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死神の物語  作者: 笠井
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第三十九話 死神は神に出くわし、公表する。

「何故、その者を庇う?死神。」


 空から偉そうなやつが降りてきた。偉そうなやつは白い軍服を着こなし、腰に西洋の剣を吊し、背中には翼が生えていた。


神騎士かみきしか?」


「ふん。どうやら死神には珍しく常識はあるようだな。」


 たしかにうるさいのが来た。


「せ、先輩。神騎士ってなんですか?」


 ミリアが小声で聞いてきた。


「ああ、そのまんま。あちらさんは神様のお偉いさんに忠誠を誓ってる騎士団の1人だよ。つ〜か、白夢の一般教養で教えてもらわなかったのか?」


 神騎士(団員も下級の神族で形成されている)や神についてはあちらさんの意向で白夢の時にしっかり教わるはずだ。


「あはは(汗)。実はその日、一緒にコッチに来たおばあちゃんが輪廻に還る日だったんで欠席しちゃいました。」


 ミリアは苦笑しながら言った。


「ふ〜ん。貴女、よく色夢にいるわね。」


 クレアがニヤついた顔でミリアに言った。


「そ、そうですね〜。先輩がいなかったら一生黒夢だったかも知れないですね〜」


 ミリアの苦笑は止まらなかった。


「ねえ、悠志。ミリアのおバカな発言で偉そうなのが震えてる。」


 ノルンがそう言ったので、神騎士のやつを見ると、確かに若干握りこぶしをし、震えていた。


「話は終わったか死神。死にたくなければ、私の話を聞け。」


 神騎士のやつは苦虫を噛んだような表情で言った。俺はどうぞどうぞとジェスチャーをした。


「んっ!うん!!ではもう一度聞こう。何故、その女を庇う?死神。」


 神騎士のやつはクレアを指差した。


「なんでと言われてもね〜。こっちが聞きたいよ。俺はクレアと殺し合いをしていたら辺りが魔力と殺気が満ちはじめて、いきなり光が降ってきた。んで俺はミリアとノルンを守るためにこの結界を張ったら、クレアが入り込んだ。そんなわけだから、クレアを庇おうなんてこれっぽちも考えてねえよ。つ〜か、いきなりなにしやがる。邪魔すんな、ボケ。」


 俺は相手のことを全く考えない口調で言ってやった。


「貴様。死神の分際で私に暴言するなど・・・」


 神騎士は俺を睨みつける。


「そりゃ失礼。いきなり巻き込むヤツに礼儀なんな必要ないと思ったんでね。」


 殺し合いを邪魔され、巻き添えくらったコッチの身にもなってほしい。


「せせせ先輩!神様相手にヤバイですよ!」


 ミリアは怯えながら叫ぶ。


「無理。悠志はイラついたら一夜や百万の死霊、地獄の王たちにだってケンカ腰になる。」


 ノルンはどこか諦めた口調で言った。


「う〜ん。地獄に嫌なやつなんかいたかしら?基本的にはアレよりかはマシなのが多いと思ったけど・・・」


 クレアはというと地獄のやつらについて独り言を言ってる。神騎士はというと、


「まあいい。そんな些細なざれ言よりも・・・」


 さっきまで激昂してたのとうって変わり、腰に差している剣を抜き、






「その女を差し出せ。死神。その女は邪悪。葬らればならん。」






 と、言い放った。






「神騎士に邪悪なんて言われるなんて・・・クレア。お前、何したんだ?」


 俺はクレアに聞いてみた。


「何言ってんですか?テロ行為に決まってるじゃないですか。」


 と、ミリアが首を傾げながら言った。


「普通のテロリズムならわざわざ神様がお出迎えしね〜よ。」


 神と名乗るやつは基本、ミルディンの絶対地区に引きこもっていて、そこになんの被害がなければ、そこらのビルに200人を人質にし立て篭もっても、連続殺人鬼が街にうろついても何もしない連中だ。


「クレア・・・お前、何するつもりだ?」


 俺は改めて聞いてみた。すると、


「その女は世界を我が物にしようとしているのだ。」


 聞いてもいない神騎士が答えた。


「マジ?」


 俺は半信半疑だった。コイツなら世界征服出来そうだし、人の運命を操るなんて出来ないから、世界を乗っ取ったって意味が無いと思ったからだ。すると、


「ふふっ。まさか。私、そんなスケールの大きいことなんてしないわよ。」


 笑って否定した。


「ふざけるな!!貴様が死霊を手下に加え、我等に歯向かうことは解っている!!」


 神騎士は池に落としたら水が沸騰するんじゃないかと思うくらいぶちギレた。


「あ〜、アレね。アレ、クライアントの指示よ。ビ・ジ・ネ・ス・よ。」


 と、クレアは笑みを崩さず答えた。


(クライアント・・・依頼主ね。やっぱりクレアは使命とやらで動くタイプじゃないらしい。)


 俺はそんなどうでもいいことを考えていた。


「ほう、我等に歯向かうことは否定しないのだな?」


 神騎士は笑みを浮かべる。その笑みはぶっちゃけ、セクハラ親父のソレに等しい。俺はその顔をみて


(気色悪り〜)


 と、口には出さなかったが、即座に思った。


「そうね。クライアントは世界を創り変えるなんて言ってたし、私達もそっちに用があるし、戦うかもしれないわ。」


 と、クレアは言った。


「ではやはり貴様は邪悪だ。」


 そう言って、神騎士は剣を振り上げた。


「結界を解け。死神。次のは、先程よりも強大。貴様の薄い結界では紙クズ同然。早くその女を我等に捧げろ。」


 と、神騎士は偉そうに言った。俺はため息をつき、


「クレアは俺の所有物じゃないし、渡した瞬間、斬られかもしれないだろ。しかも今、俺は現在進行系で人質っぽいよ?」


 こんな状態でどうやってクレアを渡せばいいのか分からなかった。


「あら?逆の立場だったらあのうるさいのに渡すつもりだったの?」


 クレアは目を細め、微笑みながら言った。


(分かってるくせに・・・)


俺もつられて笑ってしまった。


「まあ、この際ハッキリ言うが・・・」


 俺は周りにいるみんなに聞こえるように、






「答えはNOだ。コイツは俺の獲物だ。それを邪魔するなら、神だろーが、悪魔だろーが、一万人の社長だろーが、まとめてぶった斬る。」






 と、言ってやった。



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