第二十ニ話 死神は再会する。
あのコアを取り出してから翌日。
「ゆ〜君!おはよ〜う!起きて〜」
心地よいベットで寝ていた俺をエイレンシアがたたき起こした。
「おはよう、エイレンシア。そしておやすみ。」
エイレンシアには悪いが、眠いので二度寝することにした。だが、
「起きてよ〜。修理手伝って〜」
しつこく起こしにくる。
「分かった分かった。今着替えるから廊下で待ってなさい。」
俺はため息をしながら起き上がった。
「わ〜い!」
エイレンシアは俺の言うとおりに部屋から出た。
「さてと。」
俺は二度寝したいのをこらえ、着替えることにした。
交通班・研究所より、
着替えた俺はエイレンシアと一緒に研究所に行った。
「で?どこにあるんだ?」
俺はロボットのありかを聞くと、
「この部屋の中よ。」
エイレンシアは隣にある部屋を指差した。とりあえず、入ってみると、
ガラッ
ガラクタの山があった。
「じゃあ、ちゃちゃっとやりますか。」
エイレンシアはロボットの組み立てを始めた。
「へいへい。」
俺もそれに続いた。
3時間後・・・
「なあ、エイレンシア。」
「な〜に?」
「コレ・・・どこで拾った?」
組み立ててるうちに、そんな疑問ができた。なぜなら見たことがあるから。
「ゆ〜君が仕事でマフィアっぽい死霊たちがいた塔があったでしょ?そこの近くで見つけたの。結構、高性能なやつだから拾ってきちゃった☆」
エイレンシアはそう言った。
「へー。そうなんだ〜(汗)」
あの塔の近くにあったのなら確定だ。そして、
「ハイ、完成〜」
屍が出来上がりました。
「ちょっとまてえぇぇーー!!」
俺は叫んだ。そりゃもう盛大に。
「うるさい!何があったのよ!?ゆ〜君!」
その叫びで俺はエイレンシアに怒られた。しかし、そんなことはどうだっていい。
「エイレンシア!なんでコイツを拾った!?俺、コイツに狙われてんだぞ!?」
もしかしたら起動した瞬間、バッサリ斬られるかもしれない。
「え〜。そんなことないよ〜。修理だったら、ゆ〜君、死んじゃうかもしれないけど。損傷すごかったから、作り直すことにしたし、もうプログラムは消えちゃってるよ。きっと〜」
エイレンシアはクスクスと笑いながら言った。
「そうなのか?何となくイヤな予感しかしないけど・・・」
エイレンシアだし、ミスという名の奇跡を起こして、プログラムがそのまま残ってるかもしれない。
「ゆ〜君。いくら私でも失ったプログラムを呼び戻せないよ〜」
アハハ、とエイレンシアは笑いながら言った。
(信用できないんだが、 エイレンシアだし、ミスという名の奇跡を起こして、プログラムがそのまま残ってるかもしれない。
「ゆ〜君。いくら私でも失ったプログラムを呼び戻せないよ〜」
アハハ、とエイレンシアは笑いながら言った。
(信用できないんだが、いまさら、どうしようもないしなあ。)
もう運命だと思ってしまうことにした。
「じゃ!起動しましょ!」
カチッ
エイレンシアは屍の起動スイッチを入れた。すると、
ヴゥン
「・・・ギギ・・・ガッ・・・」
屍は起動した。
「なあ、本当に大丈夫が?」
めちゃめちゃ不安になった。
「大丈夫だって。ゆ〜君、あいつをボコボコにしたんでしょ?それに武器なんか持ってないし、楽勝よ。」
エイレンシアは笑いながら俺を励ました。
「ギッ・・・ガッ・・・言語機能二・・・不備・・・アリ・・・自己修正ニ移行スル。」
「いや、すらすらしゃべってんだろ!?」
俺がツッコミを入れると、
「うるさい。黙れ。」
「修正、はやっ!?」
さっきより何倍も流暢に言った。
「ハイハイ。漫才はいいから、ねえ君、調子どう?」
エイレンシアはそう言って、屍に近づいた。
「・・・修正完了・・・お前が私の新しい主か?」
「機械に限界はないのかよ・・・」
流暢にしゃべった屍に驚いた。
「そうよ。あなたの名前は『屍』らしいわね。」
エイレンシアはそう答えると、
「そうだ。主よ何なりと命令をしてくれ。」
屍はそう答え、ひざまずいた。
「う〜ん、そうねぇ。」
エイレンシアはそう言って考え込んだ。
(スゲー、イヤな予感がする。)
俺はそう思い、静かに帰ろうとすると、
「私がいいと言うまでゆ〜君と戦って☆」
「承知。」
「やっぱりか!コンチクショーーー!!!!」
俺はすぐに槍を創り、構えると、
「主・・・」
屍は重苦しく言った。
「な〜に?」
エイレンシアは軽い感じで言った。
「武器がないので・・・貸してくれないか?」
いきなり緊張感がなくなった。
「いいよ〜。え〜と、あった!ハイ!」
エイレンシアはそこら辺にあった剣(白夢に支給されているやつ)を渡した。
「フム・・・私の腕には合わないが・・・まあいいだろう。」
屍は剣を構え、
ブン。
一瞬で俺の前にいた。
「なっ!?」
「驚くヒマも与えぬ!」
ガキィィィン!!
