第三十八話 死神は再会し、そして邪魔される。
神崎 悠志視点・・・
俺はフードを倒して、ミリアのところに向かった。すると、
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ。」
「体力ないね。」
ミリアが息切れしていた。
「ミリアさ〜ん。生きてる〜?」
「な、なんとか・・・」
ミリアは地面に寝そべり呼吸を整えていた。
なんというか、女の子らしくなかった。
「悠志・・・私の心配はないの?」
ノルンは俺を見つめながら言った。
「心配したいが・・・心配させる要素がない。」
ノルンは下手すれば俺より強いかもしれないので素直に心配できない。
「そう・・・」
ノルンは少し肩をおとした。表情ださないけどがっかりしているのだろうか?
「まあ、後でケーキ奢るか。」
俺はそうつぶやき、とっととミリア連れて戻ろうとすると、
(・・・ん?)
なにか違和感があったので、
「竜刃。」
違和感があるほうへ斬撃を飛ばすと、
ガキン!
金属音が鳴り響いた。
(やっぱり・・・)
俺はニヤついている、
「いたんだな・・・」
アイツがここにいることに血が騒いでいる。
「もう少し早く気付いてほしかったな。」
現れた銀髪の女。
「ああ、悪いな。」
確かにもう少し早く気付けばよかった。
「クレア。」
「さあ、始めましょう。今度は余計な邪魔は入らないわ。」
クレアは妖しく笑いながら『魔爪』を構える。
「ああ、そうだな。」
エイレンシアに血は抜かれ、遠野さんには茶飲みだけにしろと言われたが、アイツを見てから、そんなもんどこ吹く風だ。俺は刀を構え、
「いくぞ!!」
切り掛かった。
ミリア視点・・・
「あわわわ、た、大変です。連絡連絡。」
クレアが来てしまった。また先輩はクレアに挑んでいる。私はとりあえず規定のとおりに社長に連絡を入れた。
『よお、新人のミリアか。どうした?神崎がまた死にかけてんのか?』
「近い将来かもしれないけど違います!クレアが!クレアがきました!!」
と、私が叫ぶと、
「ちょっと!そこの子!うるさいわよ!」
「ミリア!!少し黙ってろ!!」
「うるさい。」
『少し声を抑えろ。』
全員に怒られた。というかなんで敵にまで怒られないといけないんですか?
『しかし、あの馬鹿。茶飲みだけにしろって言っただろ。』
社長は呆れたように言った。
「ど、どうすればいいんですか!?」
『妨害したら即来世だからな。手を出すな。』
(しませんよ。そんな無謀なこと。)
私はあの二人をちらりと見てみると、
ドン!ドン!ドン!
「ハア!」
カン!カン!カン!
「うらあっ!!」
「ああああ!!」
カン!キン!ガキン!ガン!キン!ガキン!ガキン!ガン!キン!
もう、軍隊きても止められないくらいヒートアップしていた。
『とりあえず、ルカと伊織に連絡いれる・・・ん?エイレンシアから通信?・・・』
社長はそう言ったあと、30秒くらい黙り込んで、
『オイ!お前ら!!今すぐこの地域から離れるか、神崎に引っ付け!!』
慌てた声でそう叫んだ。
神崎 悠志視点
カン!キン!ガキン!ガキン!ギン!キン!ガン!
俺は何度めか分からない打ち合いをしていた。
ガキィィィィン!!
少し力を入れすぎたのか、両者ともどものけ反る。
「フォースエッジ・・・解放。」
俺はそのままダブルセイバーを投げ付ける。
ガキン!
クレアは片方の3本の鎌でそれを弾き、
「ふっ。」
お返しとばかりに鎌を投げ付ける。俺は跳んで避け、
「ファーストエッジ、解放。クロノトリガー、発動。」
加速して、木々の幹を蹴って、クレアの背後に立ち、
ブン!
首を跳ね飛ばすように、真横に斬る。
ガキン!
しかし、いとも簡単に防がれた。
「ちっ!セカンドエッジ・・・解放。」
俺は大剣を創り、
「いくぞ!!」
地を蹴り、アイツに切り掛か・・・
ガシッ!
