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変わってしまった現代で錬金術師になった  作者: 月輪林檎
第二章 繋がり

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73.地図とコンパス

 咲との約束で一日休憩をした香織は、翌日には工房に立っていた。咲は、少し呆れ気味だったが、約束は守ったので何も言わなかった。むしろ、必要な素材があるか訊いて、採りに向かっていた。


「よし、地図とコンパスを作ろうっと。まずは、魔力紙を使って地図を作るかな」


 香織は、棚から魔力紙の束を取り出した。そして、素材棚からは魔鉱石を取り出す。


「さてと、魔鉱石をすり潰してっと……」


 香織は、すり鉢で魔鉱石をすり潰していく。


「硬いなぁ。このために、態々すり鉢とすりこぎ棒の強度を強化したんだよね」


 香織は、硬い鉱石を細かく砕くためだけに、すり鉢とすりこぎ棒を強化したのだった。一度、普通のすり鉢で砕こうとすると、すり鉢の方がどんどんと削れていったのだ。当時の香織は驚き焦った。急いで、強化を付加したものを造り出したのだ。


「これでも大分細かく出来たけど、もう少し細かくした方がいいかな? いや、取りあえず、これでやってみよう」


 香織は、細かく砕いた魔鉱石を魔力を含んだ油、魔力油で溶いていく。


「これでも十分に溶けるから大丈夫そうかな。魔鉱石が溶けた油を、魔力紙に塗って……」


 香織は、刷毛を使って油を魔力紙に塗っていった。丁寧に二往復ずつ一直線に塗っていく。


「よし、乾く前に刻印魔法で『近辺情報収集』『情報消去』『情報更新』を刻印して、乾かそう」


 香織は複数枚作り、乾燥棚に並べておく。


「次は、コンパスだね。導きのコンパスを改良するには……魔鉱石を針の先端に集中させるとかかな。まぁ、やってみて考えよう」


 香織は、完成品を作らず、敢えて部品毎に作る事にした。


「まずは、魔鉱石を凝縮させよう」


 少し大きめの魔鉱石を錬金釜に入れて熱していく。香織が見ている間に、魔鉱石が少しずつ小さくなっていく。そして、小指の爪くらいのサイズになると、鉄を入れて形を整える。


「針は、これでよし。次は、本体を作る。こっちに色々と細工をしても良いかも」


 香織は、鉄と魔鉱石を合金にしてから、本体を作り出す。


「中の機構で、目的地を正確に見つけられるように出来ないかな……? 目的地の特徴……目的地の魔力かな? でも、土地によって魔力って違うものなのかな? う~ん、でも、これで何か変わる可能性もあるし、やってみよう」


 本体の裏側に刻印魔法で、『魔力感知』『効果拡大』『導き』の三つを刻印する。導きは、前のコンパスにも刻印していた。これによって、所有者の目的地に導かれていたのだ。精度はそこまでだが……


「針を付けて、蓋を取り付ければ、完成!」


 香織は、完成した導きのコンパスを早速使用してみる。


「場所が分かるところがいいよね。取りあえず、ギルド本部にしてみよう」


 香織がギルド本部を考えていると、導きのコンパスがギルド本部の方向を指し示す。


「よし、取りあえず、一回は成功。どのくらいで失敗するかな?」


 香織は、何度も何度も導きのコンパスを使ってギルドの方向を指し示させた。累計五十回全て、コンパスは正確な位置を指し示した。


「よし! 一回も失敗しない。後の問題は距離の問題だけど……」


 香織は取りあえず、富士山を思い浮かべてコンパスを見た。コンパスの針はくるくると回ると、富士山の方向を指し示した。


「次は……思い切って京都にしてみよう」


 今度は京都を思い浮かべてコンパスを見ると、コンパスの針が回り、京都の方向を指し示した。


「…………正直、富士山と京都って、ほぼ同じ方向だから、指す方向があまり変わらないんだよね。でも、距離が離れても、ちゃんとした方向を指しているし、問題はないはず!」


