1.何これ?(3)
『――速報です!!ただ今、東京にて、モ、モンスターが出現したそうです!! 警察が対応しておりますが、現在多くの被害が出ている模様!! 外出中の皆様は速やかにご帰宅ください!! 東京にお越しの皆様は近場の避難所まで移動してください!! 繰り返します――』
どうやら、モンスターが現れたらしい。キャスターが、焦りながら伝えている。その場に、カメラがないようで、言葉だけで伝えていた。現状では、警察でも対応出来るくらいなのだろうか。そこまでの情報は分からない。
「モンスターか……神奈川にも、そのうち来るかもしれないなぁ。まぁ、もういるかもしれないけど」
そんな呑気な事を言いながら、香織は小鍋を用意した。いるかどうかも怪しいモンスターよりも、まず、錬金釜を作る事にしたのだ。興味の対象が、そっちに固定されているだけではあるが……
刻印魔法のやり方は、魔力を指先に集めて、魔法式を描くというものだ。魔力操作の本を読んで、魔力を集めるやり方を確認する。魔力操作は、血液の流れを意識するところから始めるようだ。魔力は、身体の中を血液と一緒に流れているらしい。
香織は、その魔力を意識し、指先に集める。すると、仄かに指先が光る。
「うまくいった!!」
香織は思わず笑顔になる。
魔力操作の本を、さらに読み進めると、身体の魔力循環を加速させることで、身体能力を上げることができるらしい。さらに、一箇所に集めることで、その部分を強化することもできるようだった。この使い分けが重要そうだ。
魔力操作のやり方を覚えた所で、小鍋の裏面に刻印魔法を施す。見本を同じように刻んでいくと、なんら問題なく刻印する事ができた。
「錬金釜の完成!!」
小型の錬金釜が出来た。
「錬金術を使うには材料が必要なんだっけ。本を読んでみよう」
香織は、錬金術の本だけ残して、他の本をしまう。ただ、錬金術関連の本だけで十五冊もあった。
「うわぁ、多いな。でも、これほとんどがレシピ本だ」
レシピ一と書かれた本を読む。
「これは初心者用かな。回復薬とか薬系があるけど、効果は高くない物が多いかな。でも、ここから作らなきゃ要領を掴めないだろうし、材料集めなきゃ」
取り敢えず、初級回復薬を作ってみる事にした。その材料は、薬草と水だけだ。
「薬草見つけなきゃってことは外に出なきゃなのか……」
外に出れば、モンスターが居るかもしれない。でも、外に出なければ、回復薬を作る事は出来ない。
「薬草探すだけだし、行ってみよう!」
そうと決まれば準備を進める。
まず、自分の持っているスキルの本を見てみることにした。この本自体が、スキルである教本生成で生まれたらしい。
全属性は、属性魔法の全てに適正を持つということらしい。魔法は、魔法式を描いてそこに魔力を循環させる事によって発動することができる。
普通は魔法式を描くのに、詠唱を使って自動で描くらしい。その点、香織は無詠唱を持っているので想像するだけで発動できる。
超集中は、そのまま集中力を上げられるらしい。香織の超集中は集中の度合いを高くすることで、自分を含めた周りの動きなどを遅く感じることが出来る様だ。
棒術、剣術、鞭術は、そのまま武器の取り扱いが上手くなるらしい。香織は全て取り扱ったことがない。
「なんで、この三つなんだろう?」
疑問に思っても答えが出ない。
嘘看破は、相手の嘘を見抜くことができる。
鑑定眼は、鑑定の上位スキルで物をより詳しく知ることができる。鑑定がどんなものかわからないのでどのくらい凄いかはわからない。
発見術は、いろんな物を見つけやすくなるらしい。
記憶容量増加は、そのまま記憶できる容量が増えるということだった。
不老不死は、寿命、病での死が無くなり、老化すらもしなくなるというものだ。ただ、首を斬り落とされてしまうと死んでしまうらしい。このことから、脳が身体から離れると死んでしまうということみたいだ。
再生は、どんな傷でも少しずつ治っていくというものだ。これを活かせば、首を切り落とされても、すぐに問題なく生き返れそうだ。
「自分のスキルは理解できた。後は、うまく使えるかどうかだね。モンスターと出会っても良いように、動きやすい服に着替えよ」
動きやすい服に着替えて、アイテムボックスに食料を入れ準備を終える。
玄関を開けて外に出る。慣れた風景でも、そこは未知の世界だ。香織はワクワクが止まらない。
「さぁ、探索開始だ!」
香織は、外へと足を踏み出した。
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