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働く母さん【令和編】

作者: 宝物

令和時代に働く母さんの「日常」を伝えるエッセイである。

子供の注射


赤ちゃんが生まれて驚いたのは、生まれてからの予防接種の多さである。

一歳までに一体何本打っただろうか。その後も、小学校に上がるまでに一体何回注射で泣く我が子を見たことか。


最初は「泣いて可愛そうだわ」と、泣く我が子をギュッと抱きしめていた。1日に二本も打ったら「なんて頑張る偉い子なの!」と、思いっきり褒めていた。


しかし、子どもはすぐに熱を出すし、母は煩悩の塊であるので旅行を優先したくなったり、そもそも働いていると病院に連れて行くために早退するのも職場で肩身が狭かったりもする。そもそも、母という生き物は忙しい。父も忙しい。


そうなると、どうなるか。

元気で打てるときを逃したくないので、一度の通院で打てるだけ打ちたくなるのだ。

念の為申し上げるが、これでも優しい母を自認する者である。


母「両手両足に打てませんか」

ドクター「可愛そうなので、やめておきましょう」

母「…」


ニ〜三歳頃には、注射で暴れる我が子を、母とナース一人で静められず、ナース複数人のヘルプが必要になった。


あまりにジタバタ暴れる我が子を抑えていて、母のメガネが飛んで行ったこともある。メガネがすっとぶことなんて、人生でなかなか無い。少なくとも私は我が子の注射と歯医者と水イボのときしか起きていない。しかし、子どもの注射と歯医者と水イボにおいては、あるある事例だと思って高級メガネは避けるのが賢明だ。


また、あるときは、診察室に呼ばれて入ったはいいが、我が子が「注射しないから」と最初に凛々しく宣言したこともあった。一度でなく、複数回あったと思う。

「注射しないなら、何しに来たとんじゃ?」とツッコむドクターもナースもいなかったことが母の救いであった。物腰の柔らかいドクターと手際の良いナース、そしてなんとしてでも今日中に注射を済ませたい母が一致団結し、「どうにかこうにか」注射ができるように持ち込むのだ。「どうにかこうにか」とは、つまり、我が子が診察室のベッドの上にバスタオルでぐるぐる巻にされた状態である。


子どもは思った以上の抵抗をする。

小児科ドクターとナースはプロフェッショナルである。

あなたの職場で予防接種のため早退する人がいたら、早退後にこんな事件が起きることを想像してみては。そして、是非エールを贈り、快く早退させてあげてほしい。


小学生になっても、まだ同じ状況は続く。しかし、バスタオルでぐるぐる巻はさすがに赤ちゃんのようで恥ずかしいと、イスに座って注射を受けられるようにはなった。ナース2名と母で体の動きを封じ込めている間に、ドクターがブスっと注射する構図は変わらないが…。きっとこれもあと数年の行事だと思うと、愛おしい気がする(ような、やはり面倒なだけなような)。


先に少し触れたが、歯医者でも同じような現象が起きた。皮膚科での水イボ取りでも。それらの出来事は、またの機会に書くことにする。

出産後は、想像と違う世界が待っている。

ある意味、異世界ものである。

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