第三十話 死神は不良と出会う。
死霊たちを殺した後、とりあえず俺達は死霊の残党がいないか辺りを30分くらい探した。普通、ここまでしないが、
「もし死霊が残っていたら、他の死霊たちをかき集め、一つの軍隊を作り、ミルディンに攻めていき、あげくの果てに世界が滅亡するかもしれない。」
イアンはこう叫んだからだ。アイツはネガティブシンキングだった。
「なあ、イアン。もういいだろ?さすがに疲れる。」
俺がそう言って振り向くと、
「イアン♪次、あっちいこっか。」
「そうですね。エマ。」
互いの腕を絡ませ、いちゃついていた。
「・・・・・・・」
俺は何も言わず銃を取り出し、
「せ、先輩!?や、やめましょ!?」
ミリアに止められたが、
「どいてくれ・・・ミリア。俺はあのバカップルに鉛玉をぶち込まないと・・・」
俺は幽霊を思わせる(もう幽霊だが)動きで悪霊のごとき呪いをぶちまけたくなった。
「イアン♪」
「エマ♪」
俺の想いを知ってか知らずか、バカップルは互いに寄り添いというか抱き合いながらいちゃついていた。
「なあ、ミリア・・・アレ、殺していいよな?殺していいよね?」
俺は銃の標準をバカップルに向ける。
「だ、ダメですよ!!ほら、人の恋路を邪魔するやつは神になんか色々されて死んでしまえって言いますよ?」
ミリアはなんか物騒なことわざを言った。
「馬に蹴られて、だろ?神になにされんだよ?」
俺は色々がちょっと気になった。
「え、え〜と。最初はパシリや家事をして、疲れているところに熱湯をかけられ、そのまま崖へ落とし。今度は水車に括りつけてそのまま放置して、1時間たったら、鞭でたたき付けられ、変な薬飲まされ、ボコボコにして、今度は痛んだ体をさらにありとあらゆる拷問で痛め付け、そのまま三途の川に流すとか?」
めちゃくちゃ物騒だった。というか具体的だった。
「お前。あいつらにそれ全部やらされたのか?」
「違いますよ!!わ、私は純粋な乙女ですよ!?人の恋路なんて邪魔しません!?」
ミリアは顔を真っ赤にして叫んだ。
「いや、なんか具体的だし。」
「私の想像する色々を言っただけです!!」
ミリアは一ヶ月間叫び続けたかのように肩から息をしていた。そんななか、
「なんだよ。ここにいた奴ら死んじまったのか?使えねえなー」
とっさに声が聞こえ、振り向くと、
「不良だ。」
「不良。」
「不良だな。」
「不良です。」
髪は明らかに染めましたかのような金髪。服装はチャラ男が着てそうなやつで、顔もいかにも不良(顔に傷+目つきが悪い)ですといったようで、10人中8人は不良というであろう青年が立っていた。
「テメーらケンカ売ってんのか?(怒)」
不良は悪い目つきをさらに悪くして睨みつけた。
「じゃあ聞くが・・・アンタ誰?」
とりあえず俺はアイツの名前を聞いてみた。
「はあ?なんでテメーみたいな馬鹿に名乗らなきゃいけないんだ?」
不良は人を馬鹿にしたような顔で言った。俺はイラっときたので、
「よ〜し、じゃあ不良A。なんで此処にいる?」
アイツのことを不良Aと名付けた。
「ハッ!誰が言うか!」
不良Aは反抗的だ。
「そんなこと言わずにさ〜、不良A。」
「そうですよ、不良Aさん。言っといたほうが楽ですよ。」
「つんけんすんなよ。不良A。頼むからさ〜」
「不良Aさん!ここはビシッと言うものです!」
俺達は粘るが、
「テメーら、そんなんであっさり言うと思ってんのか!?しかも全然、誠意が篭ってないし!!」
逆効果みたいだ。
「ちっ。面倒な奴らだ!いつもならぶっ殺してやりたいが・・・仕事があるんでな、ばっくれさせてもらう。」
不良Aはそう言って、俺達に背を向け歩いてった。
「不良A。仕事って何だ?」
俺がそう言うと、
「しつけーな!!誰が言うか!!」
不良Aは言ってくれなかった。そのかわり、
「たくっ!クレアのやつ、なんでこんな馬鹿に執着してんのかね〜」
そんなことを愚痴ってた。
「オイ・・・不良A・・・」
俺の言葉を聞いた不良Aは振り向き、さも面倒くさそうにしてたが、
「んだよ。こちとら急いでん・・・」
ドカン!!
「カハッ!!?」
そんなものは関係ない。俺は刀で不良Aをぶっ飛ばした。
「神崎!!」
「先輩!!」
後ろでイアン達が叫んでいたが関係ない。
「て、テメー・・・なにしやがる!!」
不良Aが睨みつけているが関係ない。俺はただ・・・
「答えろ。なんでお前がクレアを知っている。」
ただそれだけが知りたい。
「けっ!誰が言うか・・・」
ガン!!
俺は不良Aを地面にたたき付ける。
「ガッ!!」
「言え。それ以外しゃべるな。」
俺は不良Aの首に刀を押し当てる。
「さあ、言え。言わなきゃ殺す。」
俺はさらに脅した。
「テメー・・・」
不良Aは苦しそうに唸り、
「調子に乗ってんじゃねえええぇぇ!!!!」
吠えたと同時に炎が巻き上がる。
「・・・」
俺はとっさに後ろに退いた。
「なめやがって!!テメーら全員・・・灰にしてやらあ!!」
・・・メキメキ・・・・ビキン・・・
不良Aは身体が膨張し始め、やがて、
「テメーらみたいなザコに、この姿を見せる必要は無いが・・・テメーは俺をコケにした!!だから・・・」
ボクン!!
