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死神の物語  作者: 笠井
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第十九話 死神は療養中から仕事へ

 稽古を終えた俺達はヘル・エンジェルの調整について話し合った。


「いつも思ってるんだが、羽根の動きが遅い。もっと速く動かせないのか?」


「1枚1枚操作しないとダメなんだ。あのスピードが限界だ。」


 

「1枚1枚いちいち操作しなければ速くなるのか?」


「そりゃ、1つの操作で済むならスピードに集中できるけど、実行すると1枚の羽根だけだぞ。」


「だったら・・・1つのパターンとして操作すればいいだろ。」


「ああ、それいいかも。やってみる。」


 俺は羽根のパターンを考えてみる。


(まずは・・・6枚の羽根で切り刻むやつにしよう。敵を囲みながら切り刻む・・・くそ!イメージがしずらい!最近イメージの練習してないからかな?)


 なら今ここで練習しよう。


「イメージ・・・スタート。」


 これはエイレンシアに教わった最初の魔術。自分の中のイメージをより良くする魔術。普通の魔術師はこんなことはしないらしいが、俺みたいに武器を創造する者には必要な魔術。


(よし。集中しよう。6枚の羽根を使う。どう使うか?敵を囲みながら切り刻む。とにかく縦横無尽に1枚1枚バラバラな動きにする。これをパターンAとする。)


 俺はイメージを繋ぎ合わせヘル・エンジェルにパターンAをダウンロードさせる。


『読ミ込ミ中・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・読ミ込ミ・・・完了・・・コレヨリ、ヘル・エンジェルニ新シクパターンAガ追加サレマシタ。』


「追加成功・・・イメージ・・・終了。」


 なんとかヘル・エンジェルにパターンAを書き込んだ。


「よし、じゃあやってみろ。」


 伊織はそう言ってカカシを置いた。


「セブンスエッジ・・・展開。」


 俺はヘル・エンジェルを創り、


「パターンA実行!」


 パターンAを発動してみた。すると、


 ギュン!


 6枚の羽根が勝手にカカシに向かって動きだし、


 ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!ザン!


 イメージ通りに縦横無尽にカカシを切り刻んだ。


「よっしゃ!!うまくいった。」


 イメージ通りにいったのでかなり嬉しかった。


「ふむ。これでパターンで指示してもうまくいくことは分かったな。スピードはどうなんだ。」


 と、伊織は俺に聞いてきたので、


「ああ、これならスピードが上がるぞ。」


 俺はそう答えた。その時、


 ピンポンパンポーン


『え〜『水月』の神崎 悠志くん。すぐに社長室に来て下さい。社長が待っています。来て下さいお願いします。後、交通班研究所にも来て下さい。所長が寂しがってます。仕事をサボりそうですので、できるだけ早く来て下さい。』


 ピンポンパンポーン


 放送で遠野さんとエイレンシアに呼び出された。


「悪いな、伊織。もう行くわ。」


「ああ、また来いよ。絶対に来いよ。来なかったら夜中にたたき起こすぞ。」


 嫌なこと言われながら見送られた。










 社長室より


「んで、なんか用ですか?放送流すくらいの仕事でもあるんですか?」


 俺は社長室に着いて、いきなり呼び出された理由を聞いた。


「お前にどんなケガがあろうと仕事は休ませないぞ。」


「いや、理由になってないから。てか、怪我人を働かすのは人間としてどーよ?」


「黙ってろ。クレアとやり合って傷つこうが関係ない。ただでさえ人員不足なんだ。おもしろおかしく働け。」


 そう言って遠野さんに1枚の紙を渡された。読んでみると。


『2番ゲート地域にマフィアっぽい死霊の集まりがあった。殲滅してこい。』


 こう書かれていた。


「口で言ってください。口で。紙の無駄です。」


 とりあえず、俺はそう言った。


「気にするな。此処にはリビングとスペクターだけだが、結構武闘派な死霊だそうだ。もしかするとリッチくらい危ないかもな。まあ、こっちも武闘派が多いけどな。」


 遠野さんは笑いながら答えた。


「その1人が言うなよ(汗)」


 俺は呆れながら言った。


「とにかく、お前は此処に向かってくれ。坂塚さかづかを同行させる。」


 遠野さんは真面目な顔で言った。


「坂塚さん?バカップルその2の坂塚さん?なんで?」


「あいつ、生前はボティガードだけじゃなく、殺し屋もやってたから。マフィアには殺し屋だろ?」


 と、俺の疑問に遠野さんは答えた。


「まあ確かに。しかしよりにもよって坂塚さんとね〜」


 坂塚さかづか 正志まさし

 生前はどこかのお嬢様のボティーガードで魔術師をやっていて、さらには殺し屋もやっていたまさに暴力のプロみたいな人だ。しかし性格は優しく、人付合いがいいため人気がある。しかしボティーガードをしていたお嬢様と結婚していて、告白しようとする女性社員はお嬢様によって激減している。俺はその人に銃の使い方を教えてもらったけど、イアン達と張り合うくらいのバカップルなのであまり近づきたくない。


