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30話 将来と期待




「おかえりなさいませ。アルフォート様!」



 屋敷に帰り着くと、門のところでニーナが待っていてくれた。


 道中は自分のステータスとギフトなど、抱えている問題をどう解決するかを必死に考えていたアルだったが、ニーナの顔を見て自然と笑顔がこぼれる。



 自分のステータスをニーナさんに教えたらどんな反応をするかな。


 他の誰かなら気味悪く思うかもしれないが、ニーナについてはそうでないと信じていた。



「──ただいま!」



 アルは笑顔でそう答える。初めての外出に、知らないうちに気を張っていたようだ。


 アルは、これからの予定を考え始めた。







 屋敷のなかでは、アルの話題で持ちきりだった。

 その原因は、アルの称号である「神童」だ。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



称号:グランセル公爵家三男(礼節等のスキルに恩恵) 

   神童(レベルアップ時ステータス上昇値アップ)



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 後からガンマに聞いた話では、称号といっても二つの種類が存在するらしい。



 一つが、社会的立場を表す称号だ。


 例えば、アルの場合は「グランセル公爵家三男」がそれにあたる。

 その人物の社会的立場が称号として現れることで、その人物の身分を証明している。ただ、廃嫡された場合や貴族家として御家取り壊しとなった場合などは、この称号は消えてしまう。



 二つ目が、先天的な称号だ。


 これに関しては、研究の仕様もなく謎に包まれている。しかし、この部類の称号は未来永劫消えることはなく、その称号に見合うような成長をする場合がほとんどらしい。


 二つ目の称号は中々現れないものらしいのだが、そのなかでも「神童」はかなりのレアであり、大成する人物が多いことから、最も好まれる称号であるそうだ。


 それもそのはず。


 鑑定眼をもつアルなら、この称号の異常さが見て取れる。



 ずっと気になっていたのだが、アルのレベルの欄にある「(各+100/毎)」とい部分は、この称号による影響であろう。








 まだ、数人のステータスしか鑑定していないが、そのなかでも色々なことが分かった。



 一つが、各ステータスの初期数値だ。


 おそらくレベルの横にある記述は、レベルアップ時ごとに上昇するステータスの数値を表している。その点を踏まえて初期数値を計算すると、すべてが100で統一されていた。


 つまり、ステータスの初期数値は皆おなじであり、レベルアップ時ごとにそのステータスに変化が起こっているということだ。


 しかし、例外も存在する。それが、ニーナだ。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



ニーナ(22)

種族:猫人族

称号:メイド

HP:4,000/4,000

MP:500/500

魔法適性:風


――――――――――――――――――――


レベル:2 (知+5,防+10,他+30/毎)

筋力:160

防御力:140

知力:15

俊敏力:160

スキル:短剣(1) 給仕(3) 礼節(2)

ギフト:なし

加護:なし



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 これがニーナのステータスだ。


 ニーナのステータスは、これまで見てきたステータスの中でも極端に偏ったステータスであった。おそらく、獣人族が魔法を苦手とする理由は、この極端に偏った初期数値にあると思われる。



 次に、HPとMPについては規則性が見いだせないということだ。


 ベルのように3属性に適性があるためMPが高いのはなんとなく理解ができる。


 しかし、カルムンのように1属性にしか適性がないにも関わらず、MPが高い者がいる。同じ1属性の適性であり、尚且つレベルが高いレオナルドよりもカルムンのほうがMPの最大量が高いのはどうしてなのだろうか。




 最後に、スキルについてだ。


 「───」以降はアルにしか見ることができないのはなんとなく分かっている。そのため、この世界の人たちはスキルやギフトはもちろん、各ステータス数値やレベル、加護などの概念を持たない。


 スキルがどれほどの影響を及ぼすものかはわからないが、おそらくはステータス数値とは異なった、技術の部分に影響を与えるものであろう。


 少なくとも、その人がどの分野に精通しているのかは「スキル」を見れば一目瞭然である。



 ただ、アルのギフトである「鑑定眼」を持たない限りは、レベルの概念に気がつけない。


 そのために、どうすればレベルが上がるのかやスキルの入手方法などは謎に包まれている。



 今までに、そう言った話は聞いたこともなかったので、「鑑定眼」というギフトは珍しいのだろう。


 おそらく、「創造神の加護」がアルの異常なステータスを生んでいるような気がする。

 

 まぁ、ありがたいんだけど。






 今後のことを考えると、魔法の練習はしていかないといけない。


 貴族家の息子とはいっても、アルは三男であり家督を相続することはできない。そのため、ベルのように何かしらの方法で自立していかなくてはいけないのだ。


 勿論、それはまだまだ先のことではあるのだが。



 相続権を持たない子息たちは、騎士団・魔術師・学者・冒険者など、色々な分野へ各々進んでいく。



 魔法適性が二つ以上の子息の大体は魔術師になる。そのなかでもエリートと呼ばれる階層だけが王直属の宮廷魔術師になれるのだ。つまり、宮廷魔術師は相続権を待たない子息の中で、最も憧れられる存在なのだ。



 しかし、アルは宮廷魔術師になりたいとは全く思っていない。


 ベルから話を聞く限り、仕事はかなりハードであり休みも中々もらえない「ブラック」な労働環境であるらしい。今世は、自分の好きなように生きたいと思っているアルにとって、時間的拘束や社会的拘束が大きい宮廷魔術師に何のあこがれも感じないのだ。



 だからといって騎士団に入りたいとも思わない。


 騎士団に入っても、社会的立場を持つ以上色々な面で拘束されることがあるだろう。そして、それは学者も同じだ。



 アルは冒険者を目指すことにした。

 

 そして、冒険者になる以上色々なことができたほうがいい。



 アルは日課である読書の時間を少し削り、その分を魔法の訓練にあてることにしたのだった。





今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!


今回は説明が多いお話で、みなさま退屈に思われたかもしれません。そして、今回はアルの将来の展望も書かせていただきました。


次回はユリウス冒険譚の続編です。


説明回の後に番外編をはさむのはとても忍びないですが……。


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