↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変わってしまった現代で錬金術師になった  作者: 月輪林檎
第二章 繋がり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/146

58.武器と防具の新調

 次の日、香織は、工房に籠もって皆の装備を整えていた。


「えっと、服はこんな感じで良し! 次は、星空の弓だね。確か、金属製で火耐性があるものだよね。う~ん、何で作ろうかな? 取りあえず、黒龍の爪と魔鉱石は確定で……火……火……火……う~ん……」


 香織は、弓に使う素材が決まらずに、うんうんと唸っている。何個か候補は出ているのだが、しっくりくるものが出てこない。


「火から連想するからダメなのかな? 火が効かない……水? だとしたら、リヴァイアサンの素材が使えるかも! 後は……火鼠の皮を使おう」


 香織は、釜の中に素材を入れていく。


「まずは火鼠の皮と魔鉱石を入れて、煮込んでいく」


 香織はかき混ぜ棒を使って混ぜていく。数分間混ぜていると、魔鉱石が溶けていき、火鼠の皮と混ざり合っていく。


「ここに、リヴァイアサンの皮を入れて、さらに煮込む! その後に黒龍の爪を追加して、さらにさらに煮込む!!」


 香織はウキウキで錬成をしていく。きっかり十分間煮込み続けると、そこには黒く輝く金属製の弓が出来ていた。


「どんな感じだろ?」


 香織は弓を手に取って、弦を引っ張って、張力の確認などをしていく。


「少し重いかな?」


 香織なら取り回し出来るが、星空に同じように出来るかが分からなかった。


「後は、矢をどうするかだね。どうしよう?」


 弓と言えば矢。矢がなければ、弓などただの荷物でしかない。


「いっそのこと、矢を魔力にしてみるのも有りかも!」


 香織は、弓に刻印魔法で刻印をしていく。刻印するものは、完全に香織のオリジナルだ。『魔力変換(矢)』『魔力変換効率上昇』『物理付与』『不壊』の四つを刻印した。このうち『魔力変換(矢)』が、香織のオリジナル魔法式だ。


「よし! うまくいった。後は、星空専用にするだけだね。ついでだし、焔専用に強化した刀も作ろうかな。基本的に咲のお下がりみたいなの渡してたし」


 香織は、黒龍の素材ではなく赤龍の素材を使って、刀を作り始める。他に使うものは基本的に同じだ。ただ、刻印するものは『洗浄』『鋭利化』『火属性制御』『不壊』だった。


「よし、皆の服も出来てるから、試着してもらおうっと」


 香織は、作ったものをアイテムボックスに入れて、リビングに向かう。


「あれ? 咲?」


 リビングには誰もいない。


「どこに行ったんだろう?」


 香織は、庭に繋がる戸を開く。すると、庭で素振りをしている咲がいた。


「ここにいた」

「香織? どうしたの?」


 香織の声に気付いた咲が素振りをやめて、香織に近寄る。咲は、さっきまで素振りしていたのにもかかわらず、汗一つかいていない。


「素振りし始めたばっか?」

「一時間くらい続けてたわよ。香織が工房にいる間は、暇になるから」

「なるほどね」

「それで、何か用事があったんじゃないの?」

「そうだった! 皆の装備が出来たから、試着して欲しいんだ」

「分かったわ」


 咲を呼んだ香織は、次に店に続く扉を開ける。


「焔、星空、少しだけお店を閉めてくれる?」

「分かりました」

「うん」


 星空が店の入り口の方に向かい、扉の鍵を閉める。


「星空、看板、看板」


 焔が手振りも合わせて星空に言う。


「あっ」


 ハッとした星空は、店の外に出て看板を裏返す。


「忘れちゃダメでしょ」

「ごめん……」


 注意された星空は、少し落ち込む。その星空の頭を焔が黙って撫でる。


(こうして見ると、本当の姉妹みたい)


