっ!!

魔力とは、魔術に使うのに必要なエネルギーで、自分で精製したり、大気から取り込んだりできます!しかし、一人に取り込める量は限りがあり、

その限界量は個人差です!!多くの魔術師はその量を上げるために血の滲むような鍛練をします!基本的には精神面が大きく左右されることにより、魔力とは精神力だと力説してる方もいます!!ハイ!言いましたよ!!馬鹿やってないで結界の強化をして下さい!!」


 と、ほとんど一息で答えた。俺はこれを聞いて、


(魔力イコール精神力・・・ね。)


 俺はそれだけが聞きたかった。俺みたいな普通の一般人では、しかも半年の訓練では魔力量は他の色夢より低い。だけど今だけ・・・今だけなら、


(あの高笑いしているバカが目の前にいるなら・・・)


 負けたくない想いで溢れてるこの状況なら・・・


「上がるはずだ!・・・」


 俺はあの神騎士の高笑いを消すために、


「え!?今まで少ししかなかった先輩の魔力が・・・」


「嘘・・・」


 ミリアもクレアも驚いている。当然だ。自分でも信じられないくらい魔力が湧き上がってきたのを感じる。だから、






 俺は湧き上がってくる魔力を刀にぶち込んだ。






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