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40.5話 ユリウス冒険譚(4)勇者編

※『ユリウス冒険譚』の続編です。


読み飛ばして頂いても本編が分からなくなることは無いと思います。






 真の勇者となった勇者ユリウスは、イノシシの魔物の背に乗り、山積みになっている問題を解決するために世界をめぐることにしました。



 まず、彼が向かったのは「ナルニー火山」です。


 ナルニー火山は、活発に活動している火山であり魔物の巣窟ともなっているダンジョンでもありました。



「ここがナルニー火山ですか……」



 少し先にそびえたつ大きな火山を見て、彼は思わず身震いしてしまいました。禍々しい魔力を体中でひしひしと感じます。



「勇者様。私がお供できるのはここまでのようです」



 イノシシの魔物は背中にまたがっている彼にそう伝えます。目の前の道は細く険しく、大きな体躯をもつイノシシの魔物では進むことは叶いません。



「そうですね。ここからは僕一人で進みます」



 彼は恐怖に身を震わせながらも、イノシシの魔物の背中から降り、細く険しい道を一人で進んでいきます。



 数十分ほど歩いた時でしょうか。


 細く険しかった道が徐々に広がっていき、すぐに大きな広場に辿り着きました。そして、その大きな広場の奥には険しくそびえたつ火山が壁のように立ちふさがっていました。



「この火山のどこかにダンジョンがあるのか……」



 彼は火山の周りをぐるっと見回します。少し進んでいくと、火山のふもとに人が一人入れる程度の切れ目があることに気が付きました。



「よし。入ってみよう」



 彼は意を決して、その火山の切れ目のなかへ入って行きます。


 そこには少し開けた空間があり、奥には厳格な雰囲気を醸し出した扉がありました。



「あの扉がダンジョンの入り口かな」



 勇者ユリウスは迷わず扉に手をかけました。いかにも重そうな扉でしたが、勇者ユリウスが触れると自然と扉は開かれました。


 扉の奥には熱気がこもっていて、ただ進んでいくだけで汗が止まりません。しかし、勇者ユリウスは足を止めませんでした。


 それは、精霊たちにこの場所へ行くように伝えられたからです。






 精霊たちはユリウスに剣を与えるとき、ユリウスにこんな話をしていました。



「私たちは貴方を真の勇者だと認めましたが、貴方が勇者の力を行使するには、まだ他の者たちにも認められる必要があります」



 妖精たちは、勇者ユリウスには聞こえないような声で、呪文のようなものを唱えます。すると、勇者ユリウスの前にこの世界の地図が映し出されました。



「今、私たちがいるのはこの世界のなかで最も東に位置する、この魔の森です」



 妖精は大陸の最東を指さします。勇者ユリウスはこの世界の地図など見たこともないので、妖精の言っていることがあまり理解できていませんでした。



「次に貴方は『ナルニー火山』へと向かってください。そこに貴方を待っている者がおりますので」


「その者とは、いったい誰なのですか?」


「行ってみれば分かります。その者は火山のなかにあるダンジョンの最奥で、貴方の来訪を待っているはずです」







 こんなダンジョンの奥に住んでいる者とは、いったいどのような人物なのでしょうか。勇者ユリウスはダンジョンの最奥で自分を待っているという存在が気になっていました。


 そうこうしているうちに勇者ユリウスはダンジョンの奥へと歩いていきます。


 ダンジョンというこうもあってモンスターが多く、勇者ユリウスは何度も戦いました。


 しかし、聖剣を手にした彼は以前とは比べられないほど強くなっており、モンスター相手でも臆することなく戦うことができました。


 ダンジョンを進んでいくと、いかにも厳格な雰囲気をかもし出している扉にたどり着きました。その扉は、ダンジョンの入り口にあったものと同じもので、独特な雰囲気をまとっていました。



「ここがダンジョンの最奥かな?」



 勇者ユリウスは扉の前でそんなことを考えていました。ここまで、彼を待っているという存在についていろいろと想像をふくらませてきましたが、その答えがこの扉の向こうにあるのです。


 勇者ユリウスは重い扉を一気に開けました。そして、なかの光景に驚きました。



 扉の向こうには、火山のなかにも関わらず大きな木と湖があったのです。そして、その湖の周囲には綺麗な花々が咲きほこっており、どう考えても火山のなかにあるものとは思えませんでした。


 しかし、勇者ユリウスが一番驚いたのはそこではありませんでした。



 その光景のなかに、勇者ユリウスが思い描いたような存在はおらず、代わりにそこにいたのは真っ赤な鱗でおおわれた巨大なドラゴンだったからです。



「訪問者とは珍しいわな。……お主は?」



 そのドラゴンは目を閉じたまま、勇者ユリウスにそう話しかけます。



「僕はユリウス。精霊にここへ行くように言われて来た者です」


「精霊たちとな? ……つまり、お主は精霊たちに認められたわけだわな」



 ドラゴンはそう言うと、少し考え始めます。



「お主を真の勇者と認めるわな。精霊たちから真相を聞いてみたが、かなり信頼されているようだわな」



 大きな咆哮がダンジョン内に響き渡り、勇者ユリウスはその咆哮に耳を塞ぎました。


 すると、その咆哮に応じるように湖から聖なる光に包まれた鎧が浮かび上がってきました。



「それは、お主を待っていたようだわな。もうこれはお主のものだわな」



 そう言って、ドラゴンは勇者ユリウスに鎧を授けました。



「次は、『エントマの氷山』に向かうのだわな。そこにお主を待つ者があるじゃろうよ」



 ドラゴンの言葉を受けて、勇者ユリウスの次なる目的地が決定しました。



 勇者ユリウスの冒険はまだまだ続きます。






今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!


今回は40話到達ということで、『ユリウス冒険譚』の続編を書かせていただきました。


次回からは、また本編の方に戻ります!


ブックマークや評価も少しずつ増えてきました!


作者はとても嬉しく思っています。誠に有難う御座います!

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