表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/220

60話 予想と返答




 ベルは自分の部屋に戻ると、アルからもらった紙をずっと眺めていた。



 紙の上部は見慣れた文字が並んでいるが、下部は彼の知らない『ステータス』の全容が書かれている。他ならぬアルが描いたものだから、ベルはその内容を全て真実だとして受け入れていた。



 しかし、内容を理解できるかは別の問題である。



 本当はクランの様に部屋に残ってステータスの詳細を聞くつもりであったが、彼の顔色を見てベルは自室に帰ることにした。



 ベルは改めて紙を見る。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




ベル・グランセル(26)

種族:人間

称号:グランセル公爵家次男 第3王女婚約者 宮廷魔術師

HP:1,500/1,500

MP:5,000/5,000(上限)

魔法適性:火・風・闇


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


レベル:15(知+60,他+5/毎)

攻撃力:170

防御力:170

知力:940

俊敏力:170

スキル:片手剣(1) 礼節(2) 魔力効率(4)

ギフト:魔法効果(中) 魔眼

加護:なし




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 まず目につくのは「レベル」という文字だ。



 この世界には「レベル」という言葉は、地球と同じような意味で存在している。しかし、ステータスにおいて「レベル」が項目としてあったとは彼の持つ常識ではありえないことだった。



 しかし、経験を重ねることでその人物の実力が上がっていくのは確かな事であり、ベルはそれが可視化できるという様に捉えることにした。また、レベル横にあるのは数値を見る限りレベルが上がるごとの上昇値を書き記したものだろう。



 そして、アルの言っていた「ステータス値」がその下に書かれている。



 「攻撃力」「防御力」「知力」「俊敏力」という、4つのステータス値がそこには書かれている。


 「攻撃力」「防御力」「俊敏力」については、大体意味が理解できる。しかし、「知力」という項目だけはどういう意味か分かりかねる。


 ただ、ベルのステータス値と自分の感覚をすり合わせてみると、おそらく「魔法」関係の数値であることは予想できる。



「――んで、問題は()()か」



 ベルのギフト欄に書かれている『魔眼』。これに関しては全く意味が分からない。



 ただ、「眼」という文字に自分のこの珍しい青い目が関係しているのではないかと考える。



「……アルに聞いてみるか」



 またすぐにアルの部屋へ行くのは気が引けたので、今度教えてもらうことにした。



 まだ決闘まで1週間近くある。王城へ赴いたり宮廷魔術師の同僚たちに挨拶位はしないといけないが、それ以外は特にやることもないだろう。



 ベルは今後自分がやるべき「用事」を想像しながら、何とか時間を多く作ろうと決意するのだった。












「……昨日ぶりですね、ノーラさん」



 ガンマたちに秘密を打ち明けて一夜が経過した。まだ早朝ではあるが、アルは訪れるであろう来客を待っていた。


 そんな中、アルは誰もいないはずの窓際に向けて声をかける。



「やっぱりアル君は勘が鋭いね~!」



 さっきまで誰もいなかった窓際に1人の少女が現れる。昨日この部屋に訪れたその来客は屈託ない笑顔でアルの事をたたえる。



「――それで、どうでしたか?」



 アルは単刀直入にそう尋ねる。


 ノーラがここへやって来た理由は、昨日の件についての答えを言いに来たという事は容易に想像できる。



「あれね、大丈夫だったよ。今日は屋敷にいるからいつでも来ていいって」


「……思っていたより簡単に了承しましたね?」



 アルはビクトル男爵が簡単に会うことを了承したことに疑問を覚える。このタイミングでアルが面会を求めたという事で、襲ってきたのが男爵の手のものだと疑っていることは理解しているだろう。


 普通ならここまで簡単に会うことを了承するとは思えない。



「お父さんが何を考えてるのかわからないけど、一応用心してきてね?」



 アルの疑問にノーラは警告をする。


 ノーラは自分の家のことはしっかりと理解している。アルしか気づいていないと踏んで口封じをしないとも考えられないからだ。



 ただ、アルは彼女とは違う見解を抱いていた。



「――それでは今から行きましょうか」


「え……。今から!?」



 アルの言葉にノーラは耳を疑う。そして、隠密行動をしている者とは考えられないほどに大きな声を上げた。



「……ほんとに言ってるの?」



 自分でも大きな声を上げたことをまずいと思ったのか、ノーラは小さな声で再度確認を取る。



「えぇ。僕も大事にするつもりはありませんからね」



 アルはノーラにそう伝える。



「――護衛は?」



 ノーラは恐る恐るそう尋ねる。何となくこれから返ってくるであろうアルの返答が予想できたからだ。



「ノーラさんがいれば大丈夫でしょう?」



 アルはニコッと笑顔を見せる。


 それは整った顔に浮かんだ無邪気な笑顔だったが、ノーラは背筋に冷たい汗が流れるのが分かった。






今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!


「誤字報告」ありがとうございます。こちらもできる限り気を付けるようにしているのですが、どうしても誤字脱字が……。


感想等もいただけるとありがたいです!


今日も20:00だけでなく22:00にも次話を投稿させてもらいます。といっても『ユリウス冒険譚』の続編なので、読み飛ばしていただいても構いません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