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死神の物語  作者: 笠井
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第十話 死神の日常Part2

 修練場前


 俺はガイドの仕事を終わらせ、伊織の縄張りの前にいた。


「ついに、ついに来てしまった(汗)」


 俺はまだ入る覚悟を決めれなかった。なぜなら、ここに入ると、いきなりバッサリ斬られるからだ。


「くそ、伊織の機嫌が悪くなってないことを祈ろう。あ〜あ行きたくね〜な。」


 俺が愚痴ってるときに、


「最初はさ、強くなるために来たのに、段々伊織のストレス発散の時間になってき・・「遅い!!」のぎゃああああ!!」


 いきなりバッサリ斬り掛かってきた。


「ま、ままま待て、お、俺を殺したってなにもでないぞ!?」


 俺がテンパっていると、


「腹わたと血くらいなら出るだろう。」

 伊織は殺す気マンマンだった。


「待て、それだと俺が死ぬ!!」


 まだやることがあるから死にたくない。


「私は斬ると前々から言ってるだろう?お前が来ない間、私がどれだけ辛い思いをしたか解るか?」


 本当に辛そうな顔で言ってきた。


「な、何かあったのか?」


 とりあえず聞いてみると、


「ついさっきなぁ。ここに勇者バカップルが来たんだ。そして私がいるにも関わらず、イチャイチャしてな。あげくの果てに抱き合ったり、キスしたりして大変だったんだぞ。」


 伊織は刀を震わせていた。思い出してイラついたのだろう。


 (アノヤローども<怒>自分らの部屋でイチャつきやがれ!!)


 この会社には、二組のバカップルがいる。それも両方色夢だ。


 一つはついさっき修練場でイチャついたというバカップル。

あいつらは勇者と魔王の関係なのに、何回も会ううちに愛し合うようになったが、互いの立場や国のお偉いさんが邪魔してきて、最期は心中という結果になったという。しかし、死んでから互いと会えたことにより、生きてたころよりイチャつくようになったらしい。


 もう一つは、どこかの魔術師とお嬢様だ。元々魔術師はお嬢様のガードマンだったらしいが、一緒になっていくにつれ、一児の親になったという。が、ここでもお偉さんのイヤ〜な策略によって離れ離れになり、若くして死んだらしい。

このバカップルどもは人目も気にせずイチャつくので仕事で一緒になった色夢達はゲッソリしている。


(あのバカップル<怒>!!俺に恨みでもあんのか!?俺はテメーらの恋路に一歩も踏み入れてないぞ!!)


 俺はそう思っていると、


「とっとと構えろ。始めるぞ。『水月』。」


 そう言って伊織は刀を構えた。


「わかったよ。(もう少し待ってくれよ<汗>)」


 俺も双剣を構え、


「おらぁ!!」


「セイ!!」


 斬り合いを始めた。










 1時間後・・・・


「疲れた〜。」


「ふん!これくらいで疲れるな!」


 1時間も命の取り合いをして疲れないやつはいない。


「それに、なぜ全ての刃を使わない?また七つしか使ってないではないか?」


 そう言ってきたので、


「エイレンシアに止められてるんだよ。」


 疲れのためか、ぶっきらぼうに答えた。


「またアイツか?全く、アイツの制限のせいでコッチの楽しみが減る。というか、此処では存分に使っていいはずだが?」


「なんか、処理がメンドイから使わないでくれって言ってた。」


「私が許す。だからやれ。」


「横暴だ(涙)」


 それからずっと伊織のストレス発散に付き合わされた。










 自分の部屋より


「疲れる。」


 俺はとっとと風呂に入ってベットにダイブした。


「ああ、ノルンの餌やり忘れてた。」


 大事なことに気付いた。すると、


「ニャー」


 黒い猫が俺に近づいてきた。


「ノルン〜待ってろ〜今餌持って来るから。」


 俺はノルンにネコ缶をあげた。


「ニャ!!」


 ノルンは嬉しそうに食べた。

 ノルンは俺の相棒で、ある出来事からこうやって住むことになった。

ノルンは可愛いし、住むことには何の不満もなかった。


「悪いなノルン。俺もう寝なきゃいけないんだ。だから遊びはまた今度な。」


 そう言うとノルンは、


「ニャ〜ニャン(だったら一緒に寝よう)。」


 そう返事をした。(俺はノルンの言いたいことは分かる。)


「わかったよ。一緒寝よ。」


 そして俺はノルンと寝た。










 懐かしい夢を見た。これはノルンと初めて会った日のことだ。


 辺りは氷で覆われ、俺やノルン以外は誰もいなかった。


「へぇ、お前がここの主か。随分と可愛い格好だことで。」


 俺は軽く言った。俺の目の前には、黒いドレスをきた12〜15歳くらいの女の子がいた。(言い忘れていたが、ノルンは人に化けることができる。)


