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死神の物語  作者: 笠井
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第十七話 死神は療養中

 『黄泉』医務室より


 目を覚ませば、久しぶりの医務室の天井があった。


「ルカが拾ってくれたのか?」


 そう思っていると、


 ズキン。


「いでっ!!」


 身体に激痛が走った。泣きたくなった。


「いってぇー(涙)久しぶりだなぁ。こんなに大怪我したの・・・」


 最近はエイレンシアの実験やミスがなく大怪我する以前に傷付くこともなかった。痛みに堪えていると、


「HA!HA!HA!HA!HA!HA!調子はどうだい?ボーイ?」


 筋肉質な白衣のオッサンが不快なくらい爽やかな笑顔で来た。


「ああ、最悪だ・・・(テメーが来たせいでな!)」


 俺はウザいマッチョにそう言った。このマッチョは医療斑の院長で色夢であるマイケル・アタックである。不快な笑顔とボディビルのような筋肉が特徴だ。腕は確かだが、その特徴の為、あまり利用する人はいない(何も無いのが1番だが)。半年前、俺が三途の川に落ちた時に助けてくれたのもこのマイケルだ。


「んで、今俺の身体はどうなってんの〜?なんか痛みで身体が動かせないんだけど・・・」


「OK!じゃあ説明いくよー!」


 やっぱりウザかった。


「今、ボーイの身体はハッキリ言うと、BOROBOROだね!まあ、筋肉にダメージがかかる攻撃を4回、神経にダメージがかかるって言われる複数創造をしてからの制限解除が1番のダメージだね!後、寸でのところでダメージを軽減したのだろうけど・・・『魔爪』・・・だっけ?そのダメージもハンパないね!普通のヤツだったら治療を受ける前にDeadEndだね!」


 HA!HA!HA!と、マイケルは不快に笑った。


「んで、完治するのはいつ?」


 俺はけだるく言ったら、


「後1日。」


「早えーな!?オイ!!」


 すぐに治るもんなのかと思った。


「ボーイ。私の腕を知らない訳ではないだろう。それに・・・社長から出来るだけ早く治すように言われてるのだよ。」


「あん人、そんなに俺を過労死させたいか?」


「まあ、社長もボーイを心配してるんだよ。」


 げんなりした俺に、マイケルは不快な位の爽やかな笑顔で答えた。


「私としてはね・・・出来るだけじっくり治したいのだけどね・・・」


 マイケルは珍しくしんみりした表情で言った。


「何でだ?」


 俺がそう聞くと、


「私の開発した『マッスル薬』や『マッスル講座』、『筋肉の神秘』について語れないじゃないか!!」


「知るかこの筋肉バカ!!」


 俺は聞いて損したと同時に遠野さんに感謝した。何があってもそんなの聞きたくない。


「まあ、言う必要ないかも知れないけど、安静していてくれよ。ボーイの身体は今、使い古した糸みたいにボロボロなんだ。」


「分かってるよ。目覚めた瞬間、敵に向かって行くほど、馬鹿じゃないしな。」


 俺の答えに安心したのか、


「そうか。じゃ。お大事に。」


 珍しく不快な笑顔ではなかった。痛みが増してきたので俺も寝ることにした。










 変な夢を見た。


 最近あまり見ていなかった。神の夢だ。そいつは退屈していた。仕事も終わり、さあ帰ろうとしたら、脂ギッシュなメタボな神に連行され、あるパーティーに強制参加されたらしい。そこにはこれまた脂ギッシュなやつらやオホホとしか言わないオバハンしかいなかった。連行した神は楽しめと言われたが、こんなところでどう楽しめというのだろうか。そいつは適当に挨拶して回り、あまり美味いとはいえないメシを食べ、外に出た。外に出れば、それなりに見事な庭園があった。花畑が幾つもあり、それに囲まれているかのように噴水があった。パーティー会場の2階から見れば1つの絵になってるだろう。楽しめと言われたから、そこら辺の神たちと話すよりかは月を眺めたほうが百倍楽しいと判断し、庭園のベンチに座り月を眺めてた。そんな時だ。


「こんばんは。いい夜ね。」


 そんな声が聞こえた。声の方向を見れば、女がいた。


「ああ。隣でバカ騒ぎしてなければ、よりいい夜だったかもしれないな。」

 そう答えたら、その女は笑っていた。そして何か喋った後、










 ヒュン!










 いきなり切り掛かってきやがった。

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