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110.5話 ユリウス冒険譚(11)勇者・聖女編

※『ユリウス冒険譚』の続編です。

 物語の大筋には関係が無いように書くつもりなので、飛ばしてもらっても構いません。



 南の山脈に辿り着いた勇者一行は、高い山を見上げました。左手には大きな海が広がっています。



「ここが、かの村がある南の山脈ですね……」



 勇者一行は険しい山道を進んでいきます。すると、小さくですが村のような物が見えてきました。その村は、幾十もの大きな木の上に家を作り、すぐに人間の村ではないという事が分かります。


 すると、前方からものすごい勢いで飛んでくる影がありました。それは真っ赤な角を生やした魔族でした。



「貴様たちは、人間だな?」



 魔族は余裕そうな笑顔を浮かべて勇者ユリウスたちの前に立ちはだかります。勇者ユリウスは、後方の騎士たちを手で制して、その魔族と対峙します。



「僕はユリウス。あなたを倒す者です!」



 そう言って、鞘から聖剣を抜きます。すると、勇者ユリウスの周りに眩い光が満ちます。それはとても真っ白で神聖な光でした。








 勇者一行と赤角の魔族は壮絶な戦いを繰り広げます。しかし、どちらも決め手に困っていました。


 聖剣によって傷を負っても、その魔族は超人的な回復力を持ってその傷を癒し、勇者ユリウスが傷つけば聖女フィオネによって瞬く間に癒してしまうからです。



「仕方がありません。勇者様、此方を」



 勇者ユリウスは聖剣を鞘に納めると、以前北の山脈で受け取った剣を鞘から引き抜きました。すると、勇者ユリウスの右手の甲から眩い光の紋章が現れました。


 そして、その光は一気に周囲を包みました。すると、赤角の魔族は鋭い断末魔と共に勇者ユリウスが引き抜いた剣に吸い込まれていきました。そして、元々真っ黒だった刀身には赤い筋が入って、魔族を封印してしまいました。



 木の上でその様子を注意深く見守っていた村人たちは、その光景を見て歓声を上げました。


 



「勇者様方、この度は我々の村をお救い頂き、誠にありがとうございます」


「僕たちは、普通の行いをしたまでです」



 勇者ユリウスは謙遜してそう言います。そして、魔族を封印した魔剣を丁重に手渡しました。



「……我々は勇者様方によって封印されたこの『魔剣』を、責任を持ってお守りします。勇者様方には、此方を」



 エルフの村の村長は兜を持ってきました。



「これは聖なる兜です」



 そう言って、勇者ユリウスに聖なる兜を与えました。勇者ユリウスはその兜を受け取ります。


 勇者一行は、エルフの村長にこの先の道を尋ねます。すると、エルフの村長は少し苦い表情を浮かべました。



「この先に道は御座いません。魔族によって、その道は消滅されました。大陸の中央を向かうには谷を越えるほか道がないのです」



 そう言って、彼は勇者ユリウスが履いている聖なる(グリーブ)を指さします。



「谷を越えるには、勇者様がお履きになっている(グリーブ)の力を使うしかありません。その力が適用されるのは、勇者様を含めて2人のみで御座います」



 村長は勇者一行に聖なる(グリーブ)の力を教えます。すると、聖女フィオネが前に出ます。



「……分かりました。では、ここからは私と勇者様だけで進みましょう。騎士の皆様、誠にありがとうございました」



 騎士の皆は、泣いて別れを惜しみます。宴は、勇者一行をたたえる声と騎士たちの涙によって進行していきます。そして、夜は深くなっていったのです。



 勇者ユリウスと聖女フィオネは、ここまでお供していた騎士と猪の魔物に別れを告げます。しかし、彼らは勇者ユリウスと聖女フィオネにこう言いました。


 「必ず道を見つけて、追いつきます」と。



 2人は彼らと約束を取り交わし、谷を越えました。聖なる(グリーブ)の力は2人を谷の対岸に運びました。






今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!


寒くなってきましたので、お体に気を付けて過ごしましょう。

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