閑話 アリアの洗礼
※アリア視点です。
時は少し遡る。
「アリア! 貴女もついに5歳ね!」
部屋の扉は大きな音を立てて開かれ、そこからお姉様が入ってくる。お母様がいれば「淑女らしい行動をなさい!」と怒られそうですが。
「お姉様。ありがとうございます!」
「アリアも5歳。洗礼を受けるのね!」
そう、5歳になると洗礼を受けることが可能になります。
お父様もお母様も「5歳になればすぐに洗礼に行こう」と言っていました。
言葉通り、私は屋敷のあるサウザンドプールの街の教会で洗礼を受けることになりました。
話に聞くところでは、領地を持つ貴族の中でも王都までわざわざ出向いて洗礼を受けること家系もあるそうですが、サントス公爵家は代々ここサウザンドプールの街で洗礼を受けています。
少し王都には興味がありましたが、王都への道のりも一週間ほどかかりますし、それならサウザンドプールの街で洗礼を受けたいと思いました。
「かの者に祝福あれ!」
司祭様がそう言われると、神像から綺麗な光が放たれました。その光はとても暖かくて、とてもきれいでした。
その光は私の体を覆うようにまとわりつき、数分で私の中に吸収されていきました。
「アリア。ステータスをご覧なさい」
一緒について来てくれていたお父様がぼーっとしていた私にそう促します。
光が体の中に入ってからぼーっとしていましたが、お父様に促され、「ステータス」と心の中で呟きます。
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アリア・サントス(5)
種族:人間
称号:サントス公爵家次女
HP:400/400
MP:1,000/1,000
魔法適性:光・闇
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これが私のステータスですか。
多分、すごくない普通のステータスなのでしょう。
私はそう思っていましたが、司祭様とお父様の評価は違いました。
鑑定盤に映し出された私のステータスを見て、二人は感嘆の声を上げます。
「魔法適性が光と闇というのは珍しいですな。それにMPが非常に高い。これは魔法の才能がありそうですな」
私のステータスを見て、司祭様はそう言いました。
お父様もその言葉にうなずいていましたが、私は魔法使いになりたいとは思っていないのです。
「アリアさん。もしかして、魔法の才能があるって言われませんでしたか?」
アル様のお屋敷を尋ねた時、アル様が唐突にそう聞いてきました。
「司祭様はそう言っておりましたが……」
「やっぱり……」
アル様はそう呟きました。でも、アル様はそのことをどこでお聞きになられたのでしょうか。
「どこかでお聞きになられたのですか?」
私はアル様にそう尋ねます。アル様は「んー」と少し考えた後、小さく小首を傾げながら微笑みます。
「勘、でしょうか」
アル様は、5年前と同じセリフを言いました。
アル様の勘は本当によく当たります。
そんな話をしていると、綺麗なお花が目に入りました。
このお花はなんていう名前のお花なのでしょうか。
「アル様! このお花は何というのですか?」
私はアル様にそう尋ねます。
アル様は「どれどれ」と私の指さしたお花を見るために近づいてきます。
お姉様のパーティーの時に男性が近づいてきたときは「怖い」と感じましたが、アル様が近づいてくるのは「嬉しい」と感じてしまいました。
「これは『キキョウ』ですね」
キキョウという花はとても綺麗な紫色の花をした植物でした。
庭には色とりどりの花がありましたが、私が一番きれいだと感じたのは紫色のその花でした。
キキョウは「誠実」という花言葉があるそうです。
私もアル様に誠実でありたい。
キキョウの花を見てそう思いました。
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アリア・サントス(10)
種族:人間
称号:サントス公爵家次女
HP:500/500
MP:1,600/1,600
魔法適性:光・闇
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レベル1(知+60,他+5)
筋力:100
防御力:100
知力:100
俊敏力:100
スキル:菜園(2) 礼節(3)
ギフト:無垢
(相手を思う気持ちに応じてステータス上昇値アップ)
加護:なし
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今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!
今回はアリアの洗礼を書きました。
アリアのステータスも中々壊れていますね……。
次から一気に話を展開させていただきます!