 二人の様子を香織はニコニコしながら見ていた。そして、リビングに皆が集まると、香織はそれぞれに服を渡していく。咲達は、受け取った服をすぐに着てみる。


「うんうん、似合ってるじゃん!」

「まぁ、意外とまともで良かったわ」


 咲が着ているのは、黒いジーンズと白いブラウス、そして膝丈まである黒いロングコートだった。


「戦闘用にするって言ってたわりに、ロングコートなのね」

「ふっふふふ、実は色々と機能を付けておいたんだ! その中の一つが伸縮性強化だよ。見た感じそこまで伸び縮みしなさそうでしょ?」

「そういえば、着るのにも全く苦労しなかったわね。でも、これどこまで伸びるのかしら?」


 咲は、香織が作ったコートを慎重に引っ張ってみると、かなり伸びていく。


「結構伸びるよ。だから、戦闘中でもあまり気にならないはずだよ」

「そう。少し動き回る必要がありそうね。ありがとう、香織。大切にするわ」

「咲を守るためのものだから、そこまで気にしないでいいよ。修繕の刻印もしてあるから」


 咲達の服に施した刻印は、『伸縮性上昇』『修繕』『耐久度上昇』『対魔法耐性』『対物理耐性』『全属性耐性』『身体能力上昇』だ。

 香織達は、二人の話を切り上げると、焔と星空の方を向く。


「二人も中々似合っているわね」

「もちろん! 考えて作ったからね!」


 焔と星空が着ているのは、色違いのペアルックだった。


「それにしても、軍服はどうかと思うわよ」

「いいじゃん。可愛いでしょ?」


 焔は赤い刺繍で飾り付けられた黒い軍服を、星空は黒い刺繍で飾り付けられた黒い軍服を着ていた。どちらもズボンなので動きやすくなっている。


「星空の方はあまり刺繍が目立たないわね」

「そりゃあ、黒に黒だからね。二人の特徴である核に使った龍の色を刺繍にしようと思ったんだよ」

「そうなのね。でも、この宝石は同じものなのね」


 二人の首元にあるループタイに、青い宝石が付いていた。


「一応、お守りとしてね」


 香織はそう言ってウィンクした。


「それで、香織の戦闘服は?」

「あっ! 忘れてた!」


 咲の視線が香織に突き刺さる。


「まぁ、それは置いておいて。二人とも、着心地とか大丈夫?」

「はい!」

「うん!」


 焔と星空はくるくると回転して、自分の姿を見ていた。それを見ていた香織は、一度二階に上がってから、姿見を持って戻ってきた。


「ほら、これでよく見えるよ」

「ありがとうございます!」

「ありがとう!」


 二人は姿見の前で、くるくる回って、さっきよりもよく自分の姿を見る。


「気に入って貰えた……」

「そうね……ああいった服が好きなのかしら……?」

「専用に作ったからかな……? 普段着は二人で共用しているしね……」

「十分な量があるはずなのだけどね……」


 香織と咲は、こそこそと二人に聞こえないように喋っていた。


「あっ!」


 そんな中、突然香織が大きな声を出したので、咲だけではなく、焔と星空も驚く。


「あ、ごめんごめん。二人には、服だけじゃなく、武器もあるんだ。こっちが焔で、こっちが星空のものね。二人の血をここにつけてくれる?」


 香織は二人に針を渡す。二人は、それを受け取って、血をそれぞれの武器に付ける。すると、二つの武器が光輝き出す。


「…………」


 香織は目が点になってしまった。咲も驚いて目を見張っている。


「二人とも、少し見せてね」


 香織は、二人の武器を鑑定する。


 ────────────────────────


 ユニークウェポン:神刀 紅桜

 人造人間ホムンクルス焔専用武器。桜野香織によって作られた素体に、焔の血を吸わせた事により、進化した。


 ユニークウェポン:神弓しんきゅう 黒影くろかげ

 人造人間ホムンクルス星空専用武器。桜野香織によって作られた素体に、星空の血を吸わせた事により、進化した。


 ────────────────────────


「二つとも神器になってる。今までならなかったのに……」

「一定以上の親密度とその人専用に素体を作る事が、条件かもしれないわね」

「私の作るものって全部、神器の素体になるのかな?」

「そうかもしれないわね」


 香織と咲は、何故神器が出来たのかを話し合っていたが、焔と星空は、自分の武器をじっと見ていた。焔の刀は、刀身が真紅に染まっている。星空の弓は、全体が黒くなっており、光沢もある。


