第三十二話 死神は死にかける。
ザザザザ！ドン！ドン！ドカ！
「いって〜〜〜〜」
俺は『ブリューナク』の勢いを殺しきれずに転んだ。というか負担かけすぎて上手く動けなかった。
「・・・っと・・・」
とりあえず痛い身体を無理矢理動かし立ち上がり、槍を見つめると、
（あ〜あ。あんだけ苦労したのに・・・）
槍には血の一滴もついてなかった。
（障壁を壊した瞬間体を反らしたか・・・まあ、閃光の余波で腕一本くらいは・・・）
そう思って、ドレス女を見てみると、
「あんまり、私の子たちを虐めないで欲しいわね。」
会いたかった女がドレス女を抱えていた。
ミリア視点・・・
「あんまり、私の子たちを虐めないで欲しいわね。」
今まで先輩の戦いで呆けていたら、そんな声が聞こえた。私は声のした方を見てみると、
「えっ？・・・」
「あちゃー」
「タイミング悪いですよ・・・」
『黄泉』の講習で聞かされた最強の死神であるクレアがドレスの人を抱えていた。
「ファーストカード・・・展開。」
先輩はクレアを見た瞬間、カードを握り潰し、刀を取り出してクレアに向かって走り出していたが、
「ロック。」
カチン、カチン、カチン。
エマさんが先輩の関節あたりに結界を出現させて動きを封じ込める。
「離せ・・・」
先輩はエマさんを睨みつけて言った。
「自分の身体を見てから言いな。ボロボロだぞ？」
そう、先輩は今、血まみれだった。トゲに貫かれた穴から血が溢れている。いや、頭から足まで血まみれだった。
「まだ・・・いける。」
それでも先輩は諦めずにあがいている。
「バカいうな。そんな身体で戦っても負けるだけだ。しかもそんな結界さえ破れないんだ。諦めな。」
エマさんは先輩を睨んで言った。確かに、そんな身体じゃ死ぬだけだ。
「なら無理にでも・・・」
そう言って先輩は、無理矢理前に進もうとした。無駄だと思った。動かしにくいところに結界を張ったんだから。しかし、
ピシッ。
「なっ！？」
エマさんの結界にヒビが入った。私たちはが驚いた。どこにそんな力があるのか。私は何も考えずに鎌をにぎりしめ、
ブン！
先輩を殴った。
イアン視点・・・
「うげっ！！」
神崎はミリアちゃんに後頭部を殴られ、
しーーーーーーーん。
動かなくなった。
「ありゃあ、死んだな。」
不良Ａさんは痛そうに言った。たしかに死にますね、アレ。
「にゃはははは！！ミリア！あんたがトドメさしてどうすんのさ！？」
エマはお腹を抱えて笑っていた。可愛いです。
「え！？だ、大丈夫ですよ！せ、先輩が殴ったくらいで、し、死ぬわけないじゃないですか！」
ミリアちゃんはあわてふためいていた。
「ミリアちゃん・・・後頭部からガツンと殴るなんて、サスペンス劇場で死ぬパターンですよ。」
タイトルは『私達は見た！？』とかでしょうか？
「ち、ちょっと、貴女！！なんで悠志を殺しちゃうのよ！？」
敵であるクレアはなぜか慌てていて、ミリアを責めた。
「だ、だから・・・せ、先輩は死んでませんよ！？大丈夫です！い、息はあります！！」
ミリアちゃんは神崎を抱えて息があることをアピールした。いや、あんまり振り回すと、
ドパッ！・・・パシャ。
「ガハッ！！」
神崎が死にかけていますよ。
「先輩いいぃぃーーーーーー！！！！」
「悠志！！」
「にゃははは・・・笑うとこじゃないね・・・」
ミリアちゃんとクレアは絶叫。エマはさすがに笑えなくなった。クレアは身体をオロオロさせ、
「あ、朱美！！ち、治癒魔術！！」
朱美と呼ばれたドレスの人に頼み込みました。
「お姉様〜。コイツこのまま死なせたほうが・・・」
朱美さんは物凄くイヤそうな顔で拒んだが、
「朱美・・・死にたいの？」
「す、すぐに取り掛かります（滝汗）！！」
クレアは全てを凍てつかせる微笑と殺気をだして脅した。朱美さんには効果は抜群でした。
１０分後・・・
「ふう・・・出血は止めました。でも、このままだと死にますね。」
一通りの応急処置を終え、朱美さんが現状を説明した。
「もう医療班を呼びましたので大丈夫でしょう。」
オレもとりあえずマイケルに連絡を入れておいた。
「よ、よかった〜〜」
「ホント。悠志が死んだら自殺しようと本気で思ったわ。」
ミリアちゃんとクレアはホッと胸を撫で下ろす。クレア・・・貴女は神崎となにかあったんですか？
「む〜、お姉様、なんでコイツなんかに心配してんですか？」
「あー、それ俺も聞きたい。」
朱美さんと不良Ａさんが質問してきた。正直、オレも気になります。
「ふふ、内緒。」
クレアは誰もが見惚れる微笑みで言った。実際、朱美さんは鼻血がでかけてました。すると不意にエマは
「イアン、浮気は駄目だよ？」
オレに抱き着きながら右手に黒い球体を出現させてニッコリ笑いました。
「大丈夫ですよ。ちょっと恐いですけどコッチの方が好きです。」
とりあえずオレも笑ってエマの頬に触れた。あらぬ誤解で破局の危機に陥るのはたくさんです。
「ありがとっ♪」
エマは黒い球体を消して、ニッコリと笑ってくれました。
「じゃあ私達は帰るわね。」
そう言ってクレアはオレ達に背を向け、不良Ａさんの髪を掴み、ズルズルと引きずった。
「ちょっ！！痛い！痛い！痛い！はなせテメっ！！普通に歩けるから！！」
不良Ａは顔を歪ませ怒鳴り散らした。
「お姉様！あいつら殺さなくていいんですか！？」
朱美さんはそう騒いだ。オレ達もクレア達を倒した方がいいかもしれないけど、
「興味ないわ。それに貴女たちじゃ最強コンビには敵わないでしょ？」
クレアはそう答えた。
「お姉様、戦う気ゼロですか！？」
「んなことより手を離せー！！」
朱美さんは叫んだ。不良Ａは泣きそうだった。するとクレアは、
「さすがに大騒ぎしたあとじゃ・・・ちょっとカッコ悪いしね。」
オレの考えてたことを言った。ちなみに不良Ａさんの叫び無視された。
神崎 悠志視点
変な夢を見た。あの神の夢の続きだ。脂ギッシュな神にパーティーに連れられ、変な女に殺されかかった後、
「−−−−！！何処に行ってたんだ！？」
脂ギッシュな神に怒鳴られた。そいつは、殺されかけたなんて言えないので、
「イカれた美人と踊ってました。」
と、答えた。実際は持ってた剣で数回斬り合っただけでとっとと帰って行った。脂ギッシュな神はその発言に驚き、
「意外だな。お前が女と踊るなんて・・・私はお前はアッチの気が・・・「斬りますよ（笑）」いや、スマン（汗）」
そいつは俺と同じく同性愛は死ぬべきだと思っていた。
それから数日たった午後。そいつは休日でいい天気だったので、
「そうだ。街に出掛けよう。」
京都に行こう的なノリで街に出掛けた。そこら辺をブラブラし、適当に出店があっり、好きな物があったから注文すると、
「すいません、天ぷら蕎麦下さい。」
「すみません、アップルパイ下さい。」
隣の人と声が重なってしまったので隣を見ると、
「あ。」
「あら。」
イカれた女がいた。
