18.目覚めと状況確認
改稿しました(2021年8月5日)
「ただいま」
香織は、玄関を開けて家の中に入った。
「「お帰りなさい!」」
万里、恵里が迎えに来てくれた。
「咲は?」
「まだ、寝ています」
「そう……」
咲は、まだ目覚めない。そろそろ、意識を失ってから半日経とうとしていた。前使った時にはこのくらいで起きたので、もうそろそろ起きてもおかしくないのだが……
「ふぁ~」
さすがにあれだけ戦って、徹夜での作業もしたので、眠気が限界になってきた。
「万里ちゃん、恵里ちゃん、私も少し寝るから。誰か来ても居留守してね」
「わかった!」
「おやすみなさい」
香織は二人に手を振って、咲の眠る部屋に入りベットに潜り込んだ。
「早く起きてね」
咲にそうささやいてから眠りについた。起きたら、咲が目覚めていることを祈って……
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「……んっ、ん~~」
目を覚ますと、隣に香織が寝ていた。すごく穏やかな寝顔だ。咲は、香織の頭を撫でる。
「心配かけちゃったわね……夜になってるってことは、丸一日気絶していたのね。やっぱり、鬼神化は、デメリットが大きいわね」
周りと窓の外を見て、現状を把握し、改めて自分の使った力について考える。
「しばらくは、鬼神化の修行をするのもありね」
咲は、香織を起こさないようにベットから抜け、布団をかけ直してあげる。足音を立てずに部屋を出てリビングに向かう。リビングのドアを開けると、万里と恵里がソファに座って、読書をしていた。
今の時代、暇なときにすることは読書くらいしか無かった。電波が飛んでいないため、テレビはみれず、電気も来ないためゲームも出来ない。スマホなども使えないため、SNSなども無くなっている。
外国との連絡も取れず、日本国内であっても連絡を取り合うのは至難の業となっていた。
「万里、恵里、留守番ありがとう」
咲が、二人にお礼を言うと、本から顔を上げて先の方を見る。少し固まってから、本をソファに置いて、泣きながら咲に抱きついた。
「咲さん! 起きて良かった!」
「咲さん……ひっぐ、えっぐ……」
「二人とも心配かけちゃったわね。私はもう大丈夫よ」
咲は、二人の頭を撫でて安心させる。
二人が、泣き止む頃に上の階からドタドタと忙しない音がしたかと思うと、その音が下まで降りてきて、リビングのドアをバンッと開けた。音の主は香織だった。肩で息をしている香織は咲を見るや否や、泣きながら飛びついた。
「咲~! よかった! 目覚めたんだね!」
万里や恵里よりも、大泣きしながら咲に抱きつく。
「心配かけて、ごめんね」
香織の大泣きに苦笑いをしながら、頭を撫でる。万里や恵里よりも長い間泣いて、ようやく泣き止んだ。
まだ、目元が赤いが落ち着いているようだった。
「それで、あれからどうなったのかしら?」
リビングのソファに座って、寝ていた間に起きたことを訊く。赤龍を倒したこと、空から聞こえてきた声のこと、ギルド本部を再建したことの三つを話した。
「そう、領空権ね。それは、私を殺せば殺した者が得られるということなのかしら」
「その可能性は高いね」
領空権の譲渡は認められていない。しかし、モンスターを殺して得られるということは、所有している者を殺せば委譲される可能性がある。
「でも、領空権を得たような感覚は無いわね。本当に得たのかしら?」
「ステータスは?」
香織に言われて、ステータスカードを見る。このステータスカードは、香織が作ったものだ。魔力を通すことで登録されている人のステータスを見ることが出来る。セキュリティとして、登録者以外には反応しなくなっている。例外として、作った本人の香織は無理やり見ることが出来る。
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魔剣士 Lv116
HP:3260000/3260000 MP:98000/98000
STR:127900 DEF:99800 SPD:102200 DEX:10980 INT:15960 MND:19800 LCK:100
スキル:『剣術Lv10』『魔剣術Lv10』『魔法言語理解Lv10』『火魔法Lv10』『水魔法Lv10』『風魔法Lv10』『魔法式理解Lv10』『恐怖耐性Lv10』『身体能力強化Lv10』『五感強化Lv10』『腕力上昇Lv10』『走力強化Lv10』『鑑定Lv10』『未来予測Lv10』『軽業Lv10』『弱点看破Lv10』『刀術Lv10』『抜刀術Lv10』『威圧Lv10』『超加速Lv3』『空中走行Lv1』『鬼神化』『環境適応』『超再生』『限界突破』『不老不死』『日本・アメリカ領空権』