「何か、気になる部分があった?」


 香織は、二人が武器を見ていることに気が付いて、少し心配そうに訊く。


「いえ、私は問題ありません」

「私も大丈夫」


 焔は刀の重さなどを確認して、星空は弦の調子を確かめている。


「何かあったら言ってね。じゃあ、着替えて通常営業に戻ろう」


 焔と星空は着替えて店の方に戻っていく。咲も同じように着替えて、リビングのソファに座る。


「そういえば、咲は、進化の権利使ったの?」


 香織も同じように、ソファに座って咲に訊いた。


「使ってないわね。このままだとどんどん溜まっていくことになるわね」

「この前も貰っちゃったもんね」

「そうね。それに、黒龍討伐の武具も貰ったものね」

「ああ……今回は、このお守りだったね。それに、私はリヴァイアサンの報酬でこれも貰ったし」


 香織達は、黒龍の報酬で『黒睡蓮』という名前のお守りを貰っていた。そして、香織はリヴァイアサンの討伐報酬として、一本の鞭を貰っていた。


 ────────────────────────


 ユニークアクセサリー:黒睡蓮くろすいれん

 黒龍討伐の報酬。あらゆる属性の耐性を持ち主に付与する。自動修復付き


 ユニークウェポン:海蛇うみへび

 リヴァイアサン討伐の報酬。リヴァイアサンの能力である水の支配を持ち主に付与する。さらに、身体能力を超強化する。自動修復付き。


 ────────────────────────


「はぁ、進化の権利を何に使うかが、絶対分水嶺になるよね」

「そうね。取りあえず、今はこのままでいましょう」

「うん。そろそろ、万里ちゃん達のところに行こうかな」


 香織は、ソファから立ち上がった。


「そうね」


 咲も香織と同じように立ち上がる。それと同時に店に繋がる扉が開いた。


「マスター、万里と恵里が来店しました」


 焔がそう言って、二人を中に通した。昨日の話を聞いていた焔と星空が気を利かして、中に招き入れたのだ。


「こんにちは!」

「お邪魔します」

「いらっしゃい、二人とも。ちょうど良かった」


 香織はそう言って、二人をテーブルに着かせる。そこに、星空がお茶を淹れて持ってくる。


「それで話って?」


 万里がわくわくしたような顔で訊いてきた。香織は、昨日の玲二の話を二人にする。


「まぁ、そういうことで、二人にも協力して欲しいんだよね。二人の修行にも繋がるからさ」

「もちろん、無理にとは言わないわ。この前のリヴァイアサンと同じくらいあるいはそれ以上の危険があるから」


 香織と咲の説明に、万里と恵里は顔を見合わせて、一度だけ頷く。


「協力する!」

「私達も付いていきます!」


 二人の返事は了承だった。


「いいの? かなり怖い目に遭うかもだし。なにより、死ぬ可能性もあるよ?」


 香織は最後の確認を取る。


「大丈夫! 冒険者になったんだから、そのくらい覚悟の上だよ!」

「私達は、弱いままでいたくないんです! 強くなるためには、香織さん達と同じ戦場に立たないと!」


 二人の覚悟は本物だった。


「分かった。じゃあ、また、私達が戦い方を教えるから、明日から二週間、みっちり扱くよ!!」

「「はい!」」


 京都解放戦が近づいていく。

読んで頂きありがとうございます

面白い

続きが気になる

と感じましたら、評価や感想をお願いします

評価や感想を頂けると励みになりますので何卒よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=312541910&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。