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30.5話 ユリウス冒険譚(3)魔導士編

今回は番外編「ユリウス冒険譚」の続編です。

興味のない方は次話へ飛ばしていただいても構いません。

一応、本編にそこまで影響のないように書いております。




 西の魔境の村に、「忌み子」が生まれました。



 その子は、魔王の臣下によって滅ぼされた村で、「忌み子」として蔑まれていました。



 肌は浅黒く焼けていて、真っ白な髪。大陸の西側では珍しい風貌ではありませんが、その子はおかしな所が多くありました。



 まず、人に見えない物が見えていました。



 彼は、いつも変なことを言って周りの人を振り回します。いつからか、彼の言うことを信じる者はいなくなりました。



 そして、彼は全属性への魔法適正がありました。それは彼を良いほうには導かず、逆に彼を人々から引き離す結果になりました。



 人間たちは、彼の出自を知っていました。



 彼は、魔族軍の幹部である上級魔族と人間の女性との間にできた子でした。


 しかし、西の村ではよくあることで、彼らは人間からも魔族からも仲間外れにされます。







 彼は素直な子供でした。


 素直ゆえに、なぜ自分が差別されているのか分からず、人間たちと仲良くしようとしていました。


 しかし、人間は彼を忌み嫌い、仲間に入れようとはしません。



 彼は人間を信頼しないようになり、どんどん孤独になっていきました。







 10歳になり、彼は村を出ました。


 力もつき逞しく成長した彼は、自分が成すことを探す旅に出ようと思ったのです。




 旅は熾烈を極めました。


 人間と魔族のハーフはどこに行っても歓迎されません。



 彼は西の村から、大陸の中央へと足を進めます。








 彼は、とある村に辿り着きました。


 そこは、人間たちが細々と生活をしている小さな村でした。



 彼はいつものように村のなかへ入り、道中倒した魔物と生活用品を村人たちと交換します。


 そして、村の近くで野宿をするのです。



「おら、しっかり働けよ!」



 生活用品を交換し終えた彼は、村を出ようとします。しかし、そこである光景を目にしました。


 彼と同じように、浅黒く焼けた肌に真っ白な髪。人間と魔族のハーフに多いその風貌をした女の子が、村人に足蹴にされているところです。



 女の子は目を虚にしつつ、働き続けています。



「君は生きてて幸せかい?」



 彼は、なぜかその女の子に話しかけました。女の子は急に話しかけられたことに驚きましたが、彼の言葉を無視してまた動き始めます。



「君が望むなら、手を貸してあげる」



 しかし、彼はなおもその女の子に話し続けます。



「おい!……お前も『忌み子』だな。さては、どこかの村から追い出されたんだな!」



 女の子を足蹴にしていた村人が、彼に絡んできました。


 彼は、その村人へ全く視線を向けようとはしません。



「おい! 無視してるんじゃねぇよ!」



 村人は彼に襲いかかります。しかし、村人が彼に触れることはかないませんでした。



「あなた、一体……」



 目の前で氷漬けにされた村人を捉えながら、女の子は彼に話しかけます。


 目には僅かに生気が戻っていました。






 彼は、女の子を連れて村を出ました。


 次の村へ行っては、新たに差別を受けているハーフの者たちを助け、必要なら彼らを仲間にしていきました。



 西の村々では、彼のことをこう言います。



 ──「異端の魔導士」と。



今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!


今回は「ユリウス冒険譚」の続編である「魔術師編」でした!


本当は、ステータス判明前に出したかったお話だったのですが、あれ以上引っ張ると読者の皆様から暴動が起きそうだったので……。


次回は本編に戻ります!

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