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26話 ステータス(1)

ここから新章となります。と言っても、前回の話の続きにはなるのですが……。


5歳の洗礼を境に、少年編へ移行したいと思います!






「失敗した……か」



 真っ暗な部屋で、顔を覆い隠すようなフードをかぶったその男からは一切の表情が伺えない。しかし、フードの奥には殺気のこもった厳しい眼光があった。



「も、申しわけありません。私の人選ミスです」



 暗殺者を選んだ痩せこけた男は、その場の空気感に何とか堪えているような状況で、顔からは滝のような汗が流れている。



「そうだよねぇ。これは貴方のミスだよねぇ~」



 既に限界ギリギリである男に、追い打ちをかけるかのような声が掛けられる。その声によって汗は止まり、顔は青白く変色していく。



「……あまり仲間をいじめるでないわ」



 責められている男を擁護する声が発せられる。この場にいる者の中では一番年上である翁からの声に変色していた顔に多少の血の気が戻る。男をからかっていた者も、翁からの言葉に逆らうような態度は見せず、「はいはーい」と返答する。



「お前の失敗を許したわけではない」



 フードを被った男から再度声があがる。やせこけた男はその声にびくっと肩を上げる。



「──だが、じいがそう言うならば今一度機会を与えよう」







 アルたちは教会の前に立っている。


 教会は王都の中でもかなり奥の方にあった。外見は、真っ白な大理石のようなものでできていて、とても壮観であり、教会の厳格さを表現しているようだった。


 レオナルドの後ろについて教会のなかへ入っていくと、何人かの聖職者が近づいてきた。



「グランセル公爵様。お待ちしておりました」



 彼らはレオナルドに対して最敬礼をする。教会とは、本来権力に屈してはいけない団体なのだが、レオナルドのように大きな権力を持つ者に睨まれては、資金難に苦しんでしまう。故に、貴族への丁寧な接待は必須事項なのだ。


 レオナルドと一言二言話をして、聖職者たちは奥の部屋にアルたちを案内する。



 部屋には神を模した大きな像が(まつ)られており、その周りに数人のシスターが控えていた。部屋の内装は前世の礼拝堂と大きな違いはなく、整然としたなかにどこか神秘的な雰囲気があった。



 聖職者たちは部屋へ案内するまでが仕事内容だったようで、部屋のなかには入ってこない。アルはレオナルドの後について、部屋の奥にある神像へ向かう。神像の前には神父が立っていて、こちらを見据えていた。



「レオナルド様。お久しぶりで御座います」



 神父が腰を折って挨拶する。久しぶりということは以前から面識のある人物なのだろう。



「カルムン大司祭。前に来たのがベルの洗礼の時だから、会うのは10年以上前になるね」



 この人が大司祭様だったんだ……。


 グランセル公爵家は代々この王都の教会で洗礼を受けているそうなので、レオナルドが大司祭と面識があるのは当然のことだ。



「えぇ。しかし、あの時のことは忘れられません。今でも昨日のことのように覚えておりますよ」



 カルムンは相手が公爵だからというだけでなく、ベルの洗礼のことも併せて覚えていたらしい。


 確かに、3属性に適性があるのは、この国でも数人しかいないので、大司祭は珍しい場面に居合わせたということになる。



「私もあの時のことは忘れないよ。ただ、今回はこの子の洗礼に来たんだ」



 レオナルドはそう言って、アルを前に出す。大司祭も目の前に出てきたアルの方に視線を向ける。



「カルムン大司祭様。お初にお目にかかります。私はグランセル公爵家三男のアルフォート。今日はよろしくお願いしますね!」



 アルは貴族らしい礼をしつつ、カルムンに挨拶をする。



「私はこの教会で大司祭をやっております、カルムンで御座います。これからもどうぞ宜しくお願いします」



 子供らしくないアルの挨拶に一瞬固まったカルムンだったが、すぐに気を取り直し挨拶を返す。



「──では、早速ですが洗礼を始めましょう」



 そう言って、カルムンは神像の方へ踵を返した。カルムンの言葉に反応して、周りのシスターたちが何かを詠唱し始める。


 すると、神像は光を放ち始めた。



「かの者に祝福あれ!」



 神像が光で満ちた瞬間、カルムンが大きな声でそう言い放つ。すると、その光は神像を離れてアルの方に放たれた。



 アルはその光に包まれる。その光に包まれても、特に痛みを感じることもないし、少し暖かさを感じる程度だった。


 その光は徐々にアルの体のなかに入っていき、大体2分程度で全て消えてしまった。



「これで、洗礼は終わりです。まずはご自分でステータスをご覧になって下さい」



 光が収まると、カルムンはアルにそう言った。



「ステータスは洗礼を受ければ誰でも使える魔法だ。心のなかで『ステータス』と念じれば出てくるから」



 後ろにいたレオナルドがカルムンの言葉にそう付け足す。


 アルは、心の中で「ステータス」とつぶやく。すると、視界の右側にステータスウィンドウが出てきた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



アルフォート・グランセル(5)

種族:人間

称号:グランセル公爵家三男 神童

HP:500/500

MP:50,000/50,000(上限)

魔法適性:火・風・水・地・闇・光


──────────────────


レベル:1(各+100/毎)

攻撃力:100

防御力:100

知力:100

俊敏力:100

スキル:なし

ギフト:鑑定眼 魔眼

加護:創造神の加護



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 ──あ、これダメなやつだ。


 アルは自らのステータスを見て、絶句してしまった。



今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!


今回は、ようやくアルのステータスが判明しました!


え、これってぶっちゃけ強いの?「───」は何で区切ってるの? 魔法適正の数=魔法の才能じゃ……?


次回は、その点も説明したいと思います。


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