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死神の物語  作者: 笠井
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第十一話 死神は予定を聞く。

 俺が二度寝しようと決めたのにそれは今目の前にいる不法侵入者に妨げられた。


(どうやって、鍵を開けた!?)


 そう思ったが、管理人さんから鍵を借りれば済む話だった。


「おはようエイレンシア。もう少し寝かせてほしかったな。」


 俺は寝起きのためか、伊織のストレス発散に付き合わされたからか不機嫌に言ったら。


「しょうがないじゃない。ゆ〜君が仕事ないって言っても、一夜が仕事増やすかもしれないじゃない。」


 まあ、確かに社長だったらやるかもしれない。

なので俺はため息をつき、


「はあ、わかったよ。今準備するから食堂で待ってくれ。」


 俺はそう言ったが、


「ここじゃダメなの?」

 そんな返事が返ってきた。


「いや、着替えないといけないし、ノルンに餌やらないといけないし、結構時間かかるし、それにここなにもないぞ。」


 俺の部屋には家具があまりない。


「ゆ〜君の着替え見るもん。」


 変態発言ぽいのが聞こえた


「変態かお前は?・・・」


「変態なのはゆ〜君でしょ。」


「俺は普通の一般人だ!」


 そんな称号を手に入れた覚えはない。


「だって、ノルンと一緒に寝たり、お風呂入ったりしてるんでしょ。その証拠に今隣で気持ちよく寝てるじゃない。」


 確かに俺の隣にはノルンがいる。しかし、


「ノルンは猫だぞ?」


 そう言ってみたが、


「猫だから変なことしてもいいの?」


(どんだけ俺を変態扱いしたいんだ!)


 俺は叫びたかった。だがまずはノルンに変なことしていないと信じさせる。


「ノルンと一緒に風呂なんて入ってないぞ。」


 そんなことしたら色々ヤバイし、この年で変態というレッテルを貼られたくない。


「じゃあ何で人になってるの?」


「んな訳ないだろう!寝るときノルンは猫だっ・・・・た?」


 ノルンを見ていたらそこにはパジャマを着ていた人型のノルンがいた。


「ノルン〜ちょーっと起きてくれない?」


 俺はノルンを起こした。


「・・・ん・・・」


(うん。可愛い。)


「あ〜!!ゆ〜君ノルン見てニヤニヤしてる!!」


(しまったあああああああああ!!)


 これでは私は変態ですなんて言ってることと同じだ。


(ヤバイヤバイヤバイ、俺の人生がヤバイ!)


 俺は悩んでいるとノルンが起きだし、


「おはよう。」


 と、言ってきた。


「あ、ああ。おはようノルン。」


 俺も挨拶で返した。するとノルンはエイレンシアを睨み出した。


「なによー。そんなこわい顔して?」


 エイレンシアはああ言ってるがノルンが睨んでも全く怖くない(むしろ可愛い)


(あれ?また変態ぽいこと考えてた?)


 そう思っていると、


「ねえ、何でこの女がいるの。」


 ノルンがそう聞くと、


「これからゆ〜君と遊ぶの!」


 エヘンとなにか威張ったポーズをした。


「なら私も行く。」


 ノルンはそう言うと、


「え〜〜!!二人きりのほうがおもしろいのに〜〜!!」


(なんかこうして見るとどっちが子供なのかわからないな〜)


 そう思っていたら、


「だからだ。貴女には悠志は渡さない。」


「あなたのものでもないでしょー!!」


「私のものだ。そういう条件で契約した。」


(あれ?そうだっけ?まあ、一緒にいるという条件で保護を受けてもらったしな。)


 たしかにそういうふうに言ってもおかしくない。


「何言ってるの!ゆ〜君は私のものよ!!」


 言っておくがそんなこと誓った覚えはない。


「ホント?」


 ノルンは涙目で俺を見つめた。


(やめろ!そんな目で見つめるな!)