 導きのコンパスの改良版が完成した。恐らく、ほぼ確実に、目的地の方向を指し示すようになった。


「地図の方は乾いたかな?」


 香織は、乾燥棚の方に向かい。干してある紙を見る。


「きちんと乾いてる。後は、地図として使えるかどうか試さないと」


 香織が、紙に魔力を通していくと、段々と紙に何かが写ってきた。


「これは……大体、五キロメートルくらいかな? う~ん、少し大きいようなそうでもないような……」


 香織が手に取った紙に写ったのは、一辺五キロメートルの地図だった。香織が今いる場所が、中心となっている。


「縮尺が小さすぎても地図として使えないし、これくらいが丁度いいのかも」


 その後、色々な縮尺で利用出来るかを確かめると、何も意識しなければ五キロになり、どの範囲かを意識すれば、その縮尺になることが分かった。


「何枚か出来たから、咲達にも渡しておこう。後、万里ちゃんと恵里ちゃんにも渡してあげよう。冒険者復帰祝いになるだろうし」


 万里と恵里に渡す分も作れているので、香織は、星空に渡す用のマジックバッグを作ってから、工房を出た。


「星空、バッグが出来たよ」

「ありがとう」


 星空は輝くような笑顔でそう言った。香織からウェストバッグを受け取る。


「肩掛けでも良いかなって思ったけど、ウェストバッグの方が邪魔にならないかなって思ってこっちにしたよ」

「付けていい?」

「もちろん、付け心地とかに違和感があったら、言ってね」


 星空は、ウェストバッグを腰に付ける。そのウェストバッグは、星空の戦闘服に合わせて、黒い革で黒い刺繍されていた。取り出しやすいように、バッグの上部ががま口で開くようになっている。


「~~♪」


 星空は上機嫌になった。香織の作ったバッグが気に入ったみたいだ。


「どう?」

「全然大丈夫。ありがとう」

「どういたしまして。これは、もしものための普通の矢だよ」


 香織は、矢の束を何個も星空に渡す。星空は、それをウェストバッグの中に入れる。


「これで、バッチリだね。後、二人にこれも渡しておくね」


 香織は、二人に地図を渡す。


「自分の周囲を知る事が出来る地図だよ。縮尺は自分で変えられるから」

「なるほど、ありがとうございます」

「ありがとう」

「それじゃあ、私はリビングで横になってるから、何かあったら言ってね」

「はい」

「は~い」


 香織はリビングのソファで横になる。


「後は、何か出来ることあるかな?」


 香織は、横になりながら、他に作るものがないか考えていた。そうやって考え続けていると、段々と瞼が重くなっていき、香織は眠ってしまった。


 しばらく経って、材料集めから帰ってきた咲は、リビングで寝ている香織を見て、毛布を取り出すと上に掛けてあげた。


「眠かったのかしら? ぐっすり眠っているわね。少なくなってた材料を集めてきたけど、もう少し眠らせてあげるわ。おやすみ」


 咲は、眠っている香織の額にキスをした。その後に、香織の工房に行き、材料を棚に入れていく。


「さてと、香織が起きるまで暇つぶしでもしていようかしらね」


 咲は、庭に出て行くと、庭に実っている野菜を収穫していく。収穫し終えて、家の中に戻ると、香織が寝ぼけ眼を擦りながら起きていた。


「あれ……咲……?」

「おはよう、香織。取ってきた材料は、棚にしまっておいたわ。それと、一つ知らせることがあるわ」

「知らせることぉ?」


 香織は欠伸混じりにそう訊いた。


「そうよ。帰りに坂本さんに会ったのよ。空港の修理が終わりそうだそうよ。まぁ、管制塔と滑走路だけらしいけどね」

「まぁ、現状必要になりそうな場所だけ、優先させたんだろうね」

「そうでしょうね。それで、明後日に飛行機の試運転をするから、立ち会って欲しいだそうよ」

「ようやくだね。明後日は、店を閉めて焔と星空も一緒に行こうか」

「そうね」


 香織達は、明後日の試運転までの間、ゆっくりと家で過ごしていた。

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