「死ぬことが幸せだったと思うくらいに苦しめて殺してやるぞコラあ!!」
「これは大変そうですね。不良Aさんの魔力が跳ね上がりました。」
イアンは剣を抜き構えた。
「まったく。アイツ、クレアのことになると強引になるね。」
エマも呆れながら構えた。
「先輩・・・なんだか恐い・・・」
ミリアは鎌を構えながらも少し震えていた。
「・・・・・」
俺は不良Aが鬼になろうが神になろうが関係なかった。
「オイ。不良A。」
俺は変わらず不良Aに、
「お前がどうなろうがどうでもいい。なんでお前がクレアを知っているか答えろ。」
ただそれだけを聞いた。
「知る必要なんかねえ!!テメーはここで殺す!!」
不良Aは俺に突っ込んできた。
ブン!
炎を纏った巨大な手が俺を襲う。だが俺は、
「なら・・・」
ガキン!!
刀で受け流し、
「お前を半殺しにしてでも聞き出す!!」
鬼と化した不良Aに向かった。
ミリア視点・・・
カン!ガン!キン!ドン!ドン!ズン!
今、先輩は鬼と戦っている。
「死ねやコラ!!」
鬼は爪で先輩を引き裂こうとしている。
「ノロい。」
先輩はなんでもなかったかのように避け、刀を振るう。
ブン!
鬼も負けじと巨大な腕を振るう。
ガキン!!
金属音が鳴り響いた時には、
「ああああ!!!!」
「せらあっ!!」
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
永い打ち合いが始まった。
「へー。神崎、また腕上げたんですね。」
イアンさんは少し驚いていた。
「にゃはは・・・伊織のスパルタって、すごいのね・・・」
エマさんも苦笑してた。それはそうだ。暴風みたいな鬼の攻撃を先輩は丁寧に受け流している。
「けっ!!忌々しい!!」
鬼はそう吐き捨て、
「いきさらせ!!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
鬼は炎を吐いた。とてつもなく大きな炎が先輩を巻き込む。
「先輩!!」
私はとっさに叫んだ。
しかし、
「くだらねえ・・・」
先輩の声が聞こえた瞬間、
ブン!
炎が消えてしまった。
「なっ!?」
鬼は驚いていた。当たり前だ。炎を斬ったのだから。しかし私は、先輩の異様さに、
「恐い。」
そう思ってしまった。
神崎 悠志視点・・・
「ホントにくだらない。この程度で俺らを殺せると?思い上がるのもいい加減にしてほしいな。」
俺がそう言えば、
「くくっ・・・」
不良Aはニヤリと笑い、
「アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!!」
いきなり大笑いした。
「炎を斬ったくらいで何調子乗ってんだよ!テメーこそ、このくらいで俺に勝てると思ってんのか!?」
不良Aはそう叫んで、俺に襲い掛かる。
「死ねえ!!」
ブン!
不良Aは腕を振るう。
「もういい加減いいか?」
俺はため息をし、そう言って、
ガキン!
刀で防いだ。
「何が・・・もういいのかだって?テメーは死ぬんだ!俺に殺されてな!」
ブン!
もう1本の腕が俺に振り下ろされる。
「お前を半殺しにするのをだよ!!」
ガキン!
俺は刀で不良Aの腕を弾き、すぐに刀を捨て、
「セカンドエッジ・・・解放。」
大剣を創り、左手で構え、
「乱撃・・・」
ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!
「五閃!!」
「ガッ!!」
『乱撃・五閃』で不良Aの右手を切り裂いた。これだけではあまり効果が無い。
「へっ!どうした!?もう終わ・・・」
不良Aが言い終わる前に、あらかじめ創っておいた大剣を右手に持ち、
「二式・・・」
ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!
「乱撃・十閃!!」
不良Aの右手を切り裂く。
「ギッ!!」
不良Aの顔は苦痛で歪む。俺はそんなことを気にせずに、
「三式・・・」
二本の大剣を交差するように持ち、
ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!
「乱撃・・・二十閃!!」
「ぐあ!!」
今の連撃で不良Aの四肢を切り裂く。ついでに、
「らあっ!!」
ブン!ドゴッ!!
「がああ!?」
筋力を増強させた一撃で不良Aをぶっ飛ばす。
そして、
「終わりだ・・・終式・・・」
俺は左手に持ってる大剣を逆手に持ち替え、
「乱撃!!」
ぶっ飛ばした不良Aに向かっておもいっきり、
ブン!
ぶん投げた。ぶん投げた大剣は1本の線みたいに真っすぐ進み、
ザク!
「ガッ!!」
突き刺さった。
「へっ!堪え切った・・・」
不良A(まだぶっ飛ばされている)はニヤリと笑っていたが、
「絶牙!!」
「なっ!!?」
ザクリ!!
背後から大剣を不良Aに突き刺す。
「ガハあ!!・・・て、テメー・・・いつからそこに・・・」
不良Aは血を吐きながら息切れ気味に言った。
「『乱撃・絶牙』は片方の大剣を投げてすぐに双剣を創り、加速して背後に回り、もう片方の大剣で突き刺す技だ。しかし、普通にやったら避けられるし、カウンター喰らってしまうからね、『乱撃・五閃』から始めて、止めに使うしか効果がなかったんだ。」
俺がそう言ったら、
「ハッ・・・イカれて・・・やがる。」
何故か罵倒された。