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Lvが100を超えて、スキルも新しいものを手に入れていた。
「スキル欄にあったわ。それに、私も『不老不死』になっているわね」
「嘘っ! やった! ずっと一緒にいられるね!」
「そうね」
香織は咲に抱きついた。咲は迷惑そうな顔など一際せずに微笑みながら頭を撫でる。
香織の見た目は、二年前から変わっていない。咲は、この二年で背が少し伸び大人に近づいていた。しかし、これからはお互いに年をとることが無くなった。
万里と恵里は、衝撃の真実に驚いていた。香織達が、赤龍を倒したことは空からの声で知っているが、不老不死の件は全く知らなかった。
「お二人ってもう年をとらないんですか?」
恵里が、恐る恐る香織達に訊く。
「うん、私は二年前から、咲は……昨日からかな」
「二人はずっと若い姿のままってこと?」
「そうね。万里や恵里がおばあちゃんになっても、私達は、このままね」
「いいなぁ。どうやったら獲得できるの?」
「さぁ、気がついたら持っていたから分からないわね」
「私にいたっては、最初から持ってたし」
うらやましがった万里だったが、獲得方法が分からないと聞いて落ち込む。
「そうだ、領空権の教本を生成出来るかな?」
香織が、目を閉じて手を前に出す。手のひらの前に光が集まっていく。光が収まったとき、そこには一冊の本が生まれていた。
「出来た! はい、咲」
「ええ、ありがとう」
香織が生成した教本は『日本・アメリカ領空権』の本だ。
「かなり薄いわね」
「そのままだからかな」
咲は、本を開いて中を確認する。咲は終始眉を寄せていた。薄い本だったので二分ほどで読み終わった。
「どうだった?」
「う~ん、難しいわね。とりあえず読んでみて」
咲は、香織に本を手渡す。香織も中を開いて確認する。書いてあったのは簡単に言うと、以下の通りだ。
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日本とアメリカの領空権。
これを持つ限り、日本とアメリカの空を支配することが出来る。
出来ること以下の通り。
・領空侵犯の感知
・侵入者の強制排除
強制排除は、何者でも問答無用で排除することが出来る。
許可を出せば、他の者も空を飛ぶことが許される。
許可の仕方は、所有者本人との契約でのみ成立する。
契約の仕方は契約の教本を参照
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「この教本って本当に簡単なことしか書いてないよね」
「まあ、それだけでも役に立つからいいじゃない。ただ、本当に面倒くさいものを受け取ってしまったわね」
咲の感想も香織と同じく面倒くさいというものだった。
「なんで面倒くさいんですか?」
「そうだよ、すごいことじゃないの?」
恵里と万里が二人にそう訊く。香織と咲は互いに見合って苦笑いをした。
「確かに、二つの国の空を支配できるのはすごいことよ。でも、それって、他の人からしたら、赤龍が私になっただけなのよ。私の一存で空を飛ぶことが許される。その逆もね。
それに、この契約がくせ者で、対面で無いと発動することが出来ないし、魔法紙が必要になってくるの。魔法紙での契約は反故すれば、契約者の命を奪う契約なのよ」
契約については、香織が店を出すときに教本を生成したので、ある程度理解している。あの時は、契約しよう、契約しようとうるさい連中がいたので、一応生成して確認していたのだ。
魔法紙は、紙を作る際に魔力を注入すると生成できる。香織は、普通の紙と魔力水を錬金釜に入れて、錬成している。
万里と恵里は、契約の恐ろしい部分を知って怯えている。
「だから、普通は、魔力紙を使った契約はしないんだけどね、領空権の契約は魔力紙での契約しか出来ないみたいなのよ。だから、とても面倒くさいの」
「な、なるほど……そうしたら、咲さんは、余計に狙われるんじゃ……」
「そうなのよね。まだ、領空権だからましかもだけど、統治権を持ったら本当にやばいかもね」
「はぁ、対策のために、いろいろ作るから、咲は、外に出ないでね」
「ええ、わかったわ」
「万里と恵里もここにいてね。私達の知り合いだって、バレてると思うから」
「「はい」」
香織は、咲と万里、恵里の暗殺、誘拐対策の道具を作るために工房に向かった。
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