屍の斬激をなんとか受け止め、後ろに下がった。
「槍にしといてよかった。」
俺の槍の特性である『流れ読み』の強化がなかったら真っ二つだっただろう。
「やるな。」
屍は剣を構えながら言った。
「たくっ、なんでさっきまでカタコトだったのにいきなり流暢にしゃべんだよ?」
俺はそうグチると、
「部品がなかなか良い物を使ってるからか、以前よりしゃべりやすくなったようだ。」
屍はそう言った。俺はその言葉に疑問がわいた。
「以前だって?お前、前の記憶があるのか?」
「そうだな・・・霧に包まれたかようにボヤけた感じだが、少しはあるな。」
屍は考え込むそぶりをしながら言った。
「お前、ホントに機械か?」
実はサイボーグかもしれない。
「修理をしたお前なら分かるだろう?私は100%機械で出来ている。」
屍は体を叩きながら言った。確かに、解体した時には、人間らしいところはなかった。
「話しが過ぎたな。そろそろ始めようか・・・リベンジをな・・・」
屍は剣を構えた。
「俺と戦った記憶もあるんかい・・・仕方ないか。」
俺は槍を捨て、刀のカードを取り出し
「ファーストカード・・・展開。」
握り潰し、刀を出した。
「お前に・・・敗北を押し付ける!!」
ブン!
俺はそう言った瞬間、屍に向かって切り掛かった。
1時間後・・・
「ハア、ハア、ハア、ハア。エイレンシア・・・もういいだろ?」
「うん。屍、もういいよ〜」
「む?まだ勝敗が決まってないが?」
「いいのいいの。命令はいいと言うまで戦うだけだから。」
「了解した。しかし、決着がつかないのは少し歯がゆいな・・・」
「だから、なんでお前はそう人間くさいんだよ。お前ホントに機械か?」
戦いが終わったので、武器の維持を止めて屍に話しかけた。
「機械だと何度も言っているだろう。ならばドラ○もんはどう説明するのだ?」
屍は言った。確かにドラ○もんがどうやって心を持っているか説明できない。というか、ご都合主義なんだろうとしか言えない。そして、それよりもコイツがなぜドラ○もんを知っているかが気になった。
「エイレンシア・・・お前、コイツにどんな知識を入れた?」
「すご〜い!ゆ〜君、なんで私が屍に一般知識をメモリーに入れたのを知っているの〜?」
エイレンシアは顔を輝かせて言った。
「だれでも分かるわ!」
ロボット関係は全てエイレンシアの趣味でやっているから、指示が出されない限り、そこに首をつっこむ研究員は(命が惜しいので)いない。
「まあ、一般知識がないと色々不便だから、まあいいだろう。ところで、主、頼みたいことが・・・」
屍が頼み事を言うまえに、
「ああ、武器のことでしょ?それなら2・3日くらい待てば出来上がるわよ。」
エイレンシアがそう答えた。
(なんでアイツはこういう趣味には全力以上の力を発揮するんだろう?)
その力でミスを減らす努力をしてほしいと願う。そう思ってると屍が、
「かたじけない。やはり、あの剣ではないと落ち着かないのでな。」
エイレンシアに向かってお辞儀をした。それから、
「そういえば、主はいいとして、お前の名前を聞いてなかったな。」
屍は俺に話しかけた。
「ああ、確かに名乗ってなかったな。俺の名前は神崎 悠志だ。」
「では、神崎と呼ばせてもらおうか。」
そう言って、屍は握手を求めたので俺は屍に握手した。コイツ、ホントに機械か?
(てっ、何回も言ってたら飽きるな。)
そう思ってると、
ピンポンパンポン〜
『え〜、『刃』の神崎さん。すぐに社長室に来て下さい。』
ピンポンパンポン〜
またいきなり放送がかかった。
「神崎、『刃』というのはなんだ?」
屍は俺に聞いてきた。
「俺の異名。色夢にはそれぞれに名前があるんだ。」
俺がそう説明すると、
「なるほど。確かに合っているな。」
屍は納得したようだ。
「あまり、異名では呼ばれたくないけどな。」
俺そう言って、社長室に向かった。