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変わってしまった現代で錬金術師になった  作者: 月輪林檎
第一章 変化と解放

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26.絶望が解き放たれる(2)

 香織達は、急いで来た道を戻り、そのまま冒険者ギルド本部に駆け込んだ。ここまで、三時間近く掛かる道のりを、一時間に縮めてきた。そのせいか、万里と恵里はグロッキー状態だった……


「坂本さん! いる!?」


 香織は、戸を開け放つなり、すぐにそう言った。


「香織さん!?」


 ギルドの受付にいた綾子が、反応する。


「中根さん! 坂本さんは!?」

「最上階にいます。ご案内しましょう」


 綾子の案内で最上階の玲二がいる場所まで向かう。


「本部長、香織さん、咲さん、万里さん、恵里さんがお見えです」

「ああ、入ってくれ」


 中に入ると、書類仕事に忙殺されている玲二の姿があった。


「少し、座って待っていてくれ。……ところで、万里と恵里は大丈夫か?」

「大丈夫だよ。二人を抱えたまま、全力で空を走ってきたから、ジェットコースターに、一時間乗っていたって感じになってるんだと思う」

「そうか、それは災難だったな」


 香織達は、玲二に言われたとおり、ソファに座って待つ。その間に、綾子がお茶を淹れる。

 本当に少しで、玲二はソファの方に来た。


「要件は分かっている。黒龍についてだな」

「うん、なんで外に出ているの?」


 香織は、事が事だけに険しい顔で訊く。玲二は、頭をかきながら、顔をしかめる。


「香織達に絡んできたあいつらが、牢屋から脱走して、黒龍のいるダンジョンに突入したんだ」

「脱走とは、どういうことでしょうか?」


 咲が低い声で、問いかける。顔も怖い。


「実は、あいつらを監視していた奴がグルでな。脱走の手助けをしたんだ」

「では、馬鹿どもの安否は?」

「悪運が強いようでな。一応、生き残ってはいるんだが、時間の問題みたいだ。今は、詳しい話を問い詰めているところだ」


 玲二は拷問の言葉をぼかして伝える。この場に万里と恵里がいるための配慮だった。ここで、扉がノックされた。


「失礼します。本部長……調書が届きました」


 綾子が、封筒を持って中に入った。途中、間が開いたのは、拷問の結果をと言いそうになったからである。やはり、万里と恵里に配慮した結果だった。


「ああ、ありがとう」


 しばらく、玲二が紙をめくる音だけがする。


「はぁ……」


 読み終えた玲二は、頭を抱えてため息をついた。


「あ~~、あいつらが何故こんな行動をとったのか分かった。また、お前達絡みの事だ」

「また、言いがかり?」

「いや、お前達に赤龍が倒せるなら、自分達でも倒せると思っていたらしい」


 あまりの事に、呆れて言葉も出ない香織と咲だった。


「まぁ、気持ちは分かる。お前達にボコボコにされたあげく、施しまで受けているのに、ああ言えるのはやばいよな。俺も、採用した昔の俺をぶん殴りたい」

「え? 採用したの坂本さんなの!?」

「ああ、戦闘は一通り出来たからな。人手も無かったし、ギリギリで合格を出した」


 香織達を襲撃した男達を、冒険者に採用したのは玲二だった。ちょうど、その時の監督官だったらしい。


「諸悪の根源……」

「言い返せねぇ……」


 万里がぼそっと言った事に、言い返すことが出来ない玲二であった。


「それで、なんで黒龍が外に出たの?」

「ああ、少し攻撃したら怒って天井を壊したそうだ」

「? じゃあ、もっと前に飛び立っているはずじゃない?」

「ああ、逆鱗のようなものに攻撃してしまったらしい」

「へ? 馬鹿なの?」


 香織は、本気で心配そうに訊く。


「馬鹿だな」


 玲二は即答で返した。


「逆鱗は、怒るだけで、別に弱点でも何でも無いのに」

「それと、あいつらの死亡も確認された。回復も間に合わなかったみたいだ」

「へぇ~」


 香織は、どこまでも興味無しだった。玲二も、得に何か言って欲しいというわけじゃないので、この話はこれだけで終わった。


「ところで、黒龍の行方は分かりますか?」


 話が一段落したところで、咲が、玲二に訊く。


「一応、西に向かったということは分かっている。すぐに、追手を出したから、その内、情報が来るだろう」

「その情報、私達にも降ろしてくれますか?」

「ああ、最初からそのつもりだ。お前達しか対処出来ないからな」

「ありがとうございます。私達はこれで失礼します」


 訊きたいことを聞き終えたので香織達は、ギルドを後にした。


「万里、恵里。取りあえず、これで今日の修行は終わりよ。家まで送るわ」

「うん」

「分かりました」

「次の修行は、地道な基礎訓練にしようか。明日のお昼過ぎに家に来てね」

「「はい!!」」


 二人を家に送り、香織と咲も帰路につく。


「そういえば、領空権の効果は無かったの? 侵害されてるけど」

「あるけど、感知だけね。強制排除を試しているのだけど、全く効果が無いのよ」


 咲は、領空権の効果で感知してから、ずっと強制排除をしようとしているのだが、使い方が間違っているのか、全く発動しない。黒龍は、空を羽ばたいて西に向かって行っていた。


「もしかして、黒龍が統治権を持っているから、効かないとか?」

「あり得るわね。統治権を持っているものの強制排除は出来ないのかも。それに、感知も出来なくなっているし」

「最終的に統治権を持っている人が、全てを支配するんじゃん」

「国の支配という点ではそうね」


 咲の領空権にも弱点が存在することが分かった。とは言っても、弱点は統治権だけなので、ほとんど弱点無しと言っても良いかもしれない。


「まぁ、それはいいか。問題は黒龍そのものだもん」

「西に行ったらしいけど、何処まで行ったのかしら?」

「う~ん。ここから西って言うと、富士山とか?」

「何しに行くのよ……」

「さぁ? でも、もし富士山に行ってるんだったら厄介かもしれないね」

「そうね。下手すれば噴火するかもしれないし」


 二人は、黒龍の行方を話ながら家に向かう。その影は、ある一カ所で繋がっていた。

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