「へっ?・・・はぶっ!!」
何かに抱き着かれ、モロに地面に激突した。クレアも目を見開かせ驚いていた。
「いってぇ〜〜。誰だ!!人がせっかく・・・って!?」
ミリアとノルンが抱き着いていた。俺は腹綿煮え繰り返ってるので、
「ミリア!!ノルン!!てめ〜ら、なにしやがる!?人の邪魔をするなと誰かに言われませんでしたか!?」
俺が怒鳴ると、
「一夜に悠志に抱き着けって言われた。」
「そ、そうですなんかとんでもないことが起こると言われました。」
そんな言葉がかえってきた。
「はあ!?比較的安全な1番ゲート地域に?遠野さんも何ふざけたことを・・・」
言ってんだ?と言う前に、
(なんだ?流れ読みが・・・)
この辺一帯が何かに降り注ぐように貫かれたように見えた。
(上から・・・?)
俺は上を見上げた瞬間。
ブン。
「!?っ何だ!?」
いきなりこの辺一帯に魔力が満ちはじめた。と、同時に殺気も溢れ出ている。
「やばいな・・・お前ら!!俺から離れるなよ!!」
「うん。」
「言われなくてもそうしてます!!」
俺は刀を逆手に持ち、地面に突き刺し、
「永久結界!!」
結界を展開した。その後すぐ、
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!
白い光の雨が容赦なく降り注いだ。
「キャーーー!!せ、先輩!!大丈夫ですかコレ!?」
ミリアが叫ぶ。辺りを見れば、木々は貫かれ、岩は砕け、大地は直径30㎝のクレーターが出来ていた。しかし、
「大丈夫だよミリア。この結界はな。ちっとやそっとじゃ壊れね〜よ。」
と、俺は自信を込めて言った。
「うん。悠志の結界が壊れたところなんて見たことない。」
ノルンもコクンと頷いた。その証拠に環境破壊しまくってる光の雨にたいしてびくともしていない。
「で、でもでも。魔力切れの場合はどうするんですか?」
「そうね。君の魔力量じゃ1分が限界ね。」
確かに俺の魔力量は他の色夢たちより少ない。普通の結界ならすぐに消えてしまうだろう。
「それなら永久なんて名前使わねーよ。」
『永久結界』は刀の能力の1つで、
『戦うことは守ることと同義。』を実現した結果だ。
この結界はくらった攻撃を受け流し、受け流した攻撃に含まれている魔力を喰らって維持している。つまり、必要な魔力は展開する時だけでいいのだ。よって、場合によっては何時間でも維持できるなんとも便利な結界なのだ。
「ふ〜ん。そうなんだ。でも、くらった攻撃の魔力を使って維持しているなら一撃で壊すしかないわね。」
「ああ、この雨みたいなやつじゃ話にならない。こわすなら一撃系だ・・・って・・・アレ?」
最初、ミリアかなと思ったら声や口調が違っていた。俺は後ろを振り向くと、
「あれ〜〜〜???」
「何?私、なにかしたかしら?」
クレアが抱き着いていた。
「なにかしたかしら?っじゃねーーよ!!なんでお前いんの!?」
「しかたないじゃない。朱美みたいな魔術師じゃないし、私の障壁じゃあんなの防げないわ。」
クレアは悪びれもなく髪をかきあげながら答えた。
「ああ、そうかい。つーかなんで俺ら気付かなかったんだ?こんちくしょ〜〜」
「私は悠志に抱き着くのに必死だったから。」
「生き残ることにせいいっぱいでした!」
と、ミリアとノルンは言った。
「ああ、そうかい。んで?コレ何?殲滅クラスだぞ?この魔術。クレア。これ絶対、お前用だろ?なんか心当たりある?あるよな?テロ行為してるお前だもんな?無いって言ったら、イジめるぞ?ミリアが。」
「先輩!?私がやるんですか!?」
ミリアの叫びを無視して、クレアに聞いてみると、
「心当たりね〜、あるにはあるけど話すのは面倒だわ。」
と、言った。
「お前ふざけてんのか?言わなきゃダメでしょ?そういう大事なことは?伊織だったらばっさり斬られるよ。」
俺は少し呆れながら言った。
「まあ、もう少ししたらうるさいのがくるから頑張ってね。」
クレアは笑いながら言った。
「もう少しって、そろそろ蕎麦食いたいんだけど・・・」
結界が壊れる心配はないが、このまま引きこもるのもヒマでしょうがない。そう思っていたら、
「何故、その者を庇う?死神。」
空から偉そうな奴らが降りてきた。