「貴方は誰?どうして私の世界にいるの?」


 そう質問されたので


「まあ、簡単に言えば、俺は死神だ。どうやって来たかといえば、真正面から入ってきたしか言えない。」


 俺はそう答えた。


「貴方は何故私に会いにきたの?死にきたの?」


「死ぬ気はねぇよ。単刀直入に言えば、お前を保護しにきた。それだけた。」


「保護?笑わせる。抹殺の間違いではないのか?今までの死神は私を殺そうとした。返り討ちにしたけど。」


 笑わせるとか言っといて全然笑ってなかった。


「ああ、三途の川からカチンコチンになったやつらが流れてきたのはお前の仕業だったのか。あいつら、もう死んでるようだったから、そのまま輪廻の渦に流したぞ。」


「仲間なのに、随分な扱いはやめたほうがいい。」


「死んでいった者達を安らかに送るための心遣いだそうだ。」


 泣いて送るのは、そいつと関係をもっている人たちだけでいい。


「私を殺すのであれば容赦はしない。」


 そう言ってすぐノルンは魔力を開放した。そしてすぐに氷を俺に向けて撃ち出した。


「うわ!なんつー威力だな!!」


 俺は『流れ読み』を使い、回避に専念した。


「どうしたの?戦わないの?戦わないと死ぬよ?」


 ノルンは容赦なく氷を撃ち出す。


 ヒュン!ヒュン!ヒュン!ドン!ドン!ドン!


「容赦無いね〜」


 俺は俺の考える限りの人をイラつかせるしゃべり方をしてみた。


「余裕ありそうだからもっと増やす。」


 予想通り、力が増したが、


(声からして、冷静だな。挑発は無意味・・・か。)


 俺は立ち止まり、ノルンを見た。それを見たノルンは、


「諦めたの?」


 と、聞いてきたので、


「なあ、どうすれば保護を受けてもらえる?」


 俺は質問してみた。


 するとノルンは、


「じゃあ。」


 手を俺に向けて、


「これを耐えたら。」


 億万もの氷の槍が、


「考えてあげる。」


 俺に襲い掛かった。


「って!!難易度高!!」


 億万の氷が一斉に来たら『流れ読み』を使っても捌けない。だから俺は


 グサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサ

グサグサグサグサグサグサグサグサグサグサグサ


 まともに喰らってしまった。


「なんだ。もう終わった。」


 ノルンは蔑むように言い放つ。


「そこで眠りなさい・・・・永遠に・・・・」


 血まみれで倒れる俺に向けて言い放つ。そして振り向こうとすると、


「待・・・て・・・こら。」


 俺はそれを妨げる。


「耐えたの?あれだけの氷を?」


 ノルンは驚いたように言った。



「このコート。意外と頑丈でね。ある程度の攻撃を防げるんだ。」


 俺は血まみれの外套を指差して言った。

 死神の服はどれも頑丈で、特に色夢の服はより頑丈にできている。

「さあ、耐えたぜ。お前を保護していいよな。」


 俺は激痛に耐えながら言った。


「考えてあげる。とは、言ったけど。じゃあ、ひとつだけ条件がある。」


 ノルンはため息をつきながら言った。


「なんだよ?言っとくが俺にできることで頼む。」


 誰かを抹殺しろなんて言われたらどうしようかと思った。


「大丈夫。貴方にそこまで期待してない。」


 それはそれで傷つく。


「条件は・・・・・・・・・私を独りにさせないこと。」


 ノルンはそう言った。


「わかった。だけど・・・俺も条件がある。」


「なに?言っとくけど私のできることでお願いする。」


 なんかついさっきの会話と同じになった。


「ああ大丈夫。お前が自分の条件を求めていれば俺の条件は成立する。」


 そう、ノルンが自分の条件を求めれば叶うことだ。


「俺の条件は・・・・・・・俺に力を貸してくれ。」


 俺はノルンに自分の要求を答えた。


「つまり、一緒に居たければ、契約してくれと言っているの?」


「ああそうだ。俺もお前と一緒にいたい。」


 ノルンは俺の顔を見て、


「いいわ。貴方を殺す存在から守ってあげる。」


 初めて笑った。










(懐かしい夢を見たもんだ。あれから随分たつな。)


 あの夢を見たからか、俺は目が冴えた。だけど、


(伊織のせいで、疲れがまだとれない。まだ寝てよう。)


 二度寝をしようとしたら、


「ね〜、ゆ〜君起きてよ〜。一緒に遊ぶ約束だったでしょ〜」


 不法侵入者がそれを妨げた。

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