「てゆーか、奥さん、よく了承してくれましたね。」


「ああ、彼女には医療班の仕事があるから今回は許してくれたが、結構疲れるな。」


 心なしか遠野さんは疲れてるように見えた。


「まあ、とにかく行ってこい。エイレンシアにも呼ばれてんだろ。さっさと仕事を終わらせてこい。」

「わかりましたよ。」


 俺はとっととゲートに向かうことにした。
































 2番ゲート地域より


 俺は遠野さんに言われた場所に着いて辺りを見渡すと大きな塔と人が見えた。その人はボサボサな髪型で、古いコートを着て、タバコを吸いながら塔を眺めていた。


「坂塚さん!」


 俺はその人に声をかけた。


「ああ、神崎君か。久しぶりだね。」


 坂塚はにこやかに答えた。


「まあ、久しぶりですね。(あんたらのバカップルさで近寄りがたいんでね・・・)」


「まあとにかく、神崎君が来たことだし行きますか。」


 そう言って坂塚さんは塔に向かって行った。


「普通に行って大丈夫なんですか?相手、マフィアなんでしょ?」


 正面から行ったら蜂の巣にされそうだ。しかし坂塚さんは、


「時間がない。それに・・・君と組むと、あまり作戦なんかいらないと思うんだよね。」


 そう笑って言ったが、


「なんか・・・バカにされてね?」


 なんか傷ついた。


「はは、悪いね。だけど・・・僕も妻のところに早く行きたいんだ。協力してくれるよね。」


「結局それかよ・・・まあいいですよ。コッチも約束があるし。」


 そう言って、俺達は塔に向かった。

























 塔内部よりマフィア達視点


「正面口に侵入者だ!!相手はたったの2人だ!!」

「2人だと!?ナメてんのか!ぶっ殺してやんよー!!」


「血祭りだオラー!!」


 なにやら忙しく騒いでいた。


「何があった?」


「あ、ボス侵入者です。しかもたったの2人!!」


 それを聞くとボスは、


「歓迎してやれ。」


 そう言って自分の部屋に戻っていった。

























 神崎 悠志視点


「坂塚さん。マフィアってのはこんなに用意が早いんですか?」


「まあ、殺るか殺れるか世界だからね。準備は早いほうがいいね。」


 俺達の周りには大勢の死霊がいた。


「てめーら、誰だ?ウチになんか用でもあんのかよ。」


 1人のチンピラみたいな死霊が叫んだ。


「誰だって言われても、死神としか言えねーよ。」


 俺は素直に答えた。


「そうだね。死神としか言えないね。」


 坂塚さんも素直に答えた。


「死神だとぉ!!テメーらやっちまえ!!」


 死神と名乗った瞬間、死霊達は自分の武器を取り出し構えた。


「なんか・・・マフィアってより・・・」


 俺は言いにくくて言わなかったが、


「暴走族だね。マフィアはそこまで荒っぽくない。」


 坂塚さんは素直に言い、銃を構え、


「タイムフリーズ・・・」


 そう唱えた瞬間。


 シュン。


 坂塚さんは消えた。


「オイ!!ボサボサ頭がいねーぞ!!どこに行きやがった!?」


 なぜか俺にそう言ったので、


「お前らの後ろ。」


 そう言った瞬間。


 ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!


「ぎゃああああああああああああああ!!」


「痛ぇーよー!!」


「ぐふっ!!ど・・・こ・・・か・・・ら?」


 ザアアアアアアアアア


 血の雨が降り注いだ。


「神崎君、先に行くよ。」


 そう言った瞬間。坂塚さんはまた消えた。


「いきなりカマすね〜あの人。さすが異名が『時渡り』なだけあるな。」


 坂塚 正志、殺し屋にして魔術師であるあの人は暗殺、殲滅に長けている。その彼が使う魔術は『空間魔術』。それを使えば、時間さえも彼を縛ることは出来ない。


 タタタタタタタタ


 何か足音が聞こえてきた。きっと援軍かなんかだろう。


「ファーストエッジ・・・解放。」


 俺も急がないといけないのでスピード重視の双剣にし、


「其は『疾風』の刃なり。」


 解放の呪文を唱え、


「クロノトリガー・・・発動!」


 加速し、


「テメーらに・・・死を押し付ける!!」


 敵に切り掛かった。

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