 俺はなにもしていないのに罪悪感が出てきた。


「ノルン、言っておくがエイレンシアのものになった覚えはないし、どっちを選ぶと言われたら迷わずノルンを選ぶ。」


 ノルンのためにはっきり言った。するとノルンは顔を輝かせ俺に抱き着いた。


「えーー!!なんでーー!!ゆ〜君やっぱり小さい子が好きな変態さんだよ。」


「まだ言うか!!」


 こうしてこんな会話が1時間も続いた。










 食堂より


「で?今日はどうすんだ?」


 やっとエイレンシアとの口喧嘩を終わらせ(なんとか俺が普通だと思い知らせた。)、食堂で蕎麦を啜りながら予定を聞いた。


「そうねー?今日は街に行くよー。今日、リーちゃんからゲーム買ってきてって頼まれたの。だからゲームを知ってるゆ〜君と一緒に買いに行こうと思って。」


 今回は買い物に付き合うことになった。ちなみにリーちゃんというのは会社の討伐班部長をやっている人だ(本名はリー・クロス。異名は『影』)。外見は9歳くらいの男の子で145㎝しかなく、中国衣装を着ている。実はこの人かなりのゲーマーでRPGからギャルゲーまで幅広くやっている。あるゲーセンでは神と崇められてるらしい。


「ああ、妙な実験じゃなくて助かるよ。」


 エイレンシアはたまに変な実験をする。例えば、体が小さくなる薬を開発したり。あのバカップルを別れるさせるために催眠術を開発したり(結局、愛の力というべきか、よりいっそう仲がよくなった。)変なロボットを開発して俺に性能のテストをさせたり(余談だが弱い死神が何らかの理由によりリッチクラスの死霊と戦うために採用された<名前はレイスと名付けられた。>。)などあまり成功した試しがない実験だ(しかも被害のほとんどは俺に来る。)。


「で、結局二人きりなんだな。」


 そうあれだけノルンが行きたがっていたのにエイレンシアが高いネコ缶をあげるということで二人きりでいいと決まった。


「だって元々二人きりだったし、それじゃデートにならないでしょ。」


「エイレンシア。一応聞くがやっぱりデートなのか?」


 ゲーム買うだけなのにそれをデートと言うのか疑問だった。


「ゲームを買うという口実でイチャイチャするならデートだよ。」


「何で口実が必要なんだ?」


 別に堂々とすればいいし、あのバカップルどもは恥ずかしがることもなく四六時中イチャついている。


「あのね、いつか言ったけど私が外出許可が認められるのはめったにないんだよ。それがデートに行くなんて理由で許可されるわけないじゃない。」


 エイレンシアはむーとした表情で言った。


「部長のゲーム買いに行くのもどうかと思うが。」


 俺はそう疑問に思った。言われてみれば、エイレンシアは交通班では最高位の所長をやっているとても偉い方だ(よくミスするが)。外出許可がでるどころかここで遊びの計画を立ててることすら難しい。


「じゃあなんで今日の外出許可は取れたんだ?」


 俺はそんな疑問を口にしたら、


「一夜にゆ〜君と遊びたいから休ませろって言って来たの〜」


 エイレンシアはそう答えた。


「社長に?随分チャレンジャーだな。そしてよく許可を貰ったな。」


 あの社員を苦しむところを見てほくそ笑む遠野さんにそんなものが通じるのかと思った。


「一夜に遊びに行かせなかったらミス連発させるって言って来た☆」


 エイレンシア、お前は子供か?って思いたくなるような発言だった。


「あのな。そんなんで俺を巻き込むな。」


 エイレンシアはよくミスをする。例えば、ゲートの行き先をリッチが大量発生する場所に送り込まれたり、レイスの調整を誤り、いきなり爆発したりなど人の命に関わるミスが多い。普通ならそんなやつはクビ決定だが、コイツはどんなにミスをしてもクビどころか、所長のままでいる理由は二つある。一つ目はミスした後の対応が早いこと。ミスを連発していて慣れているからか、その後の対策、処理の対応が早い(ミスを減らす努力はさらさらないらしい)。

そして二つ目はそのミスのほとんどが何故か俺にくるからだ。


「だから、今回は特別だって。ホントは昨日のうちに言っておきたかったんだけど、ゆ〜君が伊織に会いに行くって言うからで言うのが遅れたんだ。」


「今日のことは確定だったのか・・・」


 伊織のストレス発散に付き合わなくても、厄介事は決まっていたらしい。


「ねーいつまで朝ご飯食べてるの〜早く行こ〜よ〜。」


 エイレンシアが駄々をこねてきたので、


「わかったよ。」


 もう少し食いたかったが諦めることにした。

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