3.初めての調合!!
改稿しました(2021年7月28日)
香織は、調合を始めるために、キッチンに立った。
「さてと、回復薬の作り方はっと……」
回復薬は、水と薬草を混ぜ合わせることで出来る。レシピには、錬金釜に水を入れ、その中に薬草を入れ煮立たせると書いてある。
香織は、取りあえず、レシピ通りに作ってみる事にした。水と薬草を、小鍋の錬金釜にいれ火にかける。
すると、錬金釜の刻印魔法が火に反応し光り輝く。
錬金釜の刻印には、火を感知する事で発動するような魔法式が入っている。
錬金釜に使っている刻印魔法は複数あり、それらは、火を感知する刻印を、きっかけにして発動するようになっている。
その効果は、反応促進、異常反応である。
反応促進は、錬金術の反応を早めてくれる。これが無ければ、反応速度が低すぎて、ちゃんと調合することが出来ない。
異常反応は、普通の反応で起こりえない事が起こる。例えば、剣と鞭を錬金釜に入れ、錬成させると連接剣とする事が出来る。普通は、剣と鞭を反応させても何もできない筈だが、異常反応により、二つが合成されるらしい。レシピ本に記載されていた。
香織が錬金釜の中身を混ぜていると、薄緑色の液体ができた。
「鑑定してみよ」
香織は、錬金釜の中身の薄緑色の液体を鑑定してみた。
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低級回復薬:低級の薬草を使用した回復薬。小さな切り傷まで治せる。
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「やっぱり低級かぁ。薬草の等級は、かなり重要になりそうだね。小さな切り傷までだと、戦闘用とかには使用出来ないかな」
香織は、想像以上の使いにくさに、少しがっかりする。
「てか、これってただの抽出なんじゃ…」
香織は、学校で習ったことを思い出す。
「理科でやった気がする……よし、工夫しよう!」
香織は、すり鉢とすりこぎを取り出した。
そこに、採ってきた薬草を入れ、少しずつ水を注ぎながらすり潰した。
そうしてすり潰したものと水を錬金釜に入れ火にかける。かき回し続けていると、さっきと同じ薄緑色の液体ができた。
「鑑定、鑑定」
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低級回復薬:低級の薬草を使用した回復薬。前段階ですり潰した事により効果が高くなった。擦り傷、切り傷などの小さな傷を治すことが出来る。
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「よし!効果が上がった!」
香織はガッツポーズをとった。
「正解はひとつじゃない! 色々な道があるから答えも分かれる。その中から一番いい結果を導き出す。うん! 楽しい!」
香織は満面の笑みになる。
「さて、これを超えるやり方を探さなきゃ」
そこから香織の試行錯誤が始まった。たくさん取ったはずの薬草は、すぐにそこを尽きた。
「もうなくなっちゃった」
結果、回復薬の合計は百個以上出来たが、さっきよりもいい効果が出るものは出来なかった。
「うーん、微妙なものばかりになっちゃった。取り敢えず全部アイテムボックスに入れておこう」
香織は満足のいく結果は出せなかったが、いろいろな結果を得る事が出来た。
「うん、さすがに材料が足らないと何もならない。水を別のものに変えると効果が減衰する。炭酸水ならまだ平気だけどコーラだとダメだった。
そこから導き出せる事は、色んな物が混ざったやつは使えないこと、水は。おそらく触媒扱いだということかな。ジュースもダメだったし」
香織が見つけた回復薬の作り方は、まず、薬草をすり潰し、その後、水を加えて中火で、三分煮込むという方法だった。
この方法だと、効果が高い回復薬が安定して製造可能だった。というよりも、この方法じゃないと、まともに使える回復薬にならなかったのだ。
「レシピに書いてあるのが、最大の効果を発揮するわけじゃないんだ……」
香織の考え通り、レシピに書いてあるのは、効果を発揮する最低ラインの調合方法だった。これ通りにやれば、調合自体は出来るが、自分で色々と工夫しないと、使い物にはならない。
「次の探索で、魔力草とかを見つけたいなぁ」
魔力草は、魔力回復薬に必要な素材だ。香織の戦闘スタイルは、スキルだけで見れば、魔法メインになりそうなので、出来れば作っておきたかった。しかし、香織の家の周辺には、その姿は無かった。
「って、もうこんな時間!」
香織が、外を見るともう真っ暗になっていた。香織は夕食を食べ、お風呂に入った後ベットに行き眠りに入った。
次の日、世界に更なる変化が起こる。香織もその変化に巻き込まれていく。
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香織の成果
低級回復薬を百個以上生成。
効果は小さな傷を治